いくらかかる?終活費用の平均と内訳を解説
終活にかかる費用は、何をどこまで自分で行うかによって大きく異なります。終活の中心は、自分の意思を整理して家族に伝えることであり、この行為自体にお金はかかりません。
費用が発生するのは、専門家や業者にサービスを依頼する場合と、葬儀やお墓といった商品やサービスを購入または契約する場合です。終活費用の平均として数百万円規模の数字が語られるのは、資産運用や住宅リフォーム、不動産整理まで含めた調査結果によるものが多く、自分に必要な項目に絞れば費用は大幅に抑えられます。
この記事では、費用をかけずに始められる準備から、平均や相場、費用を知るための行動の道筋まで順番に解説します。
終活費用は基本0円でできる
終活は、お金をかけずに行うことができます。終活の中心にある「意思を整理する」「書き残す」「家族に伝える」という行為自体にお金はかかりません。
費用が発生するのは、商品を購入する場合やサービスを利用する場合です。エンディングノートを市販品で買う、専門家に遺言書の作成を依頼する、業者に生前整理を頼む、といった選択をした時点で初めて費用が発生します。終活の進め方によっては費用が一切かからないケースもあり、何にどこまでお金をかけるかは自分で決めることができます。
自分の意思を書面にして残す
エンディングノートや自筆の遺言書、財産目録を作成して、自分の情報や資産、葬儀・供養、相続に関すること、家族に伝えたいメッセージなどを残しておくことが、終活の基本です。
エンディングノートは、手元にあるノートや無料テンプレートを活用すれば費用はかかりません。市販品を購入する場合でも数百円程度であり、居住する市区町村が無料配布している場合は窓口で入手できます。エンディングノートの作り方や書くべき項目について気になる方は終活におけるエンディングノートとは?作るときのポイントを解説も併せて確認してください。
自筆の遺言書も、自宅で保管する限り費用はかかりません。法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用する場合は申請手数料3,900円が発生しますが、遺言書の紛失や改ざんを防ぐための選択肢として活用できます。
意思や希望を家族に伝える
エンディングノートや遺言書の有無に関わらず、自分の情報や希望を言葉で家族に伝えることは、費用ゼロで取り組める終活の基本です。特別な手続きや道具は必要なく、話し合いの場を設けるだけで始められます。
家族と話し合いながら終活を進めることで、自分の考えや情報を整理しやすくなります。業者に依頼すれば費用が発生する作業も、家族が分担することで費用をかけずに進められます。
家財整理の計画、デジタル資産の手続き、終活の優先順位の確認なども、家族との話し合いで方針を決めることができます。終活を一人で抱え込まず、家族で共有することが費用を抑えることにもつながります。
身の回りの物を自分で整理する
生前整理や断捨離を自分で進める場合、業者への依頼費用はかかりません。粗大ごみの処分費や家電リサイクル料金は必要ですが、作業そのものは費用をかけずに行うことができます。断捨離の進め方や優先順位の決め方について気になる方は終活における断捨離のコツを解説も併せて確認してください。
業者に生前整理を依頼する場合は、依頼した時点で費用が発生します。業者に頼む際は、身の回りの整理を自分で進めて前もって分別や梱包を行うことで、トータルの費用を抑えることができます。
自分で進める際は、部屋や収納ごとに少しずつ取り組むことが現実的です。一度にすべてを片づけようとせず、優先順位を決めて進めることで、時間や体力の負担を分散できます。
終活費用がかかるかどうかは支払う時期で決まる
終活で費用がかかる事項は、生前に支払いが発生するものと、死後に支払いが発生するものに分けられます。何にどれくらいお金が必要かよりも、いつお金が出ていくのかを把握しておくことで、準備のタイミングや資金計画が立てやすくなります。
費用が発生する時期を把握せずに終活を進めると、想定外のタイミングで支出が生じることがあります。生前に支払いが完了するものと、死後に遺族が支払うものとでは、準備の進め方も異なります。
生前に支払いが発生するもの
生前に費用が発生するのは、専門家や業者に作業を委託する場合と、お墓のように生前に購入・契約が完了するものです。いずれも、依頼または契約した時点で費用が確定します。
自分や家族では対応が難しい作業を委託する場合は、依頼前に見積もりを確認し、費用感を把握したうえで発注することが重要です。委託の内容によって費用の幅は大きく異なるため、複数の業者や専門家に確認することが費用を抑えるうえで有効です。
生前整理
家財の整理は、生前に行う生前整理と、本人が亡くなってから遺族が行う遺品整理に分かれます。
自分や家族では処分しきれない大型家具や大量のごみの片づけは、生前整理や不用品回収を請け負っている業者に依頼します。
費用については、業者の見積もりを確認して正式に発注した時点で発生します。
遺言書の作成
普通方式遺言は、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
公正証書遺言と秘密証書遺言は、弁護士・司法書士・行政書士などの士業の専門家、または公証役場に作成を依頼するための費用がかかります。
自筆証書遺言は、本人が自筆で書くため費用はかかりません。ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、手数料が発生します。
お墓・納骨先の生前購入
お寺や霊園が遺族に代わって維持管理・永代供養してくれる永代供養墓や納骨堂を生前に購入する場合は、契約時に費用を一括して支払うのが一般的です。
お寺へのお布施、お墓の維持管理費は、本人の死後に遺族が定期的に納めるものですが、永代供養墓や納骨堂の生前購入は、生前に本人が支払いを完了できる数少ない例です。
死後に支払いが発生するもの
葬儀の費用は、病院や施設からの搬送距離、安置日数、式場や火葬場の空き状況といった不確定要素があるため、正式な支払い金額は葬儀の終了後に確定します。
葬儀社の中には「生前契約」「葬儀の前払い」を受け付けているケースもありますが、多くの葬儀社では、葬儀の内容や見積もりについて事前相談を行う「生前予約」が主流であり、契約や前払いを採用している葬儀社はごく稀です。
葬儀社の事前相談を利用することで、おおよその費用を把握できるほか、複数の葬儀社の葬儀プランや見積もりを比較できます。生前に支払いを完了させることはできませんが、費用の目安を把握しておくことで、遺族の負担を軽減することにつながります。
終活費用の平均・相場
「終活費用の平均」として語られる数字は、含まれる費目の範囲によって大きく異なります。葬儀やお墓にとどまらず、資産運用や住宅リフォーム、不動産整理までを含めた調査では、総額が数百万円規模になることもあります。費用感を把握する際は、どの費目を含んだ数字なのかを確認したうえで参考にすることが重要です。
女性誌販売部数No.1(※1)雑誌「ハルメク」が50〜79歳の男女2,016名を対象に実施したWEBアンケート「終活に関する意識・実態調査2025」によると、終活実施者の終活にかかった費用の平均は約503万円でした。
この金額には、葬儀やお墓の準備をはじめ、投資信託・株式投資などの資産運用、終のすみかとしての住宅リフォーム、不動産の整理・処分なども含まれています。
終活についての考えは人によって異なり、必要な取り組みも異なりますが、終活費用の平均を参考にしつつ、自分に必要な手続きの相場を知ることで、無駄な出費を抑えることにつながります。
ハルメク「終活に関する意識・実態調査2025」
https://www.halmek-holdings.co.jp/news/insights/2025/tjzd-ewv2/
(※1)日本ABC協会発行社レポート(2024年7月〜12月)
葬儀費用の相場
終活費用の中でも大きな割合を占めるのが葬儀の費用です。費用の内訳は、「葬儀一式の費用」「飲食接待の費用」「宗教者の費用」の3つに分けられます。
近年、葬儀の形式として最も選ばれている家族葬の例にあげると、お葬式のむすびすが一都三県エリア(東京・神奈川・埼玉・千葉)で手がけた家族葬の平均額は約116万円でした。この数字は、葬儀一式の費用、飲食接待の費用、宗教者の費用などを合算した総額であり、特定のプラン内容に限定したものではありません。家族葬の費用の内訳や費用を左右する要因について気になる方はいくらかかる?家族葬における費用の目安を解説も併せて確認してください。
費用分布を見ると、100〜140万円の範囲に全体の約36%が集中しており、80〜160万円までを含めると約78%を占めます。一方で、60万円未満に収まるケースや200万円を超えるケースもあり、金額には相応の幅があります。
家族葬は、近親者を中心とした比較的小規模な葬儀であるため、費用を抑えられると考えがちですが、実際の費用は葬儀の形式だけでは判断できない部分があります。特に費用増につながりやすい項目は次の通りです。
- 料理・会食費:1名あたり3,000〜5,000円が目安。提供方法や料理内容により幅がある
- 返礼品:1個あたり1,000〜3,000円程度。地域や慣習により異なる
- 送迎バスや車両手配:遠方からの参列者が多い場合に発生する
- 受付・誘導などの補助人員:対応人数が多くなると人件費が追加されることもある
4項目とも一見すると単価が小さく感じられますが、人数が増えれば金額が大幅に増加します。30名の参列で会食と返礼品を準備する場合、これだけで10万円を超えることもあります。
お墓・納骨費用の相場
株式会社鎌倉新書が運営する「いいお墓」が2025年1月〜12月に実施した「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」によると、購入したお墓の平均購入金額は、一般墓152.0万円、納骨堂81.5万円、樹木葬71.7万円でした。
いいお墓「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」
https://guide.e-ohaka.com/research/survey_2026/
| 種類 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一般墓 | 総額100万円以上(永代使用料・墓石工事代) 年間管理料5,000円〜20,000円程 |
墓地に区画を設けて墓石を建てる伝統的なお墓。総額は宗派・寺院等級・立地・墓石の種類によって大きく変わる |
| 納骨堂 | ロッカー型:20〜80万円 仏壇型:50〜150万円 機械式:80〜150万円 墓石型:100〜200万円 合祀型:3〜10万円 |
使用料・永代供養料・管理費が費用の内訳。合祀型は合祀後に遺骨を他のお墓へ移すことはできない |
| 樹木葬 | 山里型:1名あたり5〜30万円前後 都市型(個別・家族):1名あたり20〜150万円程 |
山里型は山林などへの合祀埋葬、都市型はシンボルツリーや花壇への埋葬。合祀埋葬は合祀後に遺骨を他のお墓へ移すことはできない |
終活費用は無料の準備から始める
終活費用は、何をどこまで準備するかによって金額が大きく異なります。必要な項目を整理しないまま専門家や業者に委託するのは非効率であり、不要な出費を招きます。
まずは費用をかけずにできることから始め、自分の終活に必要な項目を把握することが重要です。エンディングノートや終活チェックリストを作成して必要な項目を整理したり、自治体や企業・団体が開催している無料セミナーなどを活用することで、お金をかけずに準備を進めることができます。チェックリストの作成方法や確認すべき項目について気になる方は終活におけるチェックリストの作成方法を解説も併せて確認してください。
具体的な金額が必要なら見積もり・相談を利用する
準備すべき項目がある程度見えてきたら、具体的な金額を確認します。専門家や金融機関、葬儀社では無料の相談窓口を設けていることが多く、費用や見積もりについて確認できます。
見積もりや相談は、費用の目安を把握するだけでなく、複数の業者や専門家を比較するためにも有効です。最初から一社に絞らず、複数に問い合わせることで費用の幅を把握しやすくなります。
葬儀の事前相談・見積もり
葬儀社の多くが事前相談・見積もりを無料で実施しています。
事前相談では、葬儀の形式や規模、宗旨宗派などを伝えることで、おおよその費用を把握することができます。
葬儀社によって見積もりに記載されている項目や、葬儀費用に含まれる内容が異なるため、複数の葬儀社の見積もりを比較することが大切です。
専門家(弁護士・司法書士・行政書士・税理士)への相談
相続、遺言書、成年後見制度などの相談は、弁護士、司法書士、行政書士、税理士といった士業の専門分野です。
それぞれ業務領域が定められているため、相談したい内容に合わせて適切な専門家を選ぶことが必要です。
専門家によっては初回の相談が無料であったり、自治体や士業団体が無料相談会を実施することもあります。
よくある質問
- 終活はお金がかからないと聞きますが本当ですか
- 終活費用は基本0円で行うことができます。終活は自分ひとりで進められる活動が中心であるため費用はかかりません。ただし、自分や家族だけでは解決できない手続きや作業を専門家に委託する場合は費用が発生します。
- 終活費用が一番かかるのはどの部分ですか
- 終活費用の中でも大きな割合を占めるのが葬儀費用です。お墓を新たに準備する場合は、まとまった資金が必要です。ほかにも、住宅の生前整理、老後に備えた資産運用、相続税対策を税理士に依頼する場合などは、相応の費用がかかります。
- 終活費用の平均はいくらですか
- 雑誌ハルメクが実施した「終活に関する意識・実態調査2025」によると、終活実施者の終活にかかった費用の平均は約503万円でした。この金額には、葬儀やお墓の準備、資産運用、住宅リフォーム、不動産の整理・処分などが含まれているため、あくまでも目安として参考にしたうえで、自分の終活に必要な項目の相場を個別に確認することが不可欠です。
- 葬儀の費用を生前に払っておくことはできますか
- ごく少数の葬儀社を除いて、葬儀費用を生前に支払う「生前契約」はごく稀なケースといえます。多くの葬儀社では、葬儀内容や見積もりなどを事前相談で確認して万が一に備えておく「生前予約」が主流であり、正式な支払い金額は葬儀の終了後に確定します。
- 終活費用について何から始めればよいですか
- 費用をかけずに始められるエンディングノートや終活チェックリストを作成して、自分の終活に必要だと思われる項目を把握することが第一歩です。終活は、医療、介護、財産、相続、遺言、葬儀、お墓など考える内容が多岐にわたります。まず取り組むべき項目を整理して、手続きに必要な料金や専門家・業者の相場を確認することで、必要な費用の全体像が見えてきます。
この記事の監修者
むすびす株式会社 代表取締役社長兼CEO 中川 貴之
大学卒業後、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの立ち上げに参画。2002年10月葬儀業界へ転進を図り、株式会社アーバンフューネスコーポレーション(現むすびす株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。明海大学非常勤講師。講演・メディア出演多数。書籍出版