いくらかかる?家族葬の費用について解説
家族葬を検討する際、多くの人が気になるのは費用がどのくらいかかるのかという点です。
すでに見積もりを受け取り、提示された金額が適正なのか判断に迷っている人もいれば、これから依頼する葬儀社を探すうえで、まず費用の目安を知りたいという人もいます。
本記事では、むすびすの実績データをもとに家族葬の費用の目安と内訳を示すとともに、費用が高いと感じた場合の対応方法や、費用を誰が払うかという負担の決め方まで解説します。
家族葬の費用は110万円前後が目安になる
家族葬は近親者を中心とした小規模な葬儀であるため、費用も比較的抑えられると考えられがちです。しかし実際の負担額は、規模だけでは判断できない部分があります。
家族葬の費用は、110万円前後が一つの目安になります。むすびすが一都三県エリアで手がけた家族葬の実績(対象期間は2022年1月から2025年12月、件数は5,328件)では、平均額は約116万円となっています。葬儀一式費用・飲食接待費用・宗教者への費用などを合算した総額であり、特定のプラン内容に限定したものではありません。
実際の費用分布を見ると、100万円〜140万円の範囲に全体の約36%が集中しており、80万円〜160万円までを含めると約78%を占めます。一方で、60万円未満に収まるケースや200万円を超えるケースも一定数存在し、金額には相応の幅があります。
100万円〜140万円の層に集中する背景には、家族葬という形式自体の特性があります。式場使用料や祭壇、棺などの基本的な設営費用は、参列者の数にかかわらず一定の水準で発生するため、規模を抑えても費用が大幅に下がるとは限りません。
この目安はあくまで全体の傾向を示すものであり、個々の葬儀の費用は内容や条件によって変動します。見積もりを取る際は、提示された金額がどの範囲に位置するのかを意識しながら、内容を確認することが重要です。
通夜と告別式を行う家族葬は費用が上がりやすい
家族葬の費用は、通夜と告別式の両方を行う場合に上がりやすくなります。式場の利用日数が増えることに加え、運営にかかる人件費や飲食接待の機会が、一日葬と比べて多くなることが主な要因です。
家族葬には、通夜と告別式を2日にわたって行う形式のほか、告別式のみで葬儀を終える一日葬という形式もあります。一日葬は式場使用料や飲食接待費用を1日分に抑えられるため、通夜・告別式を行う形式と比べて費用を抑えやすい傾向があります。
葬儀の構成要素は、日数に応じて積み上がる仕組みになっています。式場使用料は1日単位で設定されることが多く、通夜振る舞いにかかる飲食費も日数が増えればその分発生します。宗教者への読経や式の進行に関わる費用も、儀式の回数に応じて加算される場合があります。
家族葬の形式を検討する際は、通夜を行うかどうかが費用に直結する判断点になります。参列者の弔問のタイミングや、ゆっくりお別れの時間を取りたいという希望と合わせて、日数の設定を考えることが必要です。
参列人数は家族葬の費用に大きく影響する
家族葬の費用は、参列人数の増減によって大きく変動します。飲食接待費用や返礼品費用といった、人数に比例して発生する項目が含まれているためです。
参列人数が増えれば、通夜振る舞いや精進落としの食事代、会葬礼状・返礼品の費用がその分積み上がります。参列人数を減らせばこれらの項目は抑えられますが、式場使用料や祭壇・棺などの基本的な設営費用は人数にかかわらず発生するため、費用全体が人数に比例して下がるとは限りません。
葬儀費用は、「人数に応じて変動する費用」と「人数にかかわらず発生する費用」の二つで構成されています。家族葬は参列者を限定する形式であるため、後者にあたる費用が全体に占める割合が、一般葬と比べて大きくなりやすい傾向があります。
参列人数を検討する際は、人数を減らすことで費用の総額がどの程度変わるのか、見積もりの内訳を確認しながら判断することが望まれます。固定費にあたる部分と人数に応じて変わる部分の比率を把握しておくと、人数調整による費用への影響をより具体的に見積もることができます。
家族葬の費用は3つの内訳から構成される
家族葬の費用は、主に「葬儀一式費用」「飲食接待費用」「宗教者への費用」という3つの内訳から構成されます。総額としていくらかかるかだけでなく、何にどの程度の費用がかかっているのかを把握しておくことで、見積もりの内容を具体的に確認しやすくなります。葬儀にかかる費用の内訳をより詳しく知りたい方は、相場はどれくらい?葬儀にかかる費用と内訳を解説も併せて確認してください。
3つの内訳がどの程度の割合を占めるのか、一般的な目安は次のとおりです。
| 内訳 | 主な内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 葬儀一式費用 | 式場使用料、棺、祭壇、搬送・安置など | 70万円〜80万円程度 |
| 飲食接待費用 | 通夜振る舞い、精進落とし、返礼品など | 17万円程度 |
| 宗教者への費用 | 読経や戒名に対するお布施など | 15万円~ |
これらの金額はあくまで一般的な目安であり、実際の費用は地域や葬儀社、葬儀の内容によって変動します。葬儀一式費用が全体の半分以上を占める傾向にあるのは、式場運営や搬送・安置など、儀式そのものを成立させるための基本的な要素が含まれているためです。
葬儀一式費用
葬儀一式費用は、家族葬の費用の中で最も高額になりやすい項目です。式場運営や遺体の搬送・安置、葬儀に必要な物品など、葬儀を成立させるための基本的な要素がこの項目に含まれます。
含まれる品目を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 主な内容 | 金額の変動しやすさ |
|---|---|---|
| 搬送・安置 | ご遺体の搬送、安置施設の利用、ドライアイスなど | 距離や安置日数により変動しやすい |
| 式場・火葬場の利用 | 式場使用料、火葬料、送迎用バスなど | 式場・地域により変動しやすい |
| 棺・祭壇 | 棺、祭壇、遺影写真、供花など | グレードにより変動しやすい |
| 運営に関わる物品・人員 | 枕飾り、案内看板、受付セット、運営スタッフなど | 比較的変動が少ない |
費用が高額になりやすい背景には、これらの項目がプランのグレードによって大きく金額が変わる仕組みがあります。祭壇の規模や棺の材質、式場の設備によって、同じ家族葬であっても数十万円単位の差が生じることがあります。運営に関わる物品・人員は基本セットに含まれることが多く、比較的金額が安定しています。
多くの葬儀社が提供するセットプランには、これらの項目があらかじめ含まれていますが、季節や距離、ご遺体の状態などによって基本セット内で補えない場合は、追加費用が発生することがあります。プランに含まれている内容と、追加費用が発生する条件を契約前に確認しておくことが、想定外の出費を避けるうえで重要です。
飲食接待費用
飲食接待費用は、参列者をもてなすために必要な費用で、参列人数に応じて変動する項目です。
含まれる品目を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 主な内容 | 金額の変動しやすさ |
|---|---|---|
| 通夜振る舞い | 通夜に参列した方への食事 | 1名あたり3,000円〜5,000円程度 |
| 精進落とし | 告別式後の会食 | 人数・内容により変動しやすい |
| 返礼品・会葬礼状 | 参列者への手土産や礼状 | 1個あたり1,000円〜2,000円程度 |
料理や返礼品は参列者一人ひとりに対して提供されるため、費用は人数に比例しやすくなります。地域の慣習や宗教的な背景によって、これより高い水準の対応が求められる場合もあります。
人数と予算のバランスを欠くと、形式的すぎる対応が参列者に与える印象を損なう可能性があります。礼を尽くすことと費用を抑えることのバランスは、参列者との関係性や地域の慣習を踏まえて検討することが望まれます。
宗教者への費用
宗教者への費用は、儀式の実施にあたって必要とされるお布施であり、金額の幅が大きく、相場の把握が難しい項目です。僧侶を呼ぶ際の人数や費用について気になる方は、家族葬にお坊さんを呼ぶときの人数と費用を解説も併せて確認してください。
含まれる品目を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 主な内容 | 金額の変動しやすさ |
|---|---|---|
| 読経料 | 通夜・告別式での読経に対する謝礼 | 宗派・地域により変動しやすい |
| 戒名料 | 戒名を授与してもらうための謝礼 | 戒名の位により大きく変動しやすい |
| 御車代・御膳料 | 宗教者の移動・食事に対する謝礼 | 比較的変動が少ない |
宗派や地域の慣習、戒名の有無によって、同じ宗派であっても金額が大きく異なるため、お布施は金額の幅が大きくなりやすい傾向があります。一般的な目安としては10万円〜30万円程度とされていますが、戒名の有無が総額に大きく影響します。
お布施は金額が明示されないことが多く、依頼時に確認を怠ると、支払い時に金額面での不安や疑問が残ることがあります。安心して進めるためには、菩提寺や僧侶に直接確認し、内容・金額の合意を得ることが欠かせません。
家族葬の費用はトラブルが起きないように葬儀社に相談する
家族葬の費用の内訳が分かった上で、実際に見積もりを受け取ると、想定よりも高いと感じる場合もあれば、逆に安く感じられるプランに出会う場合もあります。金額の印象だけで判断するのではなく、内容を確認したうえで葬儀社に相談することが、後々のトラブルを防ぐことにつながります。葬儀社の選び方について気になる方は、葬儀社はどう比較する? 後悔しない選び方と注意点も併せて確認してください。
高い場合と安い場合では、見るべきポイントも異なります。それぞれの状況に応じて、確認すべき内容や相談の進め方を整理しておくことが必要です。葬儀全体で起こりやすいトラブルについて気になる方は、葬儀におけるトラブルの原因と対策を解説も併せて確認してください。
費用が高い場合
家族葬は小規模で費用を抑えられるという印象が先行しやすい一方で、実際に見積もりを受け取った際に「予想以上に高い」と感じる人も少なくありません。参列人数にかかわらず発生する固定費が多く含まれていることや、セットプランに含まれる内容とオプション料金の境界が明確でないことが主な要因です。
このような場合は、内訳ごとに費用の説明を受け、固定費・オプション・変動費のどこが高いのかを特定することが対応の出発点になります。
- 内訳ごとに費用の説明を受け、固定費・オプション・変動費のどこが高いのかを特定する
- 優先順位を決め、必要性の低いオプションを見直す
- 見積もりの明細を確認し、必要性と費用対効果のバランスを基準に判断する
要因を特定しないまま費用を見直そうとすると、必要な項目を削ってしまったり、逆に削れる項目を見落としてしまったりする可能性があります。祭壇装飾のグレードアップや遺影写真の加工、メモリアル映像、送迎バスなどは代表的なオプションに該当しますが、葬儀の印象を高める効果はあるものの、必ずしもすべての家庭にとって必要とは限りません。
一つひとつの項目について必要性を確認しながら相談を進めることが、納得感のある費用調整につながります。
費用が安い場合
家族葬は小規模で費用を抑えられるという印象から選ばれることが多い一方で、極端に安い家族葬プランには、トラブルのリスクが潜んでいる可能性があります。基本プランの料金だけが大きく表示され、搬送距離や安置日数といった個別条件が反映されていない場合があるためです。
このような場合は、見積もりに含まれる内容と含まれない内容を、項目ごとに確認することが対応の出発点になります。
- 見積もりに含まれる内容と含まれない内容を項目ごとに確認する
- 搬送距離や安置日数など、個別条件によって変動しやすい項目の金額を事前に確認する
- 価格だけでなく、対応の質や過去の利用者の評価も含めて葬儀社を比較する
「セットプラン=すべて込み」という誤解のまま契約してしまうと、想定外の出費や対応の質の低さによって、後悔につながることがあります。価格の安さが、品質や安心感とのトレードオフになる場合があることを念頭に置く必要があります。
複数の葬儀社から見積もりを取り、プランごとの構成と料金の内訳を比較・検討することが、納得できる選択につながります。
家族葬の費用を誰が払うか不安な人は負担のルールを知っておく
家族葬の費用の内訳や、高い・安いと感じた場合の対応が分かったとしても、実際にその費用を誰が払うのかが明確でなければ、後になって親族間の認識の違いがトラブルの原因になることがあります。家族葬は近親者のみで行う形式である分、費用負担についても事前の話し合いが重要になります。
家族葬の費用は、一般的に喪主が一時的に立て替える形をとることが多くなっています。葬儀は急な出費となることが多く、葬儀社への支払いも早期に求められるため、まずは喪主が手元資金で対応するケースが一般的です。喪主が担う役割について気になる方は、家族葬における喪主の役割を解説も併せて確認してください。
葬儀費用は法律上の相続債務には該当しないものの、社会通念上、必要経費として相続財産から支出することが容認されており、相続手続きの中で精算されることが想定されています。負担の仕組みをあらかじめ理解しておくことが、不安を解消する出発点になります。
家族は分担する場合に負担割合を話し合う
家族葬の費用を複数の家族で分担する場合は、負担割合をあらかじめ話し合っておくことが重要です。誰がどの程度の金額を負担するかについて、家族の間で認識の違いが生じやすいためです。喪主が中心となって費用を負担する慣習がある一方で、兄弟姉妹で均等に分担したいと考える家族もあり、前提となる考え方が家族によって異なります。
葬儀費用の負担に関する明確な法的ルールは存在しません。民法上、葬儀費用を誰が負担すべきかについての規定はなく、慣習や家族間の合意に委ねられているのが実情です。話し合いをせずに進めると、後から不満が生じる可能性があります。
負担割合を決める際は、次の点を確認しておくことが望まれます。
- 誰が喪主を務め、費用負担の中心となるかを決める
- 兄弟姉妹など複数で分担する場合は、負担割合の考え方を共有する
- 負担割合の合意を、できるだけ早い時期に済ませておく
喪主や費用負担者をあらかじめ決めておくことは、精神的・経済的な負担の軽減にもつながります。
家族は立て替える人と精算方法を事前に決める
家族葬の費用を立て替える場合は、誰が立て替えるのか、どのように精算するのかを事前に決めておくことが重要です。立て替えた費用の精算方法が曖昧なままだと、後日金額や使途に関する誤解が生じる可能性があるためです。
葬儀費用の支払いと相続手続きは、別々のタイミングで進みます。葬儀費用は葬儀直後に支払いが求められる一方、相続財産の整理にはある程度の時間がかかるため、その間の立て替え分の扱いが不明確になりやすくなります。
精算方法を決める際は、次の点を確認しておくことが望まれます。
- 立て替えた金額の領収書や支払い記録を残しておく
- 相続財産からの精算が可能かどうかを事前に確認する
- 香典を精算に充当できるかどうかを含めて検討する
明確な記録を残しておくことは、他の相続人との間で費用や金額に関する誤解を防ぐうえで欠かせません。生命保険を活用して葬儀費用を賄う方法や、あらかじめ葬儀費用として確保しておく専用の預金を活用する方法も、立て替えの負担を軽減する手段として有効です。
よくある質問
- 家族葬の費用は、本記事で示された目安よりも安くすることは可能ですか?
- 式場の規模を抑えたプランを選んだり、不要なオプションを見直したりすることで、費用を抑えられる場合があります。ただし、参列人数にかかわらず発生する固定費があるため、目安となる金額から大幅に下げることが難しい場合もあります。具体的にどの項目を見直せるかは、見積もりの内訳を確認しながら葬儀社に相談することが望まれます。
- 家族葬の費用は、クレジットカードや分割払いで支払うことはできますか?
- 葬儀社によって対応が異なりますが、クレジットカード決済や分割払いに対応している場合があります。支払い方法は葬儀社ごとに条件が異なるため、契約前にどの支払い方法が利用できるか確認しておくことが望まれます。
- 香典は、家族葬の費用の負担を軽減するために活用できますか?
- 香典を受け取った場合は、葬儀費用の一部に充当することで、実質的な自己負担を抑えられる場合があります。ただし、香典の取り扱いについては家族間で認識が異なることもあるため、事前に方針を共有しておくことが望まれます。
- 家族葬と一日葬では、費用にどの程度の差がありますか?
- 一日葬は通夜を行わず告別式のみで実施するため、式場使用料や飲食接待費用を1日分に抑えられる傾向があります。通夜・告別式を行う家族葬と比べて費用を抑えやすい一方、儀式にかけられる時間は短くなります。
- 家族葬の費用について、見積もりを取る際に注意すべき点はありますか?
- セットプランに含まれる内容と、含まれないオプション料金の境界を確認することが重要です。搬送距離や安置日数などの個別条件によって追加費用が発生する場合もあるため、複数の葬儀社から見積もりを取り、内容を比較しながら検討することが望まれます。
この記事の監修者
むすびす株式会社 代表取締役社長兼CEO 中川 貴之
大学卒業後、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの立ち上げに参画。2002年10月葬儀業界へ転進を図り、株式会社アーバンフューネスコーポレーション(現むすびす株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。明海大学非常勤講師。講演・メディア出演多数。書籍出版