終活の相談先は? 相談窓口と相談内容を解説
終活の準備は、医療、介護、福祉、葬儀、供養、お金、保険、年金、相続、遺言、家財整理、ペット問題まで多岐にわたります。自分で判断できる内容や手続きはともかく、介護や法律に関する項目を一人で進めようとして行き詰まったり、何も手を付けないまま時間だけが過ぎてしまう人も少なくありません。
終活の相談先は、自治体、法人、民間サービス、士業、金融機関、葬儀社など複数あります。相談内容によって適した窓口が異なるため、全体像を把握せずに進めると適切な相談先を選びにくくなります。
このページでは、終活を進めるうえで役立つ相談先の全体像と相談内容、自分に合った相談先の選び方を相談内容ごとに整理します。
終活の相談先は複数あるため全体像を知ることが重要
終活の相談先は一つではなく、それぞれ業務や役割が異なるため、まず全体像を把握したうえで自分の相談内容に合った窓口を選ぶことが重要です。葬儀・相続・介護・医療など終活の内容は幅広く、一つの相談先がすべてに対応できるわけではありません。相談先ごとの得意分野を知っておくことが、終活を効率よく進める出発点になります。
相談したい内容が複数ある場合は、相談先を一つに絞る必要はありません。内容ごとに適切な窓口を使い分けることが、終活全体をスムーズに進めるための基本的な考え方です。専門性・相談のしやすさ・費用の有無なども踏まえて、自分の状況に合った相談先を選ぶことが、終活を無駄なく進める上での基本姿勢です。終活で準備する内容の全体像が気になる方は終活とは?準備するときのポイントを解説も併せて確認してください。
| 相談先 | 相談内容 |
|---|---|
| 自治体(市区町村) | 高齢者の医療、介護、生活支援などの相談 |
| 地域包括支援センター | 高齢者の病気、介護、虐待、生活支援、金銭問題などの相談 |
| 終活相談センター | 終活全般の相談 |
| 葬儀社 | 葬儀、供養、お墓、終活、搬送などの相談 |
| 士業の専門家 | 遺産相続、遺言書、成年後見制度、年金、保険、福祉などの相談 |
| 金融機関 | 預貯金、資産、ローン、保険などお金に関する相談 |
自治体・地域包括支援センター
自治体では、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を継続できるよう、幅広い支援事業を行っています。地域包括支援センター、デイサービス、老人ホーム、要介護認定申請、介護予防や介護サービス、日常生活支援などが主な事業として挙げられます。
地域包括支援センターは、地域に住む高齢者とその家族が利用できる総合相談窓口です。介護・医療・保健・福祉に関する専門知識を持つ保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などが在籍しており、日常生活のちょっとした悩みから、病気・介護・虐待・生活支援・金銭的な問題まで幅広く相談を受け付けています。
自治体の窓口や地域包括支援センターは基本的に無料で利用できます。終活で何から始めればよいか分からない段階でも相談しやすい入口として機能しており、他の専門機関への橋渡し役にもなります。
終活相談センター・民間サービス
終活相談センターとは、終活に関する相談を幅広く受け付け、適切なアドバイスや解決策を提案する団体の総称です。医療・介護・葬儀・保険・相続・遺言・エンディングノート・家財整理・ペット問題といった具体的な相談から、「終活を何から始めればよいか分からない」といった漠然とした不安まで、終活全体の流れを踏まえながら対応しています。
運営主体は自治体、社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人、民間企業などさまざまです。自治体が運営する終活相談センターは無料で利用できるものがほとんどですが、NPO法人や民間企業の運営施設は、相談自体は無料でもその後のサービス利用で費用が発生する場合があります。
終活の全体像を把握しながら幅広く相談したい場合や、複数の分野にまたがる悩みを整理したい場合に適した相談先です。問い合わせの際に費用の有無を確認しておくことが必要です。
葬儀社
生前に葬儀社へ相談することを「事前相談」といいます。ほとんどの葬儀社では事前相談を無料で実施しており、葬儀の形式・規模・場所・費用・流れ・喪主の役割など、葬儀に関する疑問や不安をあらかじめ解消できます。
事前相談は電話・メール・SNS・チャット・対面など、相談者の都合に合わせた方法で行われています。「相談すると契約を断れないのではないか」と心配する人もいますが、葬儀社側も他社との比較を当然のこととして考えているため、その点は心配不要です。多くの葬儀社がセミナーやイベントを定期的に開催しており、参加することでスタッフの対応や葬儀会館の雰囲気を事前に確認することもできます。
葬儀・供養・お墓に関する終活を具体的に進めたい場合は、葬儀社の事前相談が最も直接的な相談先になります。満足のいく対応であれば家族に指定の葬儀社を伝えておくことで、いざというときの家族の負担を減らすことにもつながります。
士業の専門家
相続・遺言・成年後見制度などは、法律で定められた形式や手順に従って進める必要があります。法的な問題が絡む場合は士業の専門家に相談することで、後々のトラブルを防ぐことができます。
終活に関わる士業の主な専門分野は以下の通りです。
- 弁護士:遺産相続のトラブルなど法律に関する相談
- 司法書士:相続登記などの相続手続き、遺言書の作成支援、成年後見制度・民事信託に関する相談
- 行政書士:任意後見契約公正証書・遺言等の起案、遺産分割協議書・行政手続きに必要な書類の作成に関する相談
- 税理士:相続税に関する相談
- 社会福祉士:福祉に関する相談
- 社会保険労務士:年金・労働・社会保険・成年後見制度に関する相談
専門家への相談は有料の場合が多く、業務の依頼や顧問契約をする場合は別途費用がかかります。相談のハードルが高いと感じる場合は、自治体が実施する無料法律相談会や法テラス(日本司法支援センター)を入口として活用する方法もあります。
金融機関
預貯金・保険・資産などお金に関する身近な相談先は、信託銀行や預貯金口座のある金融機関です。資産運用・不動産・ローン・保険・年金・相続・税制・保証人など、終活に関わる幅広い金融知識を得ることができます。
資産総額に応じた適切なアドバイスを受けることで、財産をめぐる親族間のトラブルを防ぐことにもつながります。金融機関によってはファイナンシャルプランナーや終活アドバイザーなど専門スタッフを配置している窓口もあります。
お金に関する終活を進める上では、まず口座のある金融機関や信託銀行に相談することが出発点になります。相続や資産管理に関して複雑な問題がある場合は、税理士や弁護士など士業の専門家と連携して対応することが必要です。
終活の相談先を知ったうえで相談内容を理解することが重要
相談先の全体像を把握しても、何を相談するかが整理できていないと適切な窓口につながりにくくなります。終活の相談内容は葬儀・相続・介護・医療と幅広く、内容によって担当する窓口や専門家が異なります。
相談の前に、自分が知りたいこと・分からないこと・不安に思っていることをスマートフォンやメモ帳に箇条書きで整理しておくと、専門家から個別の状況に合ったアドバイスを受けやすくなります。「何が分からないのか分からない」という段階であれば、そのまま正直に話すことが出発点です。エンディングノートの活用方法が気になる方は終活におけるエンディングノートとは?作るときのポイントを解説も併せて確認してください。
葬儀に関する内容を相談できる
葬儀に関する終活は、事前にすべて決めておく必要はありませんが、本人がある程度の方向性を示しておくことで、家族が判断しやすくなります。自分が亡くなった後の葬儀について本人の意思が伝わっていないと、残された家族が判断に迷う原因になります。
葬儀に関して相談できる主な内容は以下の通りです。葬儀社の事前相談を利用することで、おおよその方向性を整理することができます。
- 葬儀の形式をどうするか
- 参列者をどの範囲まで呼ぶか
- 宗教者を呼ぶかどうか
- 費用をどの程度にするか
- その他、葬儀に関する希望
相談先の葬儀社の対応に満足できた場合は、家族に指定の葬儀社を伝えておくことで、いざというときの家族の負担を軽減することにもつながります。
相続に関する内容を相談できる
財産整理・遺産相続・遺言などの相談は、法律的な知識を持つ専門家に相談する必要があります。無料または少額で利用できる公的機関として、自治体の無料法律相談会・法テラス・信託銀行・税務署などがあります。ただし、費用がかからない分、手続きは自分で行う必要があります。
具体的なサポートが必要な場合は、弁護士・司法書士・行政書士・税理士といった士業の専門家への依頼が必要です。専門家への相談は有料の場合が多く、業務の依頼や顧問契約をする場合は別途費用がかかります。
相談できる主な内容は以下の通りです。相談時間を有効に使うためにも、どのような問題を抱えているか・どのようなサポートが必要かを事前に整理しておくことが重要です。
- 法定相続人への遺産の分配比率
- ローンや連帯債務などマイナス財産の対処
- 暗号資産などオンライン金融商品の相続
- 遺贈寄付について
介護に関する内容を相談できる
健康な状態でも、病気やケガをきっかけに突然介護が始まることは珍しくありません。身体介助や生活援助が必要になってから終活を進めることは難しくなるため、早い段階から相談しておくことが重要です。
介護に関して無料で相談できる自治体の窓口として、市区町村の福祉課・地域包括支援センター・社会福祉協議会・地域の民生委員などがあります。「老後の生活が何となく不安だ」「認知症に備えたい」といった漠然とした内容でも相談できます。
相談できる主な内容は以下の通りです。一人で問題を抱え込んだり老々介護が常態化してしまう前に、早めに専門家へ連絡して終活を進めることが必要です。
- 公的な介護サービスの内容
- 成年後見制度
- 介護施設の種類と費用
- 在宅介護と施設介護の選択
医療に関する内容を相談できる
終末期の在宅医療・延命治療の判断・緩和ケアの希望・臓器提供や献体の意志表示といった医療に関する相談は、かかりつけの医師・ケアマネジャー・社会福祉士・保健師・地域包括支援センターなどに相談できます。厚生労働省指定のがん相談支援センターなど、特定の疾病に特化した相談窓口もあります。
相談できる主な内容は以下の通りです。
- 病名や余命の告知に関する考え方
- 終末期医療の方針
- 自分が意思表示できなくなったときの希望
- 臓器提供や献体の手続き
終活における医療の相談は、家族の精神的負担を軽減する意味でも重要です。本人の健康状態や持病を考慮しながら、医療に関する方針をあらかじめ家族に伝えておくことで、緊急の場面での判断の迷いを防ぐことができます。
よくある質問
- 終活はどこに相談すればよいですか
- 終活の内容は多岐にわたるため、具体的に相談したいことが決まっている人は、自治体の担当窓口、民間サービス、各分野の専門家に相談しましょう。終活を考え始めたばかりで、何から手を付けてよいか分からない人は、無料で相談できる地域包括支援センターがお勧めです。
- 終活ではどのような内容を相談できますか
- どんなことでも相談できます。終活の目的は大きく分けて、老後の生活を充実させること、病気や介護に備えること、残された家族が困らないようにすることです。具体的には、医療、介護、福祉、葬儀、供養、お金、保険、年金、相続、遺言、家財整理、ペット問題など、相談内容が具体的であればあるほど、専門家の適切なアドバイスが期待できます。
- 終活の相談先を一つに絞る必要がありますか
- 一つに絞る必要はありません。終活の考え方は人それぞれです。自分の理想とする終活を実現するためには、相談のしやすさ、アドバイスの分かりやすさ、必要としている情報を得られるかなど、複数の専門家から意見を聞いて、総合的に判断することが大切です。ただし、専門家によっては費用が発生することも踏まえておきましょう。
- 終活の相談先はどのように選べばよいですか
- 相談内容によって各分野の専門家の中から選びましょう。終活の相談先は、自治体、民間サービス、士業、医療機関、金融機関、葬儀社など複数あります。それぞれ業務内容や役割、対応している範囲が異なるため、自分が知りたいこと、分からない項目について適材適所の専門家を選ぶことで、終活を効率よく進めることができます。
- 無料で終活の相談ができる窓口はありますか
- 市区町村の福祉課(高齢者福祉課、介護保険課)、地域包括支援センター、社会福祉協議会、地域の民生委員などは、基本的に無料で相談できます。法律に関する相談は、法務省所管法人の法テラス(日本司法支援センター)、自治体が実施する無料法律相談会。医療・介護は、かかりつけの医師、ケアマネジャー(介護支援専門員)、社会福祉士、保健師。葬儀・供養・お墓については、多くの葬儀社で無料の事前相談を行っています。
この記事の監修者
むすびす株式会社 代表取締役社長兼CEO 中川 貴之
大学卒業後、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの立ち上げに参画。2002年10月葬儀業界へ転進を図り、株式会社アーバンフューネスコーポレーション(現むすびす株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。明海大学非常勤講師。講演・メディア出演多数。書籍出版