何歳から始めるべき?終活のタイミングを解説
終活を始める年齢に決まりはありませんが、実態としては定年後に時間の余裕ができた60代前後から取りかかる人が多いようです。
終活を始める年齢やタイミングは人それぞれ異なりますが、早めに始めるメリットや、年齢を重ねてから始める場合のノウハウは存在します。
終活の開始年齢によって作業の負担がどう変わるのか、負担を少なくしながら継続していくための具体的な方策について解説します。
終活を開始する年齢に決まりはない
終活を始める年齢に決まりはありません。行政が定めた公的な基準や法令もありません。
終活という言葉は、「人生の終わりを迎えるための活動」の略称で、2009年に週刊誌で掲載された記事が初出といわれます。翌年、2010年に「新語・流行語大賞」にノミネートされたことで、広く社会に認知されるようになりました。
日本では一昔前まで、死を連想させることを考えるのは縁起が悪い、自分や家族の死後について話すのは不謹慎とされてきました。しかし、終活という考え方が社会に浸透したことで、年齢に関係なく元気なうちから人生の晩年に備えることの大切さを、多くの人たちが認識しはじめています。
では、実際には何歳ぐらいから終活を始める人が多いのでしょうか。終活の準備そのものについて気になる方は終活とは?準備するときのポイントを解説も併せて確認してください。
実際に始める年齢は60代前後が中心
楽天インサイト株式会社が、全国の20代~60代の男女1,000名を対象にインターネットで実施した「終活に関する調査」(2018年)によると、終活の実施者・実施予定者に具体的に何歳頃から始めたいかを聞いたところ、「65~69歳」が21.6%で最も高く、「60~64歳」(20.5%)、「70~74歳」(18.1%)と続き、60代だけで42.1%と最も多くを占める結果となっています。
同調査では、「終活」という言葉を聞いたことがある人は96.6%という高い結果も出ています。「終活」の意向があると回答した人を性別で見ると、男性:41.4%、女性:58.6%と、女性の方が高い傾向にありました。
株式会社ハルメク・エイジマーケティング ハルメク 生きかた上手研究所が、全国の50歳~79歳の男女2,016名を対象に実施したWEBアンケート、「終活に関する意識・実態調査」(2025年)では、終活を「すでに始めている」割合は44.0%。「今後実施する予定」と答えた方は33.4%でした。この結果から、50歳以降の7割以上の人たちが、すでに終活を開始しているか、始める予定であることが分かります。
年齢はあくまで目安であり、「この年齢で始めるのが正解」というものではありません。
終活は目安となる年齢より早く始めるほど負担が軽い
終活は、目安となる年齢よりも早いうちから始めるほど、心身にかかる負担を軽くできます。終活は、葬儀や供養のことだけでなく、医療・介護、身の回りの整理、老後のライフ・マネープラン、財産・相続など多岐に渡ります。それにともなう作業も体力や判断力を要するものが多いため、心身ともに元気で時間にも余裕のある年齢から着手することで、一つひとつの作業の負担を分散・軽減できます。
もっとも、終活は人生の最期に向けた活動であることから、従来は高齢者が行うものと思われてきました。しかし近年は事情が変わりつつあります。2019年に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書が公表され、「老後2,000万円問題」が話題になったことをきっかけに、40代、50代の早いうちから老後のライフ・マネープランを見据えて、終活の準備を始める人も出てきています。
終活をなぜ行うのか気になる方はなぜやるの?終活の必要性を解説も併せて確認してください。では、目安となる年齢を過ぎてから終活を始める場合は、どうなるのでしょうか。
目安の年齢を過ぎてから始める場合は、時間はあっても体力面の負担が増える
目安となる年齢を過ぎてから終活を始めても、あきらめる必要はありませんが、体力面の負担は増える傾向があります。高齢になると体力・判断力が低下し、一度に進められる作業量が少なくなるためです。
定年後に時間の余裕ができたことを契機に、終活に取り組む人も少なくありません。ただし、体力・判断力の低下を補うには、「終活は自分ひとりで進めるもの」という考え方から、「終活は家族や専門家と協力しながら進めるもの」という考え方に切り替えることが必要です。具体的には、終活について家族とよく話し合い、本人が主体となって進める手続き、家族に協力してもらいながら進める作業、専門家に相談する内容を整理することが重要です。
高齢者の終活は、自分ひとりの問題ではなく、万一のときは家族が当事者になる問題です。身近な人たちとコミュニケーションを取りながら進めれば、今から始めても遅すぎることはありません。
終活は、体力や判断力を問わないものから始められる
終活は、体力・判断力をあまり使わないものから始めることで、途中で挫折することなく進めることができます。
終活の中でも、財産整理、相続対策、遺言書、墓じまい、成年後見制度などを進めるためには、専門家の協力が不可欠です。また、住宅のリフォームや住み替えは、一気に終わらせることが難しく、相応の体力、気力、時間を要します。
終活を始めるときは、専門知識や複雑な手続き、労力と時間、費用のかかる項目はひとまず置いておいて、体力・判断力の負担が少なく始められる、エンディングノートの作成や身の回りの整理から取りかかると、効率よく進められます。
エンディングノート
エンディングノートは、完璧に埋めようとせず、書ける項目から少しずつ進めればよいものです。書き方に決まったルールや手続きの必要もないため、自分のペースで書き進めることができます。
万一のとき家族が困らないよう、自分の情報や希望、家族への想いを残しておくためのノートで、遺言書のような法的効力はありません。具体的には、本人の基本情報をはじめ、親族や友人の連絡先、医療・介護の希望、葬儀・供養の考え方、財産や契約、相続に関する情報などを自由に記載できます。
状況の変化に応じて何度でも加筆・修正できるので、まずは、生年月日、本籍地、菩提寺、緊急時の連絡先など、書きやすい項目から着手するとよいでしょう。マイナンバーやスマートフォンの暗証番号など、第三者に知られると悪用のおそれがある情報は、エンディングノートに直接書き残さず、家族に口頭で伝えるなど別の方法で共有することが大切です。エンディングノートの書き方について詳しくは終活におけるエンディングノートとは?作るときのポイントを解説も併せて確認してください。
周辺の整理
身の回りの持ち物の整理は、誰でも今すぐ始められる終活です。
作業を効率よく進めるポイントとして、一度にすべて終わらせようとせず、部屋、収納、家具、引き出しなど範囲を細かく区切って、毎日少しずつ片づけることで、体力面の負担を軽減できます。
具体的には、ごみ同然と分かっていながら放置してあるものや、いつか使うと思って取っておいて一度も使わなかったもの、年齢的にデザインやサイズが合わなくなった衣類など、「捨てる」か「残す」かの判断がしやすいものから処分していきましょう。持ち物整理のコツについて詳しくは終活における断捨離のコツを解説も併せて確認してください。
終活について、「まだ早いのではないか」「何から始めればいいか分からない」と迷っている人は、周辺の整理から取りかかることで、高齢になっても過ごしやすい快適で安全な住環境が得られます。
よくある質問
- 終活は何歳から始めるのが正解ですか
- 終活を開始する年齢に決まりはありませんが、実態としては60代前後で始める人が多い傾向にあります。定年退職をして時間に余裕ができたことを契機に始める人や、体力と判断力のある元気なうちに取りかかるほうが準備をスムーズに進められると考えて始める人が多いようです。
- 終活を始めるのに遅すぎるということはありませんか
- 年齢を重ねてから終活を始める場合は、体力・判断力の負担が少ないエンディングノートの作成や、身の回りの整理から取りかかることで、無理なく進めることができます。また、体力が必要な作業は家族に協力してもらったり、財産や相続に関することは専門家に相談するなどの方法もあります。
- 終活は何から始めればよいですか
- エンディングノートの記載や身の回りの整理など、体力・判断力を問わないことから取りかかることで無理なく始められます。その際、すべてを一気に終わらせようとするのではなく、エンディングノートは自分の基本情報から、周辺の整理はごみ同然の不用品の処分から着手するとよいでしょう。
- 終活を早く始めるとどんなメリットがありますか
- 体力と判断力のある元気なうちに取りかかるほうが、作業の負担を分散しやすいというメリットがあります。早めに始めれば、一つひとつの作業に割ける時間にも余裕があるので、下調べや準備をしっかり行えるのもポイントです。
- まだ何も終活の準備をしていません。今から始めても大丈夫ですか
- 大丈夫です。終活を先延ばしにすればするほど、手続きや作業をするのが億劫になりがちです。終活は、思い立ったその日が始めどきです。エンディングノートや身の回りの整理など、負担の少ないものから取りかかることで、途中で挫折することなく進めていけます。
この記事の監修者
むすびす株式会社 代表取締役社長兼CEO 中川 貴之
大学卒業後、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの立ち上げに参画。2002年10月葬儀業界へ転進を図り、株式会社アーバンフューネスコーポレーション(現むすびす株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。明海大学非常勤講師。講演・メディア出演多数。書籍出版