葬儀の所要時間の目安は? 葬儀の流れ・日程の決め方をご紹介
葬儀は、喪主として準備を進める側にとっても、参列する側にとっても、時間に関する配慮が欠かせません。
開始時刻や所要時間の目安はもちろん、午前・午後・夕方などの時間帯による注意点や、式場への到着タイミングにも気を配る必要があります。
本記事では、通夜から葬儀・告別式、火葬までの一連の流れとともに、葬儀の時間に関するマナーや段取りを、喪主・参列者両方の視点から解説します。

葬儀にかかる時間はどれくらい?全体像と基本の流れ
葬儀は一般的に2日間にわたって営まれます。1日目は「通夜」、2日目に「葬儀・告別式」と「火葬」を行うのが基本的な流れです。
通夜では、遺族や親族が故人と最後の夜を過ごし、冥福を祈ります。
翌日の葬儀・告別式では、宗教的な儀式とともに、親族や会葬者が別れの時間を持ち、続けて火葬を行います。
ただし近年では、生活スタイルや価値観の変化により、葬儀の時間や日程にも多様性が見られるようになりました。
火葬式のように数時間で終わる形式もあれば、一般葬のように丸2日かかることもあります。
喪主としては、参列者や火葬場・僧侶の都合、宗教儀礼の有無などを考慮しながら、葬儀に必要な時間を適切に見積もることが重要です。
参列者にとっても、いつ何時に式が始まり、どのくらいの時間がかかるのかを事前に把握しておくことで、慌てず心静かに式に臨むことができます。
次章では、葬儀の時間帯(午前・午後・夕方・夜)ごとの特徴と注意点について解説します。
葬儀の時間帯は午前・午後・夕方・夜・いつが多い?
葬儀の開始時間は、火葬場の空き状況によって大きく左右されます。
特に都市部では火葬場が混雑しており、午前中から午後早めの時間帯に葬儀・告別式が行われることが一般的です。
とくに午前10時~11時台に開式し、午後1時ごろまでに火葬を終えるスケジュールが多く見られます。
午後から夕方にかけて葬儀を行うことも可能ですが、斎場や火葬場によっては「午後4時以降の着棺は不可」などの制限がある場合があります。
また、午後からの葬儀は遺族や参列者の拘束時間が長くなる傾向があり、高齢の方や遠方からの出席者への配慮も必要です。
夜間に葬儀を行うことは基本的に推奨されません。
防災上の理由から夜間の火の使用が制限されていたり、式場が夜間利用に対応していなかったりするためです。
そのため、夜に行う儀式としては「通夜式」が主となります。
喪主は火葬場と式場の予約状況を踏まえ、午前・午後・夕方のどの時間帯が現実的かを見極める必要があります。
参列者としても、通夜であれば夕方〜夜、葬儀・告別式であれば午前〜正午前後に行われることが多いという時間帯の傾向を把握しておくと安心です。
通夜から火葬までの所要時間の目安【工程別スケジュール】
葬儀にかかる時間は、通夜・葬儀・告別式・火葬といった一連の流れによって構成されており、工程ごとに所要時間の目安があります。
また、一般葬・家族葬・一日葬・火葬式といった葬儀形式によっても時間は異なります。
たとえば一般的な2日葬(通夜と告別式を別日に行う形式)の場合、喪主や親族は準備や待機も含めて両日で7〜9時間程度を要するのが一般的です。
一方、参列者は通夜・葬儀それぞれ1〜2時間程度の参列となるため、実際の滞在時間はもう少し短くなります。
また、一日葬や火葬式では、半日〜数時間で終えられるケースもあります。
以下は、通夜から火葬までの主な工程ごとの所要時間の目安です。
儀式 | 時間の目安 |
---|---|
通夜 | 2〜3時間程度(受付開始~通夜式終了まで) |
通夜振る舞い | 1時間程度 |
葬儀・告別式 | 1時間〜1時間30分程度 |
出棺・火葬・収骨 | 2〜3時間程度 |
精進落とし | 1時間程度 |
実際には地域の風習や宗教儀礼、火葬場までの移動時間によって多少の前後がありますが、全体を通して5〜10時間程度を想定しておくとよいでしょう。
喪主としては、参列者の負担を考慮しつつ、無理のないスケジュールを組むことが大切です。
形式別に異なる葬儀の時間|一般葬・家族葬・一日葬・火葬式の違い

葬儀にかかる時間は、選択する葬儀の形式によって大きく異なります。
特に近年は、多様な価値観やライフスタイルに対応した葬儀形式が選ばれるようになり、所要時間も柔軟になっています。
一般葬は最も伝統的な形式で、通夜と葬儀・告別式を2日間かけて行うのが一般的です。
多くの会葬者を迎えるため、受付や焼香の時間が長くなる傾向があり、所要時間も相対的に長くなります。
一方、家族葬はごく限られた親族や近しい友人のみで営まれるため、段取りが簡略化されており、通夜・告別式を含めても比較的短時間で行うことができます。
一日葬は通夜を省略し、告別式と火葬を同日に行う形式です。
会場の使用が1日で済むため、準備や移動の負担も少なく、所要時間は半日程度が目安となります。
さらに時間を抑えた形式が火葬式です。
儀式を行わず、安置後に火葬のみを執り行うため、数時間で終了するケースもあります。
特に身内のみで静かに見送りたい方や、経済的な負担を抑えたい方に選ばれることが増えています。
以下に、代表的な葬儀形式ごとの時間の目安を表でまとめました。
葬儀形式 | 時間の目安 | 主な流れ |
---|---|---|
一般葬 | 約8〜10時間(2日間) | 通夜 → 葬儀・告別式 → 火葬 |
家族葬 | 約6〜8時間(2日間) | 通夜 → 葬儀・告別式 → 火葬 |
一日葬 | 約4〜6時間 | 告別式 → 火葬 |
火葬式 | 約2〜3時間 | 火葬のみ |
葬儀の形式と所要時間は、遺族の意向や参列者の状況によって柔軟に選べる時代です。
喪主としては「誰に、どのように見送ってもらいたいか」を出発点に、時間的な負担も含めて最適な形式を検討することが大切です。
喪主が意識すべき時間配分と準備スケジュール

喪主は、葬儀当日の進行だけでなく、前日までの準備や式後の対応まで含めて、全体の時間配分を把握しておく必要があります。
葬儀社との打ち合わせや親族との連絡、僧侶の到着対応など、式の前後にも多くの時間が必要になるため、事前の段取りが欠かせません。
通夜が行われる当日は、午後早めの時間帯から納棺や会場設営、僧侶の控室案内などを行うことが多く、喪主や親族は**通夜開始の2〜3時間前**には式場入りしておくのが一般的です。
葬儀・告別式当日も、弔電の確認や式次第の最終確認、僧侶や参列者の対応などがあり、開式の1時間前には到着しておくことが望まれます。
式後も、出棺時のあいさつ、火葬場での待機・案内、収骨、精進落としの挨拶など、喪主の役割は多岐にわたります。
さらに、葬儀が終わった後も初七日法要やお礼状の手配、香典返し、納骨や四十九日法要などの準備が控えています。
これらを含めたスケジュール全体を見通し、無理のない時間配分を意識することが、喪主としての大切な責任です。
時間に追われて気持ちが乱れてしまわないよう、葬儀社と相談しながら早め早めに準備を進めておくと、当日も落ち着いて臨むことができます。
葬儀の日程と時間が決まる4つのポイント
葬儀の日程や開始時間は、喪主の希望だけでなく、いくつかの外的要因によって調整されます。
特に都市部では火葬場の予約状況や宗教者の都合など、希望通りに組めないことも珍しくありません。
ここでは、葬儀の日程や時間がどのように決まるのか、押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
火葬場と葬儀場の空き状況
日本では火葬が法律で定められているため、火葬場の予約が葬儀日程のベースになります。
また、葬儀を式場で行う場合は、火葬場と葬儀場の両方の空き時間を確保する必要があります。
特に首都圏では火葬場の混雑が激しく、希望の日程が数日ずれることもあります。
僧侶など宗教者の都合
仏式や神式、キリスト教など、宗教儀礼のある葬儀では僧侶や神父などの宗教者の都合を確認する必要があります。
菩提寺がある場合は、その僧侶にお願いすることが通例です。
遠方から来てもらう場合や、既に他の葬儀と重なっている場合には時間の調整が必要になります。
親族や参列者の予定
親族や親しい友人のなかには遠方から駆けつける人もいるため、日程調整は重要なポイントです。
参列者の年齢や体調、交通手段なども考慮し、午前か午後かの時間帯を決める際の参考になります。
また、親族が多い場合は連絡や移動に時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。
六曜(友引)などの暦注
葬儀は「友引」を避けるのが一般的です。
科学的な根拠はありませんが、「友を引く」とされ、縁起を気にして火葬場が休業となる地域もあります。
そのため、友引にあたる日は自然と避けられ、希望日から1〜2日ずれる要因となります。
これらの要因をふまえたうえで、葬儀社と相談しながら日程と時間を決定することが大切です。
事前に希望がある場合は、葬儀社に早めに伝えておくと調整がしやすくなります。
むすびすのお葬式プランと所要時間の目安
むすびすでは、ご遺族のご希望や状況に合わせて選べる複数の葬儀プランをご用意しています。
プランごとに式の内容や流れが異なるため、それぞれの所要時間にも違いがあります。
たとえば、多くの方をお招きして丁寧にお見送りをする「一般葬」では2日間にわたり通夜・葬儀・火葬が行われ、準備や対応時間を含めて8〜10時間ほどかかります。
一方、ご家族やごく親しい方のみでゆっくり過ごす「家族葬」は、よりシンプルな流れとなり、6〜8時間程度が目安です。
通夜を行わず1日で告別式と火葬を行う「一日葬」では、4〜6時間ほどで完結するため、参列者・喪主双方の時間的負担を抑えることができます。
儀式を省略して火葬のみを行う「火葬式」は、準備・移動時間を含めても2〜3時間程度と、最も短時間で済む葬送スタイルです。
以下の表は、むすびすでご案内している代表的な葬儀プランと所要時間の目安です。
お通夜・告別式などの儀式を行わず、限られた親しい方のみでお見送りする火葬式プランもご用意しています。
むすびすのお葬式プラン
プラン | 人数 | 時間の目安 | プラン内容 |
---|---|---|---|
一般葬プラン | 60名程度~ | 2日間約9~10時間 | お迎え、ご安置、通夜、告別式、火葬 |
家族葬プラン | 10名程度 | 一日間約5~6時間 | お迎え、ご安置、告別式、火葬 |
一日葬プラン | 10名程度~ | 一日間約5~6時間 | お迎え、ご安置、告別式、火葬 |
火葬式プラン | 10名程度~ | 一日間約2~3時間 | お迎え、ご安置、火葬 |
葬儀の時間に関するよくある質問【参列・準備・宗教別】
参列者と喪主では、当日にかかる時間は違いますか?
参列者の滞在時間は、通夜・葬儀それぞれ1〜2時間程度が一般的です。
一方で喪主や親族は、会場準備、僧侶の対応、式後の挨拶や火葬場での待機なども含め、1日あたり3〜5時間以上かかることがあります。
午後や夕方から葬儀を行うことはできますか?
多くの火葬場では午後4時以降の着棺に対応していないため、午前〜昼過ぎの時間帯に葬儀が集中します。
ご高齢の参列者や遠方からの来客を考慮すると、日中の時間帯が望ましいケースが多いです。
宗教によって葬儀にかかる時間は変わりますか?
仏式では通夜・葬儀ともに1時間〜1時間半程度、神道やキリスト教も同様の時間配分が一般的です。
儀式の内容によって多少前後することもあります。
初七日法要を葬儀と同日に行う場合、どのくらい時間が延びますか?
繰り上げ初七日は、式中に続けて行う「式中初七日」または、火葬後に会場へ戻って行う「戻り初七日」として営まれます。
いずれの場合も、式の流れに合わせて柔軟に対応されます。
開式時間に間に合わない場合、どうすればよいですか?
当日は受付や式場スタッフに到着を伝え、焼香のタイミングや入場の案内に従いましょう。
式後には喪主やご遺族に直接一言お詫びの言葉を添えると、より誠実な印象を与えます。
葬儀の時間は故人と遺族の想いで決まるもの
葬儀にかかる時間やその組み方は、形式や慣習によって一定の目安はあるものの、絶対的な正解があるわけではありません。
大切なのは、限られた時間の中で、故人とどのように向き合い、どのようなかたちでお別れをしたいかという想いです。
たとえば、ゆっくりと時間をかけて弔いたいご家族もいれば、必要以上に形式にとらわれず、静かに見送りたいと考えるご遺族もいらっしゃいます。
葬儀の時間は、その「送り方」の表れであり、誰かの都合ではなく、故人と遺族の気持ちが優先されるべきものです。
むすびすでは、お客様一人ひとりの想いを大切にし、それぞれにふさわしい時間の過ごし方をご提案しています。
葬儀に「ちょうどいい時間」はあっても「正しい時間」はありません。
形式にとらわれず、ご家族らしいお別れの時間をかたちにしていくことが、私たちの役割だと考えています。

この記事の監修者
むすびす株式会社 代表取締役社長兼CEO 中川 貴之
大学卒業後、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの立ち上げに参画。2002年10月葬儀業界へ転進を図り、株式会社アーバンフューネスコーポレーション(現むすびす株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。明海大学非常勤講師。講演・メディア出演多数。書籍出版