天理教の葬儀を解説

ご葬儀スタイル

日本の葬儀の9割以上は仏式で行われますが、江戸時代の末期以降、民衆自体が教団組織を形成してきた教派神道に「天理教」と呼ばれる宗教があります。
天理教は仏教と死生観が異なるため、葬儀の祭儀式や礼拝の作法などにも違いがあります。
天理教の葬儀を初めて行う喪主や遺族、天理教の葬儀のマナーに不安がある参列者に向けて、天理教教会本部祭儀委員会が令和6年2月に改訂した『おつとめおよび祭儀式』などをもとに、天理教の考え方や特徴、葬儀を手配するために必要な準備などを紹介します。

天理教とはどんな宗教か

天理教は、1838年(天保9年)に奈良県で中山みきによって開かれた宗教で、人の命を「親神様(おやがみさま)」からの授かりものとして感謝しながら生きることを教えとしています。
仏教のように「成仏」や「冥福」を願うのではなく、人の死を「出直し」と捉え、悲しみよりも感謝の心を重んじる点に特徴があります。
こうした思想は葬儀の形にも表れており、「故人の霊を親神様にお預けする」ことを中心に、静かで厳かな儀式として営まれます。
天理教の宗教観を理解すると、葬儀における作法や言葉遣いの背景がより明確に見えてきます。

天理教のはじまりと歴史

天理教は、幕末の民衆宗教として生まれ、明治期に「教派神道」として公認された宗教です。
1838年、創始者・中山みきが神の啓示を受け、困窮する人々の救済を始めたことが教えの出発点とされています。
明治9年には政府が定めた神道教派十三派の一つとして認可され、現在も天理市の教会本部を中心に全国へ広がっています。
こうした歴史的経緯から、天理教の葬儀は仏式ではなく神道に近い形式で行われるようになりました。

信仰の中心と親神様への考え方

天理教の信仰の中心には「天理王命(てんりおうのみこと)」があり、信者はこれを親神様として敬います。
親神様は人の命を生み、日々の暮らしを守る存在とされ、信者はその恵みに感謝して「おつとめ」や礼拝を行います。
教典では、人間の身体は親神様からの「かりもの」と説かれ、命を大切にすることが親神様への感謝のあらわれとされています。
この考え方が、葬儀で「身体を神にお返しする」という儀式の意味につながっています。

「陽気ぐらし」の教えと死生観

天理教が理想とする生き方は「陽気ぐらし」と呼ばれ、互いに助け合いながら明るく暮らすことを重んじます。
悲しみや苦しみの中にも感謝と喜びを見いだし、前向きに生きる姿勢を大切にするのがこの教えの根底にあります。
その思想は、死を悲嘆ではなく「出直し」として受け止める独自の死生観を支えています。
この背景を理解すると、葬儀の礼拝作法や言葉遣いが「感謝」と「祈り」を中心に構成されている理由がよくわかります。

天理教の葬儀の主な特徴

天理教の葬儀は、仏教や神道の形式とは異なり、故人の死を「出直し」として受け止める独自の考え方に基づいて行われます。
人の身体は親神様からの「かりもの」とされ、葬儀はその身体を神へお返しする儀式と位置づけられています。
葬儀全体を通じて「冥福を祈る」というよりも、「感謝」と「再生」の祈りを中心に進められる点が特徴です。
令和6年(2024年)には祭儀の運用が改訂され、玉串奉献の廃止や教服での執行が認められるなど、形式の簡略化も進みました。
ここでは、天理教の葬儀の主な特徴を4つの観点から解説します。
葬儀の基本的な意味を知りたい方は、「葬儀とは何か」「葬儀と葬式の違い」の記事も参考になります。

葬儀は「魂を神に預けるための儀式」

天理教では、葬儀を「別れ」ではなく「故人の霊を親神様にお預けするための儀式」と考えます。
人の身体は親神様からの「かりもの」であり、死とはその身体を神にお返しする行いだとされています。
一方で、霊(みたま)は永遠に生き続け、やがて新しい身体を借りて再びこの世に出直すと教えられます。
そのため、葬儀は冥福を祈るものではなく、感謝と再生への祈りを込めて営まれるのが特徴です。
なお、仏教で使われる「冥福」「成仏」といった言葉は用いず、天理教では「玉串料」や「御供」といった表現を使います。
一般的な香典との違いを知りたい場合は、「葬儀の香典について解説」の記事が参考になります。

「命日」ではなく「出直し日」と呼ぶ

天理教では、故人が亡くなった日を「命日」ではなく「出直し日」と呼びます。
これは、死を人生の終わりではなく、新しい旅立ちとして捉える考えに基づくものです。
霊は親神様のもとで新たな道を歩み始めるとされ、遺族はその再生を祈りながら故人を送り出します。
そのため、式中の言葉や案内文でも「命日」ではなく「出直し日」と記すのが望ましいとされます。
葬儀全体の流れを確認したい場合は、「葬儀における流れ」「葬儀の流れ・日程」も合わせて読むと理解が深まります。

神式に近い形式と天理教独自の作法

天理教の葬儀は神式に近い形式で行われますが、独自の儀礼や用語が多く存在します。
仏式の通夜にあたる「みたまうつし(還霊祭)」は、故人の霊を親神様にお預けする重要な儀式とされています。
また、令和6年2月に天理教教会本部が改訂した『おつとめおよび祭儀式』により、「祓詞奏上」「大麻行事」「葬後祓」、そして葬儀中の玉串奉献が廃止されました。
これにより、儀式の進行がより簡潔になり、正式な斎服がない場合でも教服で執り行えるようになっています。
参列時には数珠を使わず、礼拝の際は拍手をして祈ります。服装は光沢や装飾を控えた喪服が基本で、「葬儀における服装」の記事に詳しい解説があります。

戒名や諡(おくりな)は付けず、生前の名前で呼ぶ

天理教の葬儀では、戒名や法名のような死後の名前を付けず、生前の氏名をそのまま使うのが基本です。
葬儀では「○○様の霊」「○○の霊」と呼び、死後もその人の人格や歩みをそのまま尊重します。
これは、死を永遠の別れではなく一時的な「出直し」とする考え方に基づいています。
氏名の表記は仏式のように戒名へ置き換えず、葬儀プランや礼状などでも統一することが望ましいです。
また、費用全体を把握する際には、「葬儀費用の平均相場と内訳」を参考にしておくと安心です。

天理教の葬儀の流れ

天理教の葬儀の流れ

天理教では、死は人生の終わりではなく「出直し」と捉えられます。
その考え方に基づき、葬儀は仏教式とは異なる目的と順序で進行します。2024年(令和6年)2月の見直しでは、式の簡略化と実施負担の軽減を目的に、いくつかの祭儀が廃止されました。
また、正式な斎服がない場合でも教服で葬儀を執り行えるようになり、実施の柔軟性が高まっています。
全体像を把握したい方は、一般的な進行の流れを解説した「葬儀における流れ」「葬儀の流れ・所要時間」、手続きの確認には「逝去から葬儀を終えるまでの手続き」を参考にすると理解が深まります。

主な改訂点は次のとおりです。

  • 「祓詞奏上(はらいことばそうじょう)」「大麻行事(おおぬさぎょうじ)」「葬後祓(そうごはらい)」の廃止
  • 葬儀中における斎主・参列者双方の玉串奉献の廃止
  • 正式な斎服(重服、浄衣、明衣など)がない場合でも教服での葬儀執行が可能に

これらの変更を踏まえ、現在の天理教の葬儀は次の4つの祭儀式で構成されています。

みたまうつし

「みたまうつし」は、天理教における通夜にあたる重要な儀式で、故人の霊(みたま)を親神様にお預けします。
神道でいう「遷霊祭」に近く、静かな礼拝の中で故人の霊を安らかに送り、再びこの世に出直すことを願います。
以下は一般的な進行の一例です。会場や教会によって一部手順が異なることがあります。

  1. 喪主、家族、親族、その他着席
  2. 斎主以下斎員一同、霊床の前に着席
  3. 副斎主、霊璽(れいじ)を捧持し、故人の前に置く
  4. 斎主、「うつし」の詞を告げ、終われば礼拝
  5. 消燈し、斎主が霊璽を捧持し、霊床に向かう
  6. 霊璽をお社におさめて開扉の後、正座一拝する
  7. 装束師、お燈明を献じる。室内点燈
  8. 斎主、礼拝
  9. 斎主以下斎員一同、所定の位置に着席
  10. 献饌(けんせん):供物を捧げる
  11. 装束師、「しずめ」の詞を後取りにすすめる
  12. 斎主、「しずめ」の詞を告げ、礼拝
  13. 装束師、「しずめ」の詞を後取りより受ける
  14. 副斎主以下斎員、列拝
  15. 喪主、家族、親族、その他、順次礼拝
  16. 会葬者への挨拶
  17. 斎員、退手、退場

発葬儀(はっそうのぎ)

発葬儀は出棺の前に行われる儀式で、発葬詞を奏上し、故人の霊を送り出す支度を整えます。
献饌、礼拝、撤饌の流れを経て出棺へと進むため、葬儀の節目をつくる重要な場面とされています。

  1. 喪主、家族、親族、その他着席
  2. 斎主以下斎員一同、着席
  3. 献饌
  4. 装束師、発葬詞(はっそうし)を後取りにすすめる
  5. 斎主、発葬詞を告げ、礼拝
  6. 装束師、発葬詞を後取りより受ける
  7. 副斎主以下斎員、列拝
  8. 喪主、家族、親族、会葬者代表、順次礼拝
  9. 撤饌(てっせん):供物を下げる
  10. 斎員、退手、退場
    出棺

葬場儀(そうじょうのぎ)

葬場儀は葬儀の中心となる儀式で、仏式でいう告別式や炉前の読経にあたります。
誄詞(しのびことば)では故人の生前の徳をたたえ、葬場詞では親神様への感謝と祈りが捧げられます。
最後に喪主や家族の挨拶、弔電の披露を行い、火葬または埋葬へと進みます。

  1. 喪主、家族、親族、その他着席
  2. 斎主以下斎員一同、着席
  3. 献饌
  4. 装束師、誄詞(しのびことば)を後取りにすすめる
  5. 副斎主、誄詞を告げ、礼拝
  6. 装束師、誄詞を後取りより受ける
  7. 装束師、葬場詞(そうじょうし)を後取りにすすめる
  8. 斎主、葬場詞を告げ、礼拝
  9. 装束師、葬場詞を後取りより受ける
  10. 副斎主以下斎員、列拝
  11. 喪主、家族、親族、会葬者代表、順次礼拝
    弔電を告げる
  12. 会葬者への挨拶
  13. 斎員、退手、退場
    火葬または埋葬

葬儀後の祭儀式

葬儀を終えた後は、十日祭、二十日祭、三十日祭、五十日祭と、一定の間隔で霊を慰める祭儀が続きます。
とくに五十日祭は、霊が親神様のもとへ旅立つ節目とされ、仏教でいう四十九日にあたります。
その後は一年、三年、五年、十年、二十年といった節目で「年祭」が営まれ、家の祖霊舎に合祀する「合祀祭」や納骨祭が行われることもあります。
日程の組み方や準備の流れは、「葬儀の日程について詳しく解説」を参考にすると整理しやすいでしょう。

  • 葬後霊祭(そうごれいさい)
  • 五十日祭
  • 合祀祭(ごうしさい)
葬後霊祭 「葬後霊祭」終了後、引き続き日を繰り上げて「十日祭」が執り行われる場合が多い。
五十日祭 「出直し日(逝去日)」から50日目に行われる重要な節目の祭儀式で、仏式の四十九日に相当します。
合祀祭 故人の霊を家の祖霊舎(それいしゃ)に迎え入れる祭儀式で、五十日祭や納骨祭とあわせて行われることが多い。
一年祭以降 1年、3年、5年、10年、20年と節目ごとに年祭が営まれます。仏教の年忌法要に近い位置づけです。

【喪主・遺族向け】天理教の葬儀を進めるためにやること

故人が天理教の信者である場合、葬儀は天理教の作法と語法に沿って進みます。
仏式とは流れや所作が異なるため、初めて喪主を務める方は、早い段階で準備の全体像を把握しておくと安心です。
ここでは、事前相談から葬儀社選定、会場決定までの基本的な進め方を三つのステップで整理します。全体の時系列は葬儀の流れ逝去から葬儀までの手続きも参考になります。

まずは教会(教会長)に相談する

最初の依頼先は地域の教会長です。式次第や礼拝の所作、語法の統一、弔電や挨拶の扱いまで、運営上の判断を一元化できます。
日程・役割分担・備品の確認をここで進めておくと、以降の調整がスムーズです。時程の組み方は葬儀の日程も併せて確認しておくと見通しが立てやすくなります。

  • 葬儀の日程の決定
  • 祭壇・供物・必要な道具の準備
  • 斎主(さいしゅ)や装束師など儀式を執り行う斎員の手配
  • 雅楽演奏や礼拝の段取り
  • 参列者への案内や式中の対応方法

天理教には独自の式次第と礼拝作法があります。迷う点はその都度教会長に確認し、案内状・式次第・会場掲示の表記をそろえておくと齟齬を防げます。

天理教の葬儀に対応できる葬儀社を選ぶ

天理教の作法に対応した実績のある葬儀社を選ぶことが重要です。
独自の祭儀や役割を理解していないと、所作や動線で混乱が生じやすく、人員や備品の手配に遅れが出ることもあります。教会長から紹介を受けると、当日の連携が取りやすくなります。選定の基本ポイントは葬儀社を選ぶときのポイントが参考になります。

また、天理教の葬儀では次のような専門的な役割の手配が必要になります。

  • 斎主:祭儀を主導する役職
  • 典礼・後取:祭詞の進行を補助する担当
  • 装束師:装束の準備や祭具の取り扱いを行う係

これらは仏式ではあまり見られない役割で、準備期間も必要です。
故人が天理教の信者であることは、できるだけ早く葬儀社へ伝えておくと、要員配置や備品手配が前倒しで進みます。教服での参列案内、着替えスペース、参列者の導線など、当日の運営条件も事前に共有しておくと安心です。

葬儀を行う場所を決める

  • 葬儀社が手配する葬儀場
  • 天理教の教会

理想は教会での施行ですが、規模や使用状況によっては式場を利用します。
その場合でも、教会長と相談のうえで天理教の祭儀に対応できる会場を選び、式次第や表示・案内の語法を統一しておくと、来場者の動線が整います。全体の段取りは葬儀の流れに沿ってチェックリスト化すると確認が容易です。

【喪主・遺族向け】天理教の葬儀にかかる費用の目安

天理教の葬儀費用は、一般的な仏式と大きくは変わりません。首都圏の平均相場はおよそ120万円前後とされ、天理教の葬儀でも同程度を見通しておくと検討しやすくなります。
実際の総額は、依頼する葬儀社のプラン内容や参列人数、会場規模、装飾や演出の有無によって上下します。全体像の把握には「葬儀費用の平均相場と内訳」が参考になります。

儀式関係者や教会への「お礼・寄付」について

天理教の葬儀では、祭儀を担う斎員や教会に対して「お礼」や「寄付金」を包むのが通例です。宗教儀礼に対する感謝を形にするもので、仏式の「お布施」に近い位置づけと考えられます。対象には次のような役務が含まれます。

  • 斎主:祭儀を主導する役職
  • 典礼・後取:祭詞の進行を補助する担当
  • 装束師:装束の準備や祭具の取り扱いを行う係

教会の施設を利用する場合や人員・物品の支援を受ける場合は、教会自体にもお礼を納めるのが一般的です。金額に明確な相場はなく、地域の慣習や教会の方針に合わせて調整されます。包み方や表書きは、教会長に事前確認しておくと安心です(一般的な金封の扱いは「葬儀の香典について」も参考になります)。

費用の見通しを立てるために

天理教の葬儀は、役割や儀礼が多く準備に時間がかかる場合があります。葬儀社のプラン費用だけでなく、斎員へのお礼や教会への寄付まで含めた総額で見積もりを立てると、後からの調整が最小限で済みます。
不明点は一人で抱えず、早い段階で教会長と葬儀社の双方に相談してください。段取りや時程は「葬儀の流れ」「葬儀の所要時間」も併せて確認すると、準備の抜け漏れを抑えられます。

【参列者向け】天理教の葬儀でのマナー

故人が天理教の信者の場合でも、服装や立ち居振る舞いの基本は一般的な葬儀と大きく変わりません。
一方で、礼拝の作法や言葉遣いには天理教ならではの決まりがあります。ここでは、服装の整え方、礼拝の流れ、言葉の選び方、不祝儀袋の表書きまでを簡潔に整理します。全体の作法は「葬儀のマナー」も参照できます。

参列時の服装と身だしなみ

  • ブラックフォーマル(喪服)を着用する
  • 髪は目や肩にかからないようにまとめる
  • 女性のメイクや装飾は控えめにする

服装は一般的な葬儀の基準で問題ありません。男性は黒のフォーマルに白無地シャツと光沢のない黒ネクタイ、女性は光沢のない黒いワンピースやアンサンブルに落ち着いたパンプスを合わせます。
詳細は「葬儀における服装」、個別のガイドとして男性女性子供学生の各記事が参考になります。持ち物は「葬儀の持ち物」をご確認ください。

【服装の例】

男性 ・ダブルまたはシングルのブラックフォーマル
・白無地のワイシャツ(ボタンダウンは避ける)
・光沢のない黒無地のネクタイ
・黒の靴と靴下
女性 ・黒の光沢がないワンピース、アンサンブル
・光沢のない黒のパンプス(ヒール3〜5cm程度)
・黒色のストッキング(厚手すぎないもの)

礼拝の作法

  1. 霊床(たまとこ)の前まで進み、二拝
  2. 控えめな音を心がけて四拍手
  3. 腰を深く折って礼拝
  4. 控えめな音で四拍手
  5. 一拝
  6. 斎員・遺族・親族へ軽く一礼して席へ戻る

天理教の礼拝は「二拝・四拍手・礼拝・四拍手・一拝」の順で行います。神式では音を立てない「しのび手」が一般的ですが、天理教では音を立てても差し支えありません。周囲に配慮し、控えめな所作を心がけるとよいでしょう。なお、天理教では数珠は用いません(一般的な解説は「葬儀における数珠」参照)。

お悔やみの言葉

「この度はご愁傷様でございます」など、一般的なお悔やみの言葉を伝えて差し支えありません。天理教では死を「出直し」と捉えますが、遺族への配慮は他の葬儀と同様に大切です。
一方で、「冥福」「成仏」「往生」「供養」など仏教の語は避けると丁寧です。文面や挨拶の整え方は「葬儀の挨拶の例文」も参考になります。

不祝儀袋の表書き

  • 表書きは「御供料」または「御霊前」を用いる
  • 薄墨の筆ペンなどを使用する
  • 不祝儀袋は無地のものを選ぶ

表書きは「御供料」または「御霊前」とし、「御香典」「御仏前」は避けます。蓮の花など仏式意匠の袋は不向きです。
金額の相場は地域や関係性で幅があります。迷う場合は案内状の記載や教会側の方針を確認すると安心です(基礎知識は「葬儀の香典について」参照)。

天理教の特徴や葬儀のマナー・作法を押さえよう

天理教は、1838年に奈良で生まれた教派神道の一つで、「死=出直し」と捉える独自の死生観を持ちます。
そのため、葬儀における作法や言葉遣いには、仏式とは異なる特徴がありますが、礼拝や服装などの基本を押さえれば、初めての方でも落ち着いて参列できます。
天理教の葬儀では、斎主を中心に儀式が進められ、数珠を使わず「二拝・四拍手・礼拝・四拍手・一拝」で祈りを捧げます。
服装や不祝儀袋の書き方にも特有の作法があるため、事前に確認しておくと安心です。詳しくは葬儀マナーの基本も参考になります。

天理教の葬儀を理解するうえでは、教義の背景と儀礼の意味を知ることが重要です。
葬儀は「故人を送る儀式」であると同時に、「親神様に感謝を伝える祈りの場」でもあります。
この考え方を踏まえると、参列時の振る舞いや言葉遣いにも自然と配慮が生まれます。

お葬式のむすびすでは、天理教をはじめ、仏教・神道・キリスト教など各宗教に対応した葬儀プランをご用意しています。
形式だけでなく、「その人らしさ」を大切にしたお別れを実現するために、宗教儀礼の尊重とご遺族の想いを両立する葬儀づくりを行っています。

よくある質問

天理教の葬儀では導師のことを何と呼ぶ?
斎主と呼びます。 仏式で使われる「導師」という言葉は、供養や読経を行う僧侶を指しますが、天理教では使用しません。 葬儀をはじめとする祭儀を司る人のことを「祭主(さいしゅ)」「斎主(さいしゅ)」と呼び、葬儀の場合は「斎主」が正式な呼称となります。
天理教の葬儀でお供え物に決まりはありますか?
特別な決まりはありませんが、「消え物」が基本です。 天理教の葬儀では、故人が日常的に口にしていたものや好んでいたものをお供えすることが多いです。 たとえば、お米、お餅、お酒、野菜、果物、お菓子などが一般的です。 宗教的に厳格な制限はありませんが、形式よりも気持ちを大切にするのが特徴です
天理教の葬儀で数珠は必要?
持参の必要はありません 天理教には数珠の概念がなく、礼拝にも用いません。 仏教のように数珠を持って拝礼する作法はないため、持っている場合はバッグやポケットにしまい、使用しないようにしましょう。
天理教の葬儀は「一日葬」や「家族葬」でも行えますか?
形式にとらわれず、柔軟に執り行うことが可能です。 天理教の葬儀は、故人やご遺族の意向に応じて一日葬・家族葬という形でも対応できます。 ただし、教会の考え方や地域の慣習、また依頼する葬儀社のプラン内容によって対応が異なる場合もあるため、事前に教会長や葬儀社と十分に相談することが大切です。

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中川 貴之