葬儀と葬式の違いは何？それぞれの言葉の意味を解説

葬儀と葬式の違いとは？言葉の意味と使い分け

「葬儀」と「葬式」は同じように使われることが多い言葉ですが、実は意味に違いがあります。
この章では、それぞれの言葉が示す範囲や背景、そして使い分けの考え方について解説します。

葬儀の意味とは

「葬儀」とは、故人の冥福を祈り、成仏を願うために行われる宗教的な儀式を指します。
仏教であれば僧侶による読経や焼香などが中心となり、故人を弔う正式な儀礼です。

キリスト教や神道など、宗教によって儀式の内容は異なりますが、いずれも故人の魂を送り出すための宗教的な行為である点は共通しています。

葬式の意味とは

「葬式」とは、「葬儀」と「告別式」を含む、社会的な別れの場全体をまとめた表現です。
宗教儀礼だけでなく、参列者とのお別れや火葬までを含めた一連の流れを指すことが多く、日常会話ではこちらの方が使われやすい傾向にあります。

「お葬式に行く」「葬式の準備をする」など、具体的な行動を表すときにも自然に使われています。

葬儀と葬式の違いを整理すると

簡潔に整理すると、
葬儀＝宗教儀礼、葬式＝社会的行事全体という違いがあります。

ただし、現代では厳密に区別されることは少なく、会話の中ではほぼ同義で使われることも多いため、言葉の選び方に過度に神経質になる必要はありません。

どちらの言い方を使えばいい？

案内文や公式な場面では「葬儀」という言葉を使うのが一般的です。
たとえば「葬儀のご案内」「葬儀を執り行いました」など、やや丁寧で格式のある印象を与えることができます。

一方、「葬式」は日常的で親しみのある言い方です。
友人同士の会話や、子どもへの説明などには「お葬式」という表現の方が伝わりやすいでしょう。

「葬儀」「葬式」「告別式」の違い｜混同しやすい用語を解説

「葬儀」「葬式」「告別式」は似たように使われることが多い言葉ですが、それぞれに意味や役割の違いがあります。
この章では、3つの用語の定義や関係性を整理し、混同しないためのポイントをわかりやすく解説します。

告別式とは何か

「告別式」とは、故人と社会的にお別れをする儀式を指します。
宗教色のない自由な形式で行われることもあり、参列者が弔辞や献花を通じて、故人との最後の別れを告げる場です。

一般的には「葬儀」と同時に行われることが多く、前半が葬儀（宗教儀礼）、後半が告別式という流れが一般的です。
特に仏式ではこの形式がよく見られます。

葬儀と告別式はセットで行われる？

多くのケースで「葬儀」と「告別式」は一続きの流れとして行われます。
ただし宗教の有無や、葬儀の形式によっては告別式だけを行うこともあります。

たとえば、無宗教葬では読経などの宗教的儀式を行わず、告別式として献花や故人の思い出を語るスタイルが主となることがあります。

3つの用語の関係を整理

ここで、「葬儀」「葬式」「告別式」の違いと関係性を整理しておきましょう。

このように、「葬儀」「告別式」は場面や役割が異なり、それらをひとまとめにした言い方が「葬式」と理解すると、違いが明確になります。

葬儀・葬式の基本的な流れ

葬儀や葬式は、形式によって内容が異なりますが、一定の流れに沿って進められます。
この章では、一般的な進行順、近年増えている簡略化された形式、そして喪主と参列者それぞれの役割についてご紹介します。

一般的な葬儀の進行（通夜〜火葬まで）

葬儀や葬式の一般的な流れは、次のようなステップで進行します。

1. 訃報の連絡
2. ご遺体の搬送・安置
3. 葬儀社との打ち合わせ
4. 納棺・通夜
5. 葬儀（宗教儀礼）・告別式（お別れの場）
6. 火葬・収骨
7. 精進落とし・後飾りの準備

宗教や地域によって細かな違いはありますが、上記が最も一般的なパターンです。
亡くなってから葬儀・火葬までの日程は、おおむね2〜5日程度が目安とされています。

一日葬・直葬など簡略化された形式も

近年では、従来の2日葬（通夜＋葬儀・告別式）に加え、より簡略化された形式も選ばれています。
代表的なものに「一日葬」や「直葬（火葬式）」があります。

一日葬は通夜を省略し、葬儀・告別式を1日で執り行う形式です。
参列者への負担が少なく、高齢の親族が多い場合にも適しています。

直葬は儀式を行わず、火葬のみを行う葬儀です。
費用を抑えたい場合や、宗教儀礼を必要としないご家庭で選ばれることがあります。

喪主・参列者で異なる動きや役割

葬儀・葬式の進行中は、喪主と参列者で求められる対応が大きく異なります。

喪主や遺族は、葬儀社との打ち合わせ、僧侶の手配、参列者への連絡など、多くの準備や調整を担います。
また、通夜・葬儀中は挨拶や接待など、精神的にも体力的にも負担がかかる役割です。

一方で参列者は、故人への哀悼の意を表し、儀式に静かに参加するのが基本です。
香典を持参し、焼香や献花を行い、遺族に対してお悔やみの言葉を伝えることが主な役割となります。

喪主・参列者別に見る言い方とマナー

「葬儀」「葬式」といった言葉は、場面や立場によって適切な使い方や言葉遣いが異なります。
この章では、喪主としての案内文や挨拶、参列者としての配慮のある言い回しについてご紹介します。

案内文・挨拶文での適切な表現

喪主として葬儀の案内文やお礼状を作成する際には、「葬儀」という言葉を用いるのが一般的です。
「葬儀を執り行いました」「故人の葬儀に際し、ご厚情を賜り誠にありがとうございました」といった文面が代表例です。

一方、「葬式」という表現はややカジュアルな印象を持つため、文書上では避ける傾向があります。
案内やお礼の場面では、より丁寧な「葬儀」という語を選ぶようにしましょう。

弔電・香典袋に使う言葉の違い

弔電や香典袋の表書きなど、書面に記す言葉にも注意が必要です。
一般的には「御霊前」「御香典」など宗教に応じた表現を用いますが、「葬儀」や「葬式」という語は文面では登場しません。

ただし、弔電の文中で「ご葬儀のご様子をうかがい…」などと書く場合には、「ご葬儀」という言葉を用いるのが無難です。
「葬式」という表現は、フォーマルな書状では避けるべきとされています。

会話やメールで気をつけたい言葉遣い

参列者として遺族にお悔やみの言葉を伝える際は、「ご葬儀」「お別れ」など丁寧な表現を心がけましょう。
「葬式に行く」「葬式だったらしい」という表現は日常会話では使われますが、遺族に対して直接使うのは避けるのが礼儀です。

メールなどの文章でも「ご葬儀に際し、心よりお悔やみ申し上げます」といった表現が一般的です。
形式張りすぎない中にも、思いやりのある言い方を選ぶことが大切です。

「葬儀」と「葬式」のよくある質問

どの言葉を使うかよりも、大切にしたい気持ち

「葬儀」「葬式」「告別式」。
それぞれの言葉には確かな意味の違いがありますが、最も大切なのは、故人を想う気持ちや、遺族への配慮の心です。

言葉の選び方に正解があるわけではありません。
ただ、場面や立場に合わせて丁寧に使い分けようとする姿勢こそが、相手への敬意として伝わります。

喪主であれば、案内文や挨拶の一言に心を込めて。
参列者であれば、言葉遣いの端々に想いやりを乗せて。
そうした小さな気づかいが、悲しみの中でも人の心をあたたかく包みます。

言葉を通じて、大切な人との別れに寄り添うこと。
それが何よりも大切なことではないでしょうか。