自宅葬とは?葬儀におけるポイントを解説

ご葬儀スタイル

自宅葬とは、自宅を会場として行う葬儀のことです。
斎場や葬儀会館を使わず、住み慣れた場所で故人を見送れる点が大きな特徴です。
一方で、自宅葬を選ぶ人は全体のごく一部にとどまり、誰にでも当てはまる形式ではありません。
この記事では、自宅葬の基本的な考え方と、選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。

自宅葬とは自宅で故人を見送る葬儀形式

自宅葬とは、葬儀の形式にかかわらず、自宅を会場として行う葬儀のことです。一般葬であっても家族葬であっても、会場が自宅であれば自宅葬に分類されます。

自宅葬は、参列者の範囲や式の進め方を指す言葉ではなく、どこで葬儀を行うかという会場の分類です。家族葬という言葉が参列者を限定した形式を指すのに対し、自宅葬は場所だけを定義する言葉のため、両者は重なる場合もあれば、重ならない場合もあります。親しい人だけで行う家族葬を自宅で行えば自宅葬でもあり家族葬でもありますが、一般葬を自宅で行えば自宅葬でありながら一般葬になります。

形式と会場を分けて捉えると、自宅葬を検討する際に「形式をどうするか」と「会場をどこにするか」を分けて考えられるようになります。式場で行う一般的な葬儀との違いは、式場利用料が発生しない点だけではありません。祭壇の設営や進行の一部を、自宅の環境に合わせて家族側で整える必要がある点も、大きな違いのひとつです。自宅葬と一般葬の具体的な違いが気になる方は、自宅葬は大変なの?一般葬との違いを交えながら解説も併せて確認してください。

自宅葬は少人数で故人をゆっくり見送りたい家族に向いている

自宅葬は、住み慣れた場所で故人と過ごす時間を大切にしたい家族に向いています。式場のように利用時間が決められていないため、家族のペースに合わせて進行できる点が特徴です。

斎場での葬儀は、式場の空き状況や利用時間に進行を合わせる必要があり、限られた時間の中で式を終えなければなりません。自宅葬であれば、こうした時間の制約を受けにくく、故人と過ごす最後の時間を落ち着いて確保できます

自宅という個人的な空間で行うため、遺影や思い出の品を自由に飾るなど、その家族らしい見送り方を実現しやすいことも特徴のひとつです。少人数で身内だけで見送りたいと考える家族にとって、自宅葬は選択肢の一つになります。

自宅葬を選ぶ人は全体の一部にとどまる

自宅葬は、葬儀全体のなかでごく一部にとどまる選択肢です。むすびすが一都三県エリアで対応した葬儀のうち、自宅葬が占める割合は2022年が3.19%、2023年が3.35%、2024年が1.99%、2025年が1.76%という結果でした。

この数値は一都三県エリアの実績であり、全国の傾向を示すものではありません。年によって多少の増減はあるものの、自宅葬を選ぶ家族は、式場を利用する家族に比べて少数派であるという傾向は変わっていません。

少数派であることは、自宅葬が劣った選択肢であることを意味しません。住み慣れた場所で見送りたいという希望に応えられる形式として、一定数の家族に選ばれ続けています。

自宅葬を行う際は自宅の状況を把握しておく必要がある

自宅葬を行えるかどうかは、自宅の状況によって左右されます。祭壇を置く場所や棺を運び入れる経路を自宅の中に確保できるかが前提になり、最終的な実施可否は葬儀社が判断します。

ただし、その判断材料となる情報は、家族自身が事前につかんでおく必要があります。住宅の状況を伝えられる状態にしておくことで、葬儀社への相談や実施可否の判断がスムーズに進みます。確かめておきたい点は、大きく3つに分けられます。

祭壇を設置できる広さを把握しておく

祭壇を設置するために必要な広さは、祭壇の規模や参列者の人数によって変わります。一般的な目安は6畳以上の部屋ですが、必要な広さは住宅ごとに異なり、最終的な判断は葬儀社が住宅の状況を踏まえて行います。

祭壇のための空間に加え、読経や焼香を行うスペースや、控室として使う部屋が必要になる場合もあります。間取りによっては、複数の部屋をどう使うかも合わせて考えておくとよいでしょう。

部屋数や広さに余裕がない場合は、家具の配置を変えることで対応できる住宅もあります。どの部屋をどう使えそうか、家族の中で具体的に想定しておくと、葬儀社への相談時に状況を伝えやすくなります。祭壇の具体的な設置方法が気になる方は、どうすればいい?自宅葬における祭壇を解説も併せて確認してください。

棺を搬入できる経路を把握しておく

棺を自宅に運び入れる経路は、玄関の幅や廊下の幅、部屋までの曲がり角の形状によって条件が変わります。これらの寸法や形状を事前に確かめておくことが、搬入可否を判断するための材料になります。

特に注意したいのは、集合住宅やエレベーターを利用する住宅です。エレベーターのサイズによっては棺が入らない場合があり、搬入方法を別に検討する必要が出てきます。

経路の寸法を正確に測るのが難しい場合は、葬儀社に実際の住宅を見てもらうことで、より確実な判断につながります。

住宅の種類によって把握すべき点が異なる

住宅の種類によって、自宅葬を行う際に気をつけたい点は異なります。戸建て住宅は比較的自由度が高い一方、マンションや賃貸物件は、共用部分の使用条件や管理規約についても確かめておく必要があります。

マンションの場合は、共用の通路やエレベーターを使うため、管理会社や近隣住戸への確認が欠かせません。賃貸物件の場合も、大家や管理会社への確認に加え、契約上の制約が定められている場合があります。

住宅の種類ごとに気をつけたい点は異なるため、自宅の種類に応じて何を伝えられるようにしておくべきかを、あらかじめ把握しておくことが葬儀社との相談を円滑に進める前提になります。

自宅葬を行いたい場合は対応できる葬儀社への確認が次の一歩になる

自宅の状況を把握したら、次は対応できる葬儀社に相談する段階です。住宅の広さや搬入経路は専門的な視点での確認が必要になるため、実施可否の判断は葬儀社に委ねることになります

葬儀社への確認は、相談先を選ぶところから始まります。自宅葬に対応している葬儀社であれば、住宅の状況を踏まえたうえで、実施可能かどうかや当日の進め方について相談に応じてもらえます。

自宅葬の実績がある葬儀社かどうかを複数社で確認する

自宅葬は式場での葬儀に比べて対応できる葬儀社が限られるため、相談先を選ぶ際は自宅葬の実績があるかどうかを調べておくことが重要です。実績のある葬儀社であれば、住宅ごとに異なる条件への対応や、当日の進行についても具体的な相談がしやすくなります。

一社だけに相談するのではなく、複数の葬儀社に相談しておくことで、対応内容や提案の違いを比較できます。同じ住宅の状況を伝えても、葬儀社によって対応できる範囲や進め方の提案は異なるため、比較したうえで依頼先を判断するとよいでしょう。

実績の有無や対応範囲を事前に調べておくことが、相談先を選ぶ際の判断材料になります。

自宅の環境を伝えて対応可否を判断してもらう

相談先を決めたあとは、部屋の広さや玄関までの経路、住宅の種類といった、自宅の環境をできるだけ具体的に伝えることが重要です。伝える情報が具体的であるほど、対応可否の判断も正確になります。

マンションや賃貸物件の場合は、管理規約や共用部分の使用条件についても合わせて伝えておくと、実施可否の判断がスムーズに進みます。住宅の状況によっては、葬儀社に自宅を実際に確認してもらうことで、書面や口頭だけでは分からない条件を把握してもらえます。自宅葬にかかる費用が気になる方は、いくらかかる?自宅葬の費用を解説も併せて確認してください。

住宅の状況を伝え、実施できるかどうかの判断を専門的な視点に委ねることが、この段階の目的になります。

確認や相談は早い段階で行うほど選択肢が広がる

自宅葬に関する確認や相談は、検討を始めた早い段階で行うほど、選べる選択肢が広がります。住宅の条件によっては祭壇の配置や搬入方法に工夫が必要になる場合があり、対応を考える時間が確保できれば、より希望に近い形で実現しやすくなります。

相談のタイミングが遅くなると、確認すべき点を十分に検討できないまま当日を迎えることになりかねません。自宅葬を希望する場合は、葬儀が必要になる前の段階から、対応できる葬儀社を把握しておくことが安心につながります

事前相談を活用すれば、自宅の環境に応じた具体的な準備内容や注意点を、早い時点で把握できます。

よくある質問

自宅葬と家族葬は同じものですか?
自宅葬と家族葬は異なる分類です。家族葬は参列者の範囲を基準にした分類で、自宅葬は会場を基準にした分類のため、両者は重なる場合もあれば重ならない場合もあります。家族葬を自宅で行えば自宅葬でもあり家族葬でもありますが、自宅で行う一般葬も自宅葬に含まれます。
自宅葬は誰でも選べますか?
自宅葬を行えるかどうかは、自宅の状況によって左右されます。祭壇を設置できる広さや、棺を運び入れる経路を確保できるかが前提になり、最終的な実施可否は葬儀社が住宅の状況を踏まえて判断します。
マンションでも自宅葬はできますか?
マンションでも自宅葬を行える場合がありますが、戸建て住宅に比べて確認すべき点が増えます。共用部分の使用条件やエレベーターのサイズ、管理規約について、事前に管理会社や近隣住戸への確認が必要になります。
自宅葬はどのタイミングで葬儀社に相談すればよいですか?
自宅葬を検討し始めた早い段階で相談するほど、選べる選択肢が広がります。相談のタイミングが遅くなると、祭壇の配置や搬入方法について十分に検討する時間が確保できないまま当日を迎えることになりかねません。
自宅葬に対応している葬儀社はどう選べばよいですか?
自宅葬は式場での葬儀に比べて対応できる葬儀社が限られるため、自宅葬の実績があるかどうかを確認することが重要です。1社だけでなく複数の葬儀社に相談し、対応内容や提案の違いを比較したうえで依頼先を判断するとよいでしょう。

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中川 貴之