浄土宗の葬儀を解説

ご葬儀スタイル

浄土宗は、阿弥陀仏の慈悲を信じ、「南無阿弥陀仏」を唱えることで誰もが極楽浄土に往生できると説く仏教の宗派です。
平安時代末期、貴族中心だった仏教を民衆にも開いた法然上人(ほうねんしょうにん)が、すべての人が救われるための実践として専修念仏(せんじゅねんぶつ)の教えを説いたことに始まります。
飢餓や疫病、争乱が続く不安の時代に、法然上人は身分や財力、学識に関係なく、念仏を唱えるだけで阿弥陀仏の導きを受け、命の終わりには極楽浄土へ往生できると示しました。
この平等の思想は多くの人々に広まり、後の鎌倉新仏教の礎ともなりました。
現在、浄土宗は法然上人が開山した総本山・知恩院を中心に、「七大本山」と呼ばれる増上寺、光明寺、善光寺大本願、金戒光明寺、知恩寺、清浄華院、善導寺など全国に広がり、海外にも寺院を有しています。
この記事では、浄土宗の葬儀の特徴や流れ、参列時の作法、喪主としての準備やお布施の考え方を、中立的な視点で整理します。
なお、葬儀の細かな作法や費用は寺院や地域によって異なるため、最終的な確認は菩提寺や担当僧侶、葬儀社の案内に従ってください。

浄土宗とは

浄土宗は、阿弥陀仏の慈悲を信じて「南無阿弥陀仏」を称えることで、誰もが極楽浄土に往生できると説く仏教の宗派です。
平等に救いが開かれている点が特徴で、葬儀でも念仏と読経を中心に、落ち着いた儀礼が行われます。

平安時代末期、法然上人(ほうねんしょうにん)によって開かれました。
当時の仏教が貴族中心に偏っていた状況をふまえ、身分や学識に関係なく実践できる救いの道として、専修念仏(せんじゅねんぶつ)が示されました。

成立の背景と専修念仏

飢饉や疫病、戦乱が続いた時代、人々の間に末法思想が広がっていました。
法然上人は善導大師「観無量寿経疏(かんむりょうじゅきょうしょ)」に学び、念仏を一心に称える実践を誰もが行える救いの道として提示しました。

念仏の実践は、財力や学識を前提にせず、広く受け入れられました。
やがて庶民だけでなく九条兼実ら貴族層にも支持が広がり、後の鎌倉新仏教の流れにも影響を与えました。

宗歌に表れた平等の思想

「月影の いたらぬ里は なけれども ながむる人の こころにぞすむ」は、阿弥陀仏の光がすべてに等しく届くことを表します。
その光を受けとめるには、阿弥陀仏への信頼と念仏の実践が大切だという含意があります。

本山と信仰の広がり

総本山は京都の知恩院です。
七大本山(増上寺〈東京〉、光明寺〈神奈川〉、善光寺大本願〈長野〉、金戒光明寺・知恩寺・清浄華院〈京都〉、善導寺〈福岡〉)を中心に全国へ広がり、海外にも寺院があります。

浄土宗は「念仏による救い」を軸に発展してきました。
葬儀においても、念仏と読経で故人の往生を願う点が実務の基調になります。

浄土宗の葬儀の主な特徴

浄土宗の葬儀は、故人を仏弟子として迎える授戒(じゅかい)の儀式と、阿弥陀仏の浄土へ導くための引導(いんどう)の儀式から成り立っています。
念仏によって阿弥陀仏の慈悲にすがり、故人の往生を願う点が他宗派との大きな違いです。

主な特徴は、次の3つにまとめられます。

  • 葬儀を営む場所によって名称や式次第が異なる
  • 炬火(たいまつ)を象徴する法具を用いた儀式がある
  • 焼香の回数に決まりがない

これらの要素は、阿弥陀仏の教えを背景とした「念仏を中心とする葬送儀礼」という点で共通しています。
浄土宗の儀礼全体の流れについては、葬儀の流れの解説も参考になります。

葬儀を営む場所によって名称や式次第が異なる

浄土宗の葬儀は、営む場所によって呼び方と進行が異なります。
寺院や葬儀場で行う「堂内式(どうないしき)」、火葬場や墓地で行う「三昧式(さんまいしき)」、自宅で行う「自宅葬(じたくそう)」の三つがあります。

本来は寺院で行う堂内式が正式とされますが、現在では葬儀場での実施が主流です。
葬儀の内容や順序は地域や寺院の慣習によっても多少異なります。
堂内式では本尊に向かって読経を行い、僧侶による引導が中心となりますが、三昧式や自宅葬では時間や規模に合わせて一部の儀式を簡略化することもあります。

炬火を表した法具による儀式がある

浄土宗の葬儀で特徴的なのが「下炬(あこ)」と呼ばれる儀式です。
僧侶が2本の炬火(たいまつ)を模した法具を持ち、1本を地に捨て、もう1本で円を描いて「引導下炬文(いんどうあこぶん)」を唱えます。

この行為には次の意味が込められています。

  • 捨てる炬火:煩悩に満ちたこの世を離れる「厭離穢土(えんりえど)」
  • 円を描く炬火:極楽浄土への往生を願う「欣求浄土(ごんぐじょうど)」

火を象徴とするこの儀式は、故人が現世の苦しみを離れ、光明の中で新たな命を得ることを象徴しています。
宗派の中でも印象的な場面であり、浄土宗の葬儀を特徴づける重要な儀式のひとつです。

焼香の回数に決まりはない

浄土宗では、焼香の回数に明確な定めはありません。
参列者の人数や葬儀の流れに応じて、1回から3回のいずれかで行われます。
回数よりも「阿弥陀仏に対する感謝と祈りの心」が重視されます。

焼香の基本的な作法は次のとおりです。

  1. 右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香をつまむ
  2. 左手を右手の下に添え、抹香を額のあたりに押しいただく
  3. その後、香炉に静かにくべる

焼香は故人への哀悼を示す行為であると同時に、念仏を通じて自らの心を清める意味もあります。
焼香や参列時の作法について詳しくは、葬儀マナー・作法の記事も参考になります。

浄土宗の葬儀の流れ

浄土宗の葬儀は、故人を仏弟子として迎える授戒(じゅかい)と、阿弥陀仏の浄土へ導く引導(いんどう)を中心に進みます。
営む場所は「堂内式(寺院・葬儀場)」「三昧式(火葬場・墓地)」「自宅葬」に分かれ、式次第や所要時間は地域と寺院の慣習によって異なります。

浄土宗の葬儀は、阿弥陀仏の本願に感謝し、念仏を称えることで故人の往生を願う儀式です。
全体の流れは次のように構成されます。

  • 枕経(まくらぎょう)から通夜
  • 葬儀式・告別式(引導中心)
  • 火葬・初七日法要
  • 中陰法要(初七日〜四十九日)
  • 年忌法要(例:一周忌・三回忌など)

それぞれの場面で、阿弥陀仏への念仏と読経が中心となります。
全体像を理解しておくと、参列や喪主としての準備がスムーズです。

通夜

通夜は、故人を偲び、家族や親しい人々が共に念仏を唱える時間です。
本来は臨終時に授戒を行う「臨終行儀(りんじゅうぎょうぎ)」が重視されますが、現代では通夜で僧侶が授戒を行うのが一般的です。

読経では、「阿弥陀経」や「四誓偈(しせいげ)」「仏身観文(ぶっしんかんもん)」などが唱えられます。
儀式の最後には、念仏と回向(えこう)によって功徳をすべての人に振り向け、極楽往生を願います。

所要時間はおおむね30分〜1時間ほど。導師や葬儀社の案内に従って進行すれば問題ありません。

葬儀式・告別式

葬儀式は浄土宗の儀式の中心であり、導師が引導を授ける場面です。
告別式は社会的なお別れの式典として行われ、弔辞・弔電・焼香などが続きます。両者をまとめて1つの式として行うことも一般的です。

代表的な流れは次のとおりです。

  1. 読経・念仏(阿弥陀仏の本願に感謝)
  2. 引導(導師が故人を仏弟子として浄土へ導く)
  3. 下炬(あこ)の儀式(炬火を用いた象徴的儀礼)
  4. 弔辞・弔電の拝読
  5. 焼香(1〜3回が目安)
  6. 回向(故人と遺族に功徳を回す)

下炬(あこ)は、浄土宗特有の儀式です。
導師が2本の炬火(たいまつ)を模した法具を持ち、1本を地に捨て、もう1本で円を描いて「引導下炬文(いんどうあこぶん)」を唱えます。

  • 捨てる炬火:煩悩に満ちたこの世を離れる「厭離穢土(えんりえど)」
  • 円を描く炬火:極楽浄土を願い求める「欣求浄土(ごんぐじょうど)」

火を象徴とするこの儀式は、故人が現世の苦しみを離れ、光明の中で新たな命を得ることを表しています。
引導・読経・焼香の一連は、阿弥陀仏の慈悲を実感する場として重要です。

葬儀の形式(堂内式・三昧式・自宅葬)

浄土宗の葬儀は、営む場所によって次の3形式に分かれます。

  • 堂内式(どうないしき):寺院や葬儀場で営まれる正式な形式。導師が本尊に向かい読経と引導を行います。
  • 三昧式(さんまいしき):火葬場や墓地で行う簡略形式。読経と焼香を中心に構成されます。
  • 自宅葬(じたくそう):自宅で行う小規模形式。空間に合わせて儀式を短縮する場合があります。

いずれの形式でも中心は「念仏と引導」。
地域や寺院によって順序や所要時間は異なるため、事前に僧侶や葬儀社と相談して進めることが大切です。

初七日・四十九日と年忌法要

葬儀後は、初七日から四十九日までの「中陰法要(ちゅういんほうよう)」が続きます。
現代では、初七日法要を葬儀当日に繰り上げて行うことも一般的です。
四十九日(忌明け)には納骨を行い、これを一区切りとします。

その後は、一周忌・三回忌などの年忌法要を営みます。
これらは故人を偲ぶだけでなく、遺族が念仏の教えに改めて向き合う機会でもあります。

日程をずらす場合は、命日より前に行うのが一般的です。
法要の具体的な日程や納骨の時期は、菩提寺と相談して決めると安心です。

葬儀参列時の心得

浄土宗の葬儀では、焼香の回数や立ち位置に厳密な決まりはありません。
葬儀社や導師の案内に従い、静かに合掌・焼香すれば問題ありません。
数珠の扱いや服装など、作法に迷う場合は葬儀のマナー・作法も参考になります。

【喪主・遺族向け】浄土宗の葬儀を進めるために準備すべきこと

葬儀は故人の信仰に沿って営むのが基本です。
喪主や遺族の宗派が異なる場合でも、浄土宗で行うなら、儀礼や段取りを事前に把握しておくと進行がスムーズです。
最初の判断軸は、「菩提寺(ぼだいじ)の有無」です。

菩提寺の有無を最初に確認する

菩提寺とは、先祖代々のお墓を管理し、法要や葬儀を依頼してきた寺院を指します。
浄土宗の檀信徒であれば、日常の勤行や年忌法要も同寺院で行われていることが多いです。

基本の連絡先は次のとおりです。

  • 菩提寺がある:菩提寺と葬儀社に連絡
  • 菩提寺がない:葬儀社に連絡(浄土宗の僧侶手配を相談)

菩提寺の有無は、戒名の授与・納骨の可否・葬儀場所に影響します。
不明な場合は、家族・親族に確認しましょう。

菩提寺がある場合の進め方

菩提寺と葬儀社の双方に連絡し、僧侶・葬儀社担当者と日程・場所・形式を決めます。
葬儀は菩提寺で営むほか、葬儀社の会館を利用して菩提寺の僧侶をお招きする形も一般的です。

  1. 菩提寺と葬儀社に連絡
  2. 日程・場所(菩提寺/会館)・規模を相談
  3. 式次第・必要な法具・席次・焼香動線を確認

注意点:菩提寺が遠方でも必ず連絡します。連絡を怠ると、納骨の受け入れに支障が生じる場合があります。

菩提寺が遠方にある場合の分岐

僧侶のご来訪可否で対応が変わります。
次の表を目安に、葬儀社とも並行して調整しましょう。

状況 進め方 補足
僧侶が出向ける 会場(菩提寺/会館)と日程を確定 交通・宿泊の要否を事前確認
出向けないが紹介可 紹介寺院・僧侶に連絡し依頼 戒名は菩提寺、読経は近隣僧侶と役割分担も可
出向けず紹介不可 葬儀社に浄土宗の僧侶手配を依頼 事後に菩提寺へ経過報告し関係維持

菩提寺がない場合の進め方

葬儀社に連絡して、会館の確保と浄土宗の僧侶手配を相談します。
対応や費用は社によって差があるため、見積もり比較が有効です。

  • 浄土宗の僧侶を紹介できるか
  • 葬儀後の法要(初七日・四十九日・年忌)や納骨まで対応可能か
  • お布施の目安・支払い方法の確認

作法面が不安な場合は、葬儀のマナー・作法の基礎も併せて確認しておくと安心です。

浄土宗の葬儀を営む場所(ケース別)

代表的な場所の選び方は次のとおりです。
地域・寺院の慣習や参列人数、移動距離を考慮して決定します。

ケース 主な葬儀場所 ポイント
菩提寺がある 菩提寺/自宅/葬儀社会館(僧侶を招く) 寺院指定の会館・葬儀社がある場合あり
菩提寺が遠方 紹介寺院/葬儀社会館(紹介僧侶が来訪) 戒名は菩提寺、読経は近隣僧侶など役割分担可
菩提寺がない 葬儀社会館(葬儀社紹介の浄土宗僧侶) 法要・納骨まで一括依頼できるか確認

判断の目安と注意点

  • 迷ったら納骨先に近い場所を検討(移動負担と後続法要が円滑)
  • 僧侶紹介を受けた場合も、菩提寺へ事後報告して関係維持
  • 儀礼は地域差があるため、導師と葬儀社の案内に従うのが確実

段取り全体の流れは、葬儀の流れの基礎解説も参考になります。

【喪主・遺族向け】浄土宗の葬儀にかかる費用

浄土宗の葬儀にかかる費用は、葬儀社の料金体系や菩提寺・僧侶の考え方によって異なります。
ここでは、費用の内訳やお布施の目安、支出を抑えるための方法を整理します。

葬儀費用の内訳と相場

葬儀全体の費用は形式や参列人数によって異なりますが、総額で150万〜200万円前後になることもあります。
主な内訳は次の3つです。

  • 葬儀を行うための基本費用(会場・祭壇・火葬場など)
  • 参列者へのおもてなし費用(料理・返礼品など)
  • 僧侶へのお布施や関連費用

葬儀の基本費用は、全体の約半分を占めるとされます。
家族葬など少人数で行う場合は、祭壇や会場規模を抑えられるため、100万円前後で収まるケースもあります。

お寺にかかわる費用には、戒名や読経のお礼としての「お布施」、移動のための「御車代」、通夜振る舞いを辞退された場合に渡す「御膳料」などがあります。
これらの合計は地域差もありますが、20万〜60万円程度を見込むと安心です。

お布施の目安

お布施は読経や戒名への報酬ではなく、仏教でいう「布施行(ふせぎょう)」の一つとして、僧侶に感謝を伝える行為です。
金額に明確な定めはなく、菩提寺や地域の慣習によって異なります。

浄土宗の戒名は、
「院号」+「道号(または誉号)」+「戒名」+「位号」で構成され、位号が上位になるほどお布施の目安も上がります。
また、戒名の冒頭に本尊・阿弥陀如来を表す梵字(ぼんじ)が入ることもあります。

一般的な戒名である「信士・信女」の場合は、30〜50万円程度が目安です。
導師や式衆(脇導師)の人数によっても総額は変動します。
また、初七日法要を葬儀当日に合わせて行う場合は、その分を合わせてお渡しすることもあります。

【浄土宗のお布施の内訳例】

項目 費用の目安 補足
導師 お布施30〜50万円+御車代・御膳料 各1〜2万円 菩提寺の僧侶が務めることが多い
式衆(脇導師) お布施10〜20万円×人数+御車代・御膳料 各1〜2万円×人数 葬儀の規模による
戒名 お布施に含まれる(位号により変動) 位号が上位ほど高額になる傾向
初七日法要 お布施3〜5万円 葬儀当日に行う場合もある
宿泊費(遠方から来訪の場合) 実費支給(交通費・宿泊を含む) 別途包む場合もあり

お布施は白無地の封筒に「御布施」と書き、下に喪主の氏名を記入します。
現金は半紙や中袋に包んでから封筒に入れるのが一般的です。

葬儀費用を抑えるためのポイント

葬儀費用は、準備段階の工夫で大きく変わります。
以下の方法を組み合わせて検討してみましょう。

  • 複数の葬儀社から見積もりを取り、内容を比較する
  • 家族葬や一日葬など、葬儀の規模・形式を検討する
  • 葬儀社の会員制度を活用して費用割引を受ける
  • 葬儀保険に加入し、万が一に備える
  • 自治体の葬祭費補助制度を利用する
  • 香典を葬儀費用にあてる
  • 遺産から葬儀費用を支出する方法を検討する

葬儀社の会員制度を利用すると、会場費や祭壇費の割引が受けられることがあります。
また、事前相談をしておくことで、希望の宗派対応や僧侶手配もスムーズになります。

葬祭費補助制度では、国民健康保険加入者は1〜5万円程度の葬祭費を申請により受け取ることができます。
社会保険加入者の場合は、埋葬料5万円前後が支給されることがあります。
金額や条件は自治体・保険事務所によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

【参列者向け】浄土宗の葬儀におけるマナー

浄土宗の葬儀に参列するときは、服装・焼香・数珠・言葉遣い・香典の基本を押さえておくと安心です。
宗派が異なる場合でも、落ち着いた所作と配慮を心がければ失礼には当たりません。
全体的なマナーの基礎は、葬儀のマナーについて詳しく解説の記事も参考になります。

参列時の服装と身だしなみ

故人への敬意と遺族への配慮を示すため、黒・光沢なし・控えめを徹底します。
毛皮や爬虫類革など「殺生」を連想させる素材や、派手な装飾は避けましょう。
服装の基本マナーは、葬儀における服装で確認できます。
また、
男性の服装マナー
女性の服装マナー
子どもの服装マナー
学生の服装マナー
それぞれの服装マナーも、場面に応じて押さえておくと安心です。
持ち物に関しては、葬儀における持ち物も参考になります。

  • ブラックフォーマル(喪服)を着用する
  • 髪は肩・顔にかからないようにまとめる
  • アクセサリー・メイクは控えめにする

【服装の例】

男性

  • 黒無地のフォーマルスーツ(シングル/ダブル)
  • 白無地ワイシャツ(ボタンダウンは避ける)
  • 光沢のない黒無地ネクタイ
  • 黒の靴下と革靴

女性

  • 黒の光沢がないワンピースまたはアンサンブル
  • 黒のパンプス(ヒールは3〜5cm程度)
  • 黒ストッキング(30デニール以下)

焼香の作法

浄土宗では焼香の回数に明確な決まりはなく、参列人数や進行に応じて1〜3回を目安に行います。
焼香の手順や作法の詳細は、葬儀における焼香について詳しく解説をご参照ください。

  1. 左手に数珠を持ち、静かに焼香台へ進む
  2. 祭壇の手前で導師・遺族に一礼
  3. 本尊に向かい一礼
  4. 右手の親指・人差し指・中指で抹香をつまみ、左手を下に添える
  5. 抹香を額のあたりに押しいただき、香炉に静かにくべる(1〜3回)
  6. 遺影に向かって合掌・拝礼
  7. 遺族に一礼して席に戻る

所作に迷った場合は、会場スタッフや周囲の動作を参考にしましょう。
葬儀全体の進行を理解しておきたい方は、葬儀における流れ(はじめての方へ)や、葬儀の流れ・日程の決め方もおすすめです。

数珠(珠数)の作法

宗派を問わず使用できる略式数珠でも問題ありません。浄土宗の信徒は、二連の「本式数珠(日課数珠)」を用いるのが一般的です。
数珠の種類や扱い方の詳細は、葬儀における数珠について解説の記事が参考になります。

【三万浄土(男性用)】主玉27・親玉1/二連は主玉20・福玉21・親玉1・銀輪(大小)・浄名玉1・弟子玉6・露玉1・弟子玉10・露玉1・梵天房など
【六万浄土(女性用)】主玉40・親玉1/二連は主玉27・福玉28・親玉1・銀輪(大小)・浄名玉1・弟子玉6・露玉1・弟子玉10・露玉1・梵天房など

持ち方の基本は以下のとおりです。

  1. 二連の親玉を揃え、親指で軽く押さえて合掌する
  2. 房は自分側へ向けて下に垂らす

焼香時は左手に数珠をかけたまま右手で抹香をつまみ、静かに合掌します。
席を離れるときは机や椅子に置かず、バッグにしまいます。
数珠は仏具のため、他人との貸し借りは避けるのが作法です。

言葉や表現のマナー

葬儀では、忌み言葉や重ね言葉を避けるのが基本です。
また、「天に召される」はキリスト教的表現のため、仏教では「極楽浄土へ往生される」と言い換えます。
弔問の際に使える挨拶文例は、葬儀の挨拶で確認できます。

区分 避けるべき言葉 言い換えの目安
不幸の重なり 重ね重ね/たびたび/再び/繰り返し このたびは/あらためて
縁起が悪い表現 終わる/消える/四(死)/九(苦) お開きにする/控える など婉曲表現
死を直接表す語 死ぬ/亡くなる/死因の詮索 ご逝去/お亡くなりになる/お悔やみ申し上げます

不祝儀袋(香典袋)の表書き

不祝儀袋は無地に白黒の水引を使用します(関西では黄白も可)。
表書きは「御霊前」または「御香典」を用い、筆記には薄墨の筆ペンを使用します。
香典金額や渡し方のマナーは、葬儀の香典について解説も併せて確認しておくと安心です。

  • 高額を包む場合は「双銀」の水引も可
  • 中袋に住所・氏名・金額を明記する
  • ボールペンは使用しない

参列の範囲に迷う場合は、葬儀における参列とは?参列できない場合の対応も参考になります。
喪主の立場で対応する場合は、喪主のための葬儀参列者ガイドが役立ちます。

なお、「葬儀」と「葬式」の違いや起源を知りたい方は、葬儀とは何か?葬儀と葬式の違いも参考になります。

浄土宗の教えと葬儀の作法を理解し、心を込めたお別れを迎えましょう

浄土宗は、平安時代末期に法然上人(ほうねんしょうにん)によって開かれた鎌倉新仏教の一派です。
「南無阿弥陀仏」を一心に唱えることで、誰もが極楽浄土に往生できるという専修念仏(せんじゅねんぶつ)の教えを説き、身分や性別を問わず多くの人々に広まりました。

浄土宗の葬儀は、故人を仏弟子とする「授戒(じゅかい)」と、仏弟子となった故人を浄土へ導く「引導(いんどう)」によって構成されています。
こうした儀式を理解し、浄土宗の作法やマナーを知っておくことで、参列の際も落ち着いて心を込めたお別れができます。

お葬式のむすびすでは、浄土宗をはじめとする各宗派・宗教の葬儀に対応しています。
「その人らしさ」を大切にしたお別れのかたちを実現するために、事前相談からお急ぎの手配まで、すべて自社社員が丁寧に対応いたします。

葬儀の形式や費用、流れを詳しく知りたい方は、葬儀とは何か?葬儀における流れ葬儀費用の相場なども参考にしてみてください。
ご相談や資料請求は、オンライン・郵送のどちらからでもお申し込みいただけます。

宗派に合わせた葬儀や、想いを形にするお別れをお考えの方は、葬儀社を選ぶポイントも併せてご覧ください。
心に寄り添うお葬式の準備を、むすびすが丁寧にお手伝いいたします。

よくある質問

浄土宗の焼香に作法はありますか。
浄土宗の焼香に決められた回数はありません。参列者の人数や状況に合わせて1回〜3回行います。焼香する際は、右手の親指と人差し指、中指の3本で抹香をつまみ、右手の下に左手の掌を受けるようにして添え、抹香を額のあたりに押しいただいてから香炉にくべます。
浄土宗では友引に葬儀を行っても問題ありませんか。
問題ありません。友引は古代中国の占星術を起源とする吉凶占いの一つ「六曜(ろくよう)」の暦注(れきちゅう)であり、仏教や神道の習わしとは関係ありません。友引に葬儀を行うと、故人が友を引くといった迷信から、友引に葬儀を行わない傾向がありますが、仏教では「友引に葬儀を行ってはいけない」という教えはありません。ただし、多くの火葬場では友引を休館日にしています。友引に葬儀を行うか否かについては、家族や親族とよく話し合い、菩提寺や読経を依頼する僧侶と相談しましょう。
浄土宗の葬儀のお布施は、どのようにお渡しすればいいですか。
仏教の葬儀では、お布施をそのまま僧侶に手渡しすることはマナー違反です。「袱紗(ふくさ)」か「切手盆(きってぼん:冠婚葬祭の際にご祝儀やお布施などを渡すとき使用する小さなお盆)」の上にのせて、相手から文字が見えるようにして渡しましょう。その際、「本日はありがとうございました」など、僧侶へお礼を述べることも大切です。
浄土宗の葬儀は「一日葬」で行えますか?
一日葬については、同じ浄土宗であってもお寺ごとに考え方が異なるため、一日葬ができない場合もあります。どのような葬儀を行いたいかについては、家族や親族とよく話し合い、菩提寺や読経を依頼する僧侶、葬儀社と相談して決めましょう。
浄土宗の葬儀は「家族葬」で行えますか?
家族葬で行えます。家族葬は近親者のみで営む葬儀であり、儀式の形態を規定するものではありません。家族葬は弔問客に気を遣うことなく、落ち着いて故人とお別れをすることができます。また、一般的な葬儀に比べて規模が小さくなるため、費用を抑えられるメリットがあります。

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中川 貴之