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葬祭プランナーの出井 翔一朗

相談員 : 出井 翔一朗

自宅葬のメリットとデメリットを解説

マナー・流れ

自宅を会場にして葬儀を行う「自宅葬」は、一般葬や家族葬とは異なる特徴をもつ葬儀形式のひとつです。
病院や施設ではなく、住み慣れた家で最期の時間を過ごしたいと望む人が増える中、そうした想いに応えるかたちで選ばれるケースも見られます。
とはいえ、自宅葬には特有の準備や条件があり、誰にでも当てはまる選択肢とは限りません。
形式上の自由度が高い一方で、家族への負担や周囲への配慮といった現実的な側面もあります。
この記事では、自宅葬のメリットとデメリットを整理し、家族葬・一日葬・一般葬など他の形式との違いも含めながら、自宅葬がどのような人に向いているのかを検討できるように解説します。

自宅葬とは?他の葬儀形式と比べた特徴を知っておこう

自宅葬は、自宅の一室を式場とし、家族や親しい人だけで行う葬儀の一形式です。

一般的な葬儀と異なり、会館を使用せず住み慣れた場所で進行するため、空間的な自由度が高く、形式にとらわれない柔軟な対応が可能です。

一方で、自宅という場を利用する以上、近隣への配慮や物理的な条件など、事前に検討すべき点も多く存在します。

まずは自宅葬の基本的な内容と、他の代表的な葬儀形式との違いを確認しておくことが、適切な判断の第一歩になります。

自宅葬の基本的な定義と流れ

自宅葬とは、葬儀会館などの専用施設を使わず、遺族の自宅を会場として執り行う葬儀です。

多くの場合、安置から通夜・告別式、出棺までを自宅で完結させる形式を指します。

準備としては、部屋の片付け・式場設営・飾り付け・席次の調整などが必要になり、葬儀社が自宅への備品搬入・司会進行・火葬場への搬送などをサポートする形で進行します。

自宅で看取りをした流れでそのまま葬儀に移行するケースや、「会館ではなく生活の延長として見送りたい」という意向を背景に選ばれることが多い形式です。

一般葬・家族葬・一日葬との違い

自宅葬は、一般葬・家族葬・一日葬といった他の形式と比べて、会場・費用・自由度・準備負担といった点で明確な違いがあります。

たとえば、一般葬では多くの参列者への対応を前提とし、会館の利用が基本となります。一方で家族葬や一日葬は小規模かつ簡素な運営を意識した形式ですが、いずれも会場の制約は受けやすくなります。

これらに対し自宅葬は、参列者数を抑えつつ、自宅という空間に合わせて進められるため、物理的・心理的な自由度が高い一方、運営上の主体性が求められます。

以下の表では、それぞれの形式の主な特徴を整理しています。

項目 自宅葬 一般葬 家族葬 一日葬
会場 自宅 葬儀会館・寺院 葬儀会館・自宅 葬儀会館・自宅
参列者 家族・親族などごく近しい人 会社関係・友人など幅広い 親族中心(数十名程度) 親族中心(少人数)
日程 柔軟(1〜2日) 2日(通夜・葬儀) 2日(通夜・葬儀) 1日(通夜なし)
費用感 会場費不要のため軽減されやすい 全体で平均100〜150万円 平均80〜120万円 平均50〜90万円
自由度 高い(進行・装飾・対応) 低め(会館式に沿う) やや高め やや高め
準備負担 高い(会場設営・対応) 低い(スタッフに任せられる) 低〜中
向いている人 家で送りたいという強い想いがある人 社会的立場や参列者が多い人 親しい人だけで静かに送りたい人 簡素に短時間で済ませたい人

表をもとに、それぞれの形式が持つ特徴を把握したうえで、自宅葬がご自身の考えに合うかを検討していくことが重要です。

この表からわかるように、自宅葬は「自由度の高さ」「会場費の不要さ」という点で他形式と大きく異なります。

一方で、準備や対応を遺族が主体的に行う必要があるため、選ぶ際は希望と現実のバランスを丁寧に検討することが重要です。

自宅葬のメリットとは

自宅葬は、自由度が高く、故人や家族の想いを尊重しやすいという点で独自の価値を持ちます。

住み慣れた空間で見送るという希望を叶えやすく、形式にとらわれない柔軟な進行が可能です。

さらに、家族中心で落ち着いた時間を過ごせるほか、会場費が不要な分、費用面でも調整がしやすいという特徴があります。

ここでは、自宅葬を選ぶ際に評価されやすい主なメリットを4つの観点から整理します。

想いに寄り添った送り方ができる

自宅葬は、故人や家族の「自宅から送り出したい」という想いを形にできる形式です。たとえば、病院での看取りの後に一度自宅へ戻り、そのまま落ち着いた空間で見送りたいと願う人にとって、非常に納得感のある選択肢となります。

とくに、自宅での看取りを行った家庭では、移動の必要がなく、そのままの空間で静かに見送ることができるため、遺族にとっても精神的な負担を軽減しやすくなります。

慣れ親しんだ空間で家族の手で送りたいという価値観を重視する人にとって、自宅葬は自然な選択肢といえるでしょう。

式や空間の自由度が高い

自宅葬は、進行や空間づくりにおいて高い自由度があることも大きな利点です。

自宅という私的な空間を会場とするため、時間の制約や式次第の固定が少なく、家族の意向に合わせて柔軟に調整できます。

  • 通夜や告別式の順序を簡略化・省略する
  • 宗教色を抑えた進行にする
  • 思い出の写真や趣味の品を自由に飾る
  • 参列の時間帯を家族の都合に合わせる

このように、一般的な会館葬では難しい演出や進行も、自宅葬では実現しやすくなります。

ただし、自由度が高い分、事前に葬儀社と詳細な打ち合わせを行い、準備計画を立てておくことが重要です。

落ち着いた雰囲気で家族中心に過ごせる

自宅葬は、限られた親族や親しい人だけで穏やかな時間を共有できる点が大きな特長です。

弔問対応や式の進行に追われることが少なく、家族が故人と向き合う時間をゆっくりと確保できる環境が整いやすくなります。

特に会館葬では、スタッフの動きや次の利用時間の都合で、時間配分があらかじめ決められていることが多く、気持ちに余裕を持ちにくい傾向があります。

  • 時間に追われず、故人と静かに過ごせる
  • 気心の知れた人たちとだけで進められる
  • 空間の使い方や配置も自分たちで決められる

形式的なやりとりを最小限にし、家族中心で落ち着いた見送り方を望む人にとって、自宅葬は適した選択肢のひとつといえます。

会館費用が発生しないため、条件次第で費用を抑えやすい

自宅葬では、葬儀会館の使用料や施設維持費が発生しないため、一定の費用軽減につながる可能性があります。

式に必要な設備や人員の手配は発生するものの、会場使用にかかる定額費用が不要なぶん、費用の使い方を柔軟に調整しやすくなります。

たとえば、以下のような点でコスト最適化が図られることがあります。

  • 会館使用料(5万〜20万円程度)が不要
  • 料理・返礼品の発注規模を最小限に調整しやすい
  • 親族中心の少人数葬による総額抑制

ただし、自宅に設営するための備品レンタルや清掃、運営補助の人件費は別途必要になることもあります。

結果的に費用が下がるケースもありますが、あくまで「費用を抑えやすい構造がある」という位置づけで捉え、葬儀社と具体的に相談しながら判断することが大切です。

自宅葬のデメリットとは

自宅葬には、会場や運営面で現実的な制約があり、想いだけでは実現が難しい場合があります。

設備条件・近隣環境・準備負担といった点で、一般的な会館葬と比べて求められる対応が多くなるためです。

自由度や精神的な納得感が魅力である一方で、選択には現実とのバランスが必要とされます。

ここでは、自宅葬を検討する際に理解しておきたい主なデメリットを整理します。

葬儀社によって自宅葬への対応が異なる

自宅葬はすべての葬儀社が対応できるとは限らず、対応可否には大きな差があります。

会館設備を持たない家庭に備品を持ち込むには、式場設営の経験や柔軟な機材手配が必要となるため、通常の会館葬と異なるノウハウが求められます。

自宅葬を希望する場合、以下の点を事前に確認しておく必要があります。

  • 自宅での施行実績があるか
  • 備品の設営や撤収が可能か
  • 人員配置や進行の体制が整っているか

検討の早い段階から、対応経験のある葬儀社を見つけておくことが、自宅葬実現の前提となります。

自宅の構造やスペースに条件がある

自宅葬では、式を行う空間としての条件が整っている必要があります。

搬送導線や参列者の出入り、焼香の動線、椅子の配置などを考慮したうえで、最低限のスペースやレイアウトが確保できなければ、実施は難しくなります。

たとえば、以下のような物理的要件が関係してきます。

  • 玄関から棺が無理なく搬出入できる構造か
  • 6畳以上の居室または続き間が確保できるか
  • トイレや洗面スペースの共有が可能か

一戸建てか集合住宅かにかかわらず、空間条件が整っているかを冷静に確認する必要があります。

近隣への配慮や対応が必要になる

自宅という場所を使用する以上、近隣住民への配慮は避けられません。

式の最中や搬送の際に生じる音・におい・人の出入りといった点で、一定の生活影響を及ぼす可能性があるため、事前の説明や声かけが必要になります。

特に以下のような場面で注意が求められます。

  • 参列者の車両による駐車スペースの確保
  • 香典返しや荷物の出入りによる共用部分の使用
  • 式中の読経や出棺時の音への配慮

近隣との関係が良好であれば問題になりにくいこともありますが、予想される影響について一度シミュレーションしておくと安心です。

準備や当日の進行に家族の負担がかかる

自宅葬では、葬儀会館のような設備や人員の常駐がない分、準備や進行において家族の負担が増える傾向があります。

とくに、以下のような場面で主体的な関与が必要になることがあります。

  • 会場設営にあたっての家具移動や片付け
  • 参列者の出迎えや導線案内
  • 飲食や休憩の場の設置・管理

葬儀社が全面サポートしてくれる形式とは異なり、「自宅」という空間を使う以上、一定の手間を担う覚悟は必要です。

体制に不安がある場合は、部分的に外部スタッフのサポートを依頼する方法も検討するとよいでしょう。

自宅葬に向いている人の特徴とは

自宅葬が向いている人

自宅葬は、誰にでも適している形式ではなく、一定の考え方や条件を持つ人に選ばれる傾向があります。

設備や準備面の条件を満たすことはもちろん、葬儀をどのように行いたいかという意識によっても、自宅葬が「納得できる形」となるかは変わってきます。

ここでは、自宅葬に向いていると考えられる人の主な特徴を整理します。

故人または家族が「家で送りたい」と強く希望している

「住み慣れた家から送り出したい」と強く希望する人にとって、自宅葬は最も自然な選択肢のひとつです。

自宅での見送りを望む背景には、生活の思い出が詰まった空間で別れをしたいという気持ちがあり、形式的な会館葬では満たされにくい感情面の納得が関係しています。

特に、長く同じ家で過ごしてきた家族や、高齢の親を看取った直後の家庭などにおいて、そのままの空間で見送りたいという気持ちが強くなる傾向があります。

そのような想いを大切にしたいと考えている人に、自宅葬は適しています。

自宅の環境や周辺状況が葬儀に適している

スペースや動線、近隣環境など、物理的に葬儀が可能な住宅に住んでいる人は、自宅葬に向いています。

自宅での葬儀には一定の設備や構造的な条件が必要となるため、会館に比べて場所の制約を受けやすくなります。

  • 6畳以上の和室や続き間がある
  • 棺の搬出入がスムーズに行える
  • 来客対応や近隣への配慮がしやすい立地である

これらの条件を満たしていれば、会館を利用しなくても自宅で円滑に葬儀を進めることが可能になります。

参列者を限定し、静かに送りたいと考えている

家族やごく親しい人たちだけで、落ち着いた雰囲気の中で見送りたいと考えている人には、自宅葬が適しています。

少人数の葬儀を想定していれば、広い会場を借りる必要はなく、自宅の空間でも十分に対応できます。

また、弔問対応や式次第などを最小限にすることで、時間的にも心理的にも余裕を持ちやすくなります。

「簡素で構わないが、故人としっかり向き合いたい」という考えを持つ人にとって、自宅葬は納得しやすい選択肢といえるでしょう。

最期の時間を過ごした場所で、穏やかに見送りたいと感じている

故人が自宅で看取られた場合、そのままの空間で見送りたいと感じる人は、自宅葬に向いています。

移動を伴わずに済むことで、葬儀までの時間を家族とともに静かに過ごすことができる点も、自宅葬の大きな利点です。

在宅看取りから葬儀への移行が自然であり、生活の延長としての一貫性が保たれるほか、外部会場に移すことで発生する慌ただしさを避けることができます。

病院や施設で最期を迎えた場合でも、一度自宅に戻してから見送りたいと考える家庭は少なくありません。自宅という生活に根ざした空間で最後の時間をともに過ごすことで、家族にとっても静かで落ち着いた心持ちになれるという声があります。会館などの外部施設では得られない、生活空間ならではの安心感や親密さが、自宅葬の精神的な価値につながるといえます。

他の葬儀形式と比べて、自宅葬が合うかを判断する

自宅葬は費用の安さや特別感だけで選べるものではなく、家族の価値観や住宅環境といった個別の事情に大きく左右される葬儀形式です。

会館やホールで行う一般的な葬儀に比べて自由度は高い一方で、実施に際しては現実的な条件を慎重に見極める必要があります。

たとえば、少人数で静かに送りたい、住み慣れた家から見送りたい、形式よりも想いを大切にしたいといった希望がある場合、自宅葬は納得感のある形式となり得ます。

葬儀の内容や費用だけで判断せず、家族にとって自然な形で故人を送ることができるかという視点から、自宅葬が適しているかどうかを検討することが重要です。

よくある質問

自宅葬はどんな人でも実施できますか?

物理的・環境的な条件が整っていれば、基本的には誰でも自宅葬を選ぶことは可能です。

ただし、住宅の構造や近隣環境によっては、葬儀の進行に支障が出る場合があるため、事前に葬儀社と確認することが不可欠です。

たとえば棺の搬入出ができるか、参列者を迎えられるか、駐車スペースは確保できるかなどが判断のポイントになります。

希望だけでは実施できないケースもあるため、想いと現実のバランスを取る視点が求められます。

自宅葬の費用は一般的な葬儀より安いのですか?

会場使用料がかからないぶん、費用が軽減されるケースはありますが、必ずしも全体費用が安くなるとは限りません。

設備のレンタルや自宅の設営準備、搬送手配などが別途必要となる場合があり、結果として会館葬と同程度になることもあります。

費用構造は各家庭の条件や希望内容によって大きく変動します。

予算だけで判断するのではなく、「どこにコストがかかるか」を丁寧に確認したうえで選択することが重要です。

自宅葬では宗教的な儀式も行えますか?

宗教者による読経や焼香などの一般的な儀式は、自宅でも問題なく行えます。

仏教・神道・キリスト教など、宗派を問わず自宅で儀式を営むことは可能であり、必要に応じて葬儀社が僧侶の手配をサポートすることもあります。

ただし、宗教者側の意向や居住地の慣習により、内容や進め方に制約が出る場合もあります。

希望する宗教形式がある場合は、事前に確認を取ったうえで準備を進めると安心です。

自宅葬ではどのような準備が必要ですか?

自宅葬では、会館葬と異なり自宅の空間を整える準備が必要になります。

具体的には、式を行う部屋の片付け、導線確保、式壇や椅子の配置スペースの確保、近隣への説明などが挙げられます。

葬儀社が備品や人員の手配を行ってくれますが、設営・動線・騒音などの面で家族が事前に関与する場面も少なくありません。

準備段階から葬儀社と詳細に打ち合わせをし、進行に支障が出ないよう計画を立てておくことが重要です。

集合住宅でも自宅葬は可能ですか?

集合住宅での自宅葬も可能ですが、物理的・環境的な制約を受けやすいため注意が必要です。

たとえばエレベーターの大きさや棺の搬入ルート、共有部分での参列者対応など、事前確認が不可欠な要素があります。

また、近隣住民への配慮や管理規約の確認も必要となるため、準備に時間がかかる傾向があります。

可能性を検討する段階で、早めに葬儀社に相談し、実施の可否と対応策をすり合わせることが現実的です。

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中川 貴之