葬儀社を選ぶときのポイントを解説
葬儀社選びのポイントは、前提条件をそろえたうえで問い合わせ先を見極め、必要なら見積もりを比較して決めることです。 まずは場所・人数・形式・宗派・予算を仮置きし、同じ前提で相談できる状態を作ると、見積もりや対応の違いが見えやすくなります。 次に、説明の筋や担当者の対応、費用の考え方を確認して、依頼してよいかを判断します。 時間に余裕がある場合は、2社か3社に絞って見積もりをそろえ、差の理由を事前相談で埋めると納得して決めやすくなります。 最後に、決めた葬儀社へ連絡先と「お迎え先」「安置先の希望」を共有しておくと、緊急時の初動が止まりにくくなります。
葬儀社を選ぶときのポイントを解説
葬儀社選びは前提条件をそろえることがポイント
葬儀社選びで最も大切なポイントは、葬儀社に相談する前提条件をそろえることです。
ここでいう前提条件は、場所・人数・形式・宗派・予算の5つです。
葬儀社に同じ条件で相談すると、見積もりや対応の違いを比べやすくなり、葬儀社を選びやすくなります。
すべてを確定させる必要はなく、大まかにそろえておくだけで十分です。
仮置きしておきたいこと
- 場所:葬儀社が対応できる範囲か、提案される式場の選択肢が分かる
- 人数:式場の選定と見積もりに影響するため、提案が現実的かが分かる
- 形式:必要な段取りの前提がそろい、葬儀社の経験や提案の具体性が見える
- 宗派:菩提寺の有無や僧侶手配など実務の相談ができ、予算への影響も見える
- 予算:できることと難しいことが明確になり、希望に沿う提案かが分かる
場所を決めておく
場所は前提条件の中でも影響が大きいため、最初に式場の候補をある程度決めておきたい項目です。
ここで決めるのは式場名の確定ではなく、希望するエリアと、何を優先するかです。
場所が定まらないままだと、葬儀社の提案がばらつきやすく、見積もりや対応の違いも比べにくくなります。
参列者の来やすさを優先するのか、移動の負担を減らすのか、自宅からの近さを重視するのかを決めておくと、式場の候補を絞りやすくなります。
優先順位の例
- 参列者の来やすさ(駅の近くなど)
- 移動の負担の少なさ(火葬場併設など)
- 自宅からの近さ
この優先順位にもとづいて、第一希望のエリアと代替のエリアを決めておくと、提案される式場が希望に合っているかを判断しやすくなります。
人数を決めておく
人数は目安で決めておくと十分です。
家族のみか、親族までか、一般弔問も想定するかの区分で置き、迷う場合は多めに見込んで仮置きします。
仮置きは10人前後や20人前後など、目安の数字で伝えると葬儀社も提案しやすくなります。
人数が見えてくると、式場の広さや必要な備品、返礼品や会食の要否といった前提がそろい、見積もりが現実に近づきます。
その結果、提案される式場が規模に合っているか、人数を前提にした見積もりになっているかを見て、提案の現実性を判断しやすくなります。
形式を決めておく
形式は家族葬、一日葬、一般葬のどれを基本にするかを決めておくと話が進みます。
確定できない場合は第一希望を1つ置き、代替案を1つだけ用意する程度で十分です。
形式が決まると通夜の有無や当日の流れ、必要な手配が見え、葬儀社の提案内容や説明の具体性が比べやすくなります。
段取りの説明が具体的か、希望形式に沿った提案になっているかを見れば、任せたときにずれが出にくい葬儀社か判断しやすくなります。
宗派を整理しておく
宗派は分かる範囲でよく、菩提寺の有無と僧侶を呼ぶかどうかを整理しておくと十分です。
宗派名まで確定していなくても、菩提寺に依頼するのか、葬儀社に僧侶手配を相談するのかの方向性が分かれば話は進みます。
宗派や僧侶の有無が決まると、読経や戒名など宗教に関わる準備が必要になり、費用にも影響が出るため、見積もりの前提がそろいます。
特に仏教で僧侶を手配する場合は、戒名の扱いで費用が変わることがあるので、どこまで含めて相談できるかを確認しておくと安心です。
予算を決めておく
予算は確定額ではなく、上限かレンジで決めておくと話が進みやすくなります。
目安がないと提案の前提がばらつき、見積もりを比べても違いの理由が読み取りにくくなります。
予算感を置くための参考として、2024年に鎌倉新書(いい葬儀)が公表した調査では、葬儀の種類別の費用として一般葬161.3万円、家族葬105.7万円、一日葬87.5万円が示されています。
出典:鎌倉新書(いい葬儀)「第6回 お葬式に関する全国調査(2024年)」
ただし金額は地域や内容で変わるため、平均は基準ではなく予算レンジを仮置きするための参考として捉えるほうが現実的です。
予算レンジを伝えたうえで、予算内でできることと難しいことを整理して説明できるかを見ると、納得して選びやすくなります。
葬儀費用の内訳や相場について気になる方は、相場はどれくらい?葬儀にかかる費用と内訳を解説 も併せて確認してください。
前提条件をそろえたら問い合わせした葬儀社に依頼してよいかを見極める
前提条件をそろえたら、次は問い合わせや資料請求をして、その葬儀社に依頼してよいかを見極めます。
検討する時間がない場合や早く葬儀社を決めたい場合は、細かい比較検討よりも、説明と対応に違和感がないかを確認しておくと判断しやすくなります。
同じ前提で相談すると、違いが見えやすくなります。
電話や面談だけで判断が難しい場合は、資料を取り寄せて内容を確認してから判断する方法もあります。
説明の筋が通っているかを確認する
問い合わせした葬儀社に依頼してよいかを見極めるうえでは、説明の筋が通っているかが重要です。
結論だけで終わらず、理由と選択肢、費用への影響まで一続きで説明されると、提案の根拠が追いやすくなります。
葬儀は決める項目が多く、説明の流れが飛ぶと、なぜその提案になるのかが見えにくくなり、納得しにくくなります。
不明点はその場で確認しつつも判断がつかない場合は、次の二つの観点(担当者、費用)も合わせて確認すると見極めやすくなります。
確認の目安
- できることとできないことが先に示され、その理由が説明される
- 選択肢ごとの違いと、費用への影響が説明される
- 専門用語が出ても、言い換えや補足がある
- 前提が足りない場合に、追加で質問して確認しようとする
担当者の対応が誠実かを確認する
説明だけで判断が難しい場合は、担当者の対応も重要な判断材料になります。
誠実な担当者は、結論を急がせるよりも前提を確認し、判断に必要な情報をそろえてから提案します。
葬儀は時間が限られる場面があるため、短時間でも判断に必要な情報を分かる形で示してくれるかどうかが、安心して進められるかの差になりやすいです。
対応を見るときは、丁寧さよりも、答えが一貫しているか、分からないことを断定しないかを軸にすると見極めやすくなります。
確認の目安
- 質問に対して、結論と理由がセットで返ってくる
- 分からないことを断定せず、「確認して折り返す」と言える
- こちらの事情を聞かずに最適解を断定しない
- 不安を煽る言い方ではなく、判断材料を淡々と示す
- 断った場合の対応が丁寧で、強い引き留めがない
費用の考え方が明確かを確認する
最後は、費用の説明がはっきりしているかで依頼の可否を判断しやすくなります。
安いか高いかよりも、総額の目安がどんな前提で成り立つのか、何が含まれて何が別なのかが説明できるかが重要です。
葬儀費用は条件で動きやすく、プラン名や最安表示だけでは内容が一致しないことがあるためです。
説明や口頭の印象で迷う場合は、資料や見積もりで「前提」「範囲」「増える条件」が書かれているかを見ると判断が固まります。
確認の目安
- 総額はレンジで示され、前提条件(人数・形式など)が一緒に説明される
- 見積もりに「含まれるもの」と「別になるもの」が分かれている
- 追加になりやすい項目が示され、増える条件が説明される
- 抑える場合の調整案が出せる(何を削るとどう変わるかが分かる)
- 根拠のない断定や、一式表記が多すぎない
より良く選ぶなら見積もりをそろえて比較する
比較検討をする人は、すでに複数社に問い合わせや資料請求をしていることが多いはずです。
納得して決めたい場合は、見積もりを同じ前提でそろえて比べるのが近道です。
ここでは、比較に使う葬儀社を2社か3社に絞り、見積もりの差が出た理由まで確認して判断につなげます。
比較に使う葬儀社を2社か3社に絞る
比較に使う葬儀社は2社か3社に絞ると、違いが追いやすく結論も出しやすくなります。
問い合わせや資料請求自体は複数にしても問題ありませんが、比較する段階では候補を絞ったほうが判断がまとまりやすくなります。
見積もりは葬儀社ごとに出し方が違うため、比較対象が増えるほど差の理由が追いにくくなるためです。
比較に残すのは、2章で依頼してよいと感じた会社の中から2社か3社です。
同じ条件で見積もりを出していない場合は、比較に残した2社か3社に対して、同じ前提で見積もりを出し直してもらうと比較がぶれにくくなります。
見積もりの差は理由を確認して判断する
2社か3社の見積もりがそろったら、最後は合計金額だけではなく、差が出ている理由が自分の優先順位に合うかで決めると納得しやすくなります。
差の理由は、事前相談の場で説明を受けて埋められるため、分からないまま結論を出す必要はありません。
見積もりは会社ごとに含め方が違うことがあり、数字だけで判断すると、内容の差なのか前提の差なのかが分かりにくくなるためです。
差が大きい項目から順に、含まれるもの・別になるもの・増える条件を質問で確認し、説明に筋が通っていて優先順位に合う会社を選ぶと決めやすくなります。
確認の目安
- 金額差が大きい項目について「なぜこの金額になるか」を説明できる
- 含まれるもの/別になるものが分かる形になっている
- 増える条件が事前に示されている
- こちらの優先順位に沿った提案になっている(移動負担、参列者の来やすさ、式の形など)
差の理由を確認するときの聞き方(例)
- この項目は何が含まれていて、何が別になりますか
- 金額が増えるのはどんな条件のときですか
- こちらの条件だと、どこが変わると総額が動きますか
葬儀社の比較方法について気になる方は、葬儀社はどう比較する? 後悔しない選び方と注意点も併せて確認してください。
葬儀社を決めたら緊急時の動きを確認する
葬儀社を決めたら、決めた葬儀社に葬儀を依頼する意向を伝えておくと、いざというときに動き出しやすくなります。
この段階では葬儀の日程や内容を確定させることはできないため、初動に必要な情報だけを共有しておくことが現実的です。
逝去直後は短時間で決めることが重なりやすく、連絡やお迎えの判断が遅れると負担が増える可能性があります。
ここでは、連絡先を共有しておくことと、葬儀社に伝えるべき2点を押さえて、電話一本で動き出せる状態を作ります。
逝去直後の手続きについて気になる方は、葬儀における手続きを解説も併せて確認してください。
初動に必要な情報を葬儀社に共有する
連絡は、決めた葬儀社の連絡先さえ共有しておけば問題ありません。
そのうえで、葬儀社に伝えておきたいのは「お迎え先」と「安置先の希望」の2点です。
この2点が曖昧だと、電話のやり取りが長引いたり、判断が止まったりして、初動が遅れやすくなります。
確定できない場合でも第一希望を置き、難しいときの代替案まで用意しておくと、当日の状況に合わせて決めやすくなります。
共有しておきたい2点
- お迎え先:迎えに来てもらう場所(病院、施設など)
- 安置先の希望:第一希望(自宅、安置施設など)と、難しい場合の代替案
よくある質問
- 葬儀社選びで最初に決めておくべきことは何ですか?
- 最初に仮置きしておきたいのは、場所・人数・形式・宗派・予算の5つです。これらがそろうと同じ前提で相談でき、見積もりや提案の違いが比べやすくなります。
- まだ亡くなっていない段階でも葬儀社に相談していいですか?
- 相談自体は問題ありません。日程や内容を確定することは難しい一方で、前提条件の仮置きや費用の考え方、緊急時の流れを確認することはできます。
- 問い合わせした葬儀社が「依頼してよい相手か」は何で判断しますか?
- 説明の筋が通っているか、担当者の対応が誠実か、費用の考え方が明確かの3点で判断しやすくなります。結論だけでなく理由や条件、費用への影響まで説明できるかを確認します。
- 比較するなら何社くらいが適切ですか?
- 問い合わせや資料請求は複数でも問題ありませんが、比較に使うのは2社か3社に絞ると判断がまとまりやすくなります。比較対象が増えるほど、差の理由を追う手間が増えやすいためです。
- 葬儀社を決めた後に、最低限やっておくべきことは何ですか?
- 連絡先を家族で共有し、葬儀社に「お迎え先」と「安置先の希望」を伝えられる状態にしておくことです。ここが曖昧だと初動が遅れやすくなるため、第一希望と代替案を用意しておくと安心です。
この記事の監修者
むすびす株式会社 代表取締役社長兼CEO 中川 貴之
大学卒業後、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの立ち上げに参画。2002年10月葬儀業界へ転進を図り、株式会社アーバンフューネスコーポレーション(現むすびす株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。明海大学非常勤講師。講演・メディア出演多数。書籍出版