葬儀の日程の聞き方について詳しく解説
訃報を受けたものの、葬儀の日程について案内が届かず、参列したい気持ちがあっても「いつ行われるのか分からない」と悩むことは少なくありません。
ただ、遺族に直接聞くのは失礼ではないか、忙しい中で迷惑にならないかと心配になるものです。
特に近年は、家族だけで執り行う「家族葬」や「密葬」も増えており、友人・知人の立場では参列できないケースもあるため、なおさら確認のタイミングや言い方に迷いが生じがちです。
この記事では、遺族に配慮した丁寧な葬儀日程の聞き方や、LINE・電話・メールなど連絡手段別の例文、参列の可否についての尋ね方まで、具体的にご紹介します。

葬儀の日程を聞くのは失礼?まず押さえたい基本マナー
訃報を受けたあと、通夜や葬儀の日程を知りたいと思うのは自然なことです。
しかし、「まだ連絡が来ていないけれど、こちらから聞いても大丈夫だろうか…」と不安に思う方も多いでしょう。
結論から言えば、適切なタイミングと丁寧な表現に気を配れば、日程を尋ねること自体はマナー違反ではありません。 ただし、遺族は深い悲しみの中で多くの対応に追われている状況であることを踏まえ、唐突な連絡や催促のような聞き方は避けるべきです。
また、近年では親族のみで執り行う「家族葬」や「密葬」が増えており、親しい友人や職場関係者であっても、参列をご遠慮いただくケースがあります。
そのため、日程を確認する際には、参列が可能かどうかを含めて、丁寧に確認する姿勢が大切です。
たとえば、「参列させていただきたい気持ちはありますが、ご家族だけでのご葬儀であれば、どうかお気遣いなく」といった表現を添えることで、遺族への思いやりが伝わります。
このように、「知りたい気持ち」と「配慮」のバランスを大切にしながら連絡をとることが、故人とご遺族への敬意を示す第一歩となります。
葬儀の日程はいつ決まる?

葬儀の日程は、一般的にご逝去から1〜3日以内に決まることが多いとされています。
ただし、状況によっては即日決定される場合もあれば、関係各所との調整によって数日かかることもあります。
具体的には、安置場所や火葬場の空き状況、菩提寺・宗教者の都合、喪主やご家族のスケジュールなど、さまざまな要因を踏まえて決められます。
そのため、訃報の直後にはまだ日程が確定していないケースも少なくありません。
また、日取りを決める際には「大安」「友引」など六曜を考慮する場合もあります。
地域や宗教観によっては避けられる日もあるため、希望する日程で葬儀を行えないこともあります。
このように、葬儀の日程はさまざまな条件を調整しながら決定されるため、すぐに連絡が来ない場合も珍しくありません。
あまり早い段階で確認しようとせず、遺族からの案内を待つ姿勢を基本とするのが望ましいでしょう。
どうしても確認が必要な事情がある場合は、相手の状況に配慮しながら、慎重に尋ねることが大切です。
聞くタイミングはいつが良い?
葬儀の日程を確認したいとき、最も気をつけたいのが「いつ尋ねるか」というタイミングです。
訃報を受けてすぐに連絡を入れるのは、遺族にとって負担になる可能性があります。
ご家族はご逝去の直後から、医療機関での対応や安置先の手配、葬儀社との打ち合わせなどで多忙を極めます。
精神的にも大きなショックを受けている中、すぐに日程の連絡ができないことは自然なことです。
そのため、通夜や葬儀の案内が届かない場合でも、少なくとも1日程度は待ってから連絡するのが適切です。
目安としては、訃報を受けた翌日以降、朝〜昼の時間帯に連絡するのが無難です。
どうしても急ぎで確認が必要な事情がある場合は、「お忙しい中とは存じますが」「差し支えなければ」など、配慮の言葉を添えて連絡しましょう。
一度連絡を入れたあとは、返答を待つ姿勢を保つことも大切です。
短時間で何度も確認するような催促は、相手に負担をかけてしまう恐れがあります。
連絡手段別|葬儀日程の聞き方と例文
日程を確認したいときは、相手との関係性や状況に応じて、適切な連絡手段を選ぶことが大切です。
ここでは、LINE・電話・メールのそれぞれに適した聞き方と、すぐに使える例文をご紹介します。
LINEでの聞き方
LINEは手軽に連絡できる手段ですが、そのぶん礼儀や言葉遣いに注意が必要です。
特にご家族が多くの人とやり取りしている場合、簡潔で思いやりのある文面が望まれます。
例文:
ご家族もお忙しい中かと存じますが、もし差し支えなければ、通夜や葬儀の日程が決まりましたらお知らせいただけますと幸いです。
なお、もしご家族だけでのご葬儀でしたら、どうかお気遣いなくお伝えください。
電話での聞き方
電話は直接声が届くぶん、温かみがありますが、タイミングと配慮がより一層重要です。
まずはお悔やみの言葉を丁寧に伝え、そのうえで要件を簡潔に伝えましょう。
例文:
このたびはご愁傷さまです。
突然のお電話で恐縮ですが、ご葬儀の日程について、もしお決まりでしたら教えていただけますでしょうか。
ご家族のみでのご葬儀であれば、無理にお知らせいただかなくて大丈夫です。
メールでの聞き方
メールはビジネス関係ややや疎遠な相手に適しています。
形式を守った文章で、相手のご負担にならないよう配慮の言葉を添えましょう。
例文:
突然のご連絡をお許しください。
ご多用の折とは存じますが、ご葬儀の日程やご参列の可否について、もしお差し支えなければお知らせいただけますと幸いです。
ご事情もあろうかと思いますので、返信はご無理のない範囲で構いません。
聞き方のNG例と注意点

葬儀の日程を確認する際は、丁寧な言葉遣いや気遣いが大切ですが、逆に相手の心情を損ねてしまうような言い回しも存在します。
ここでは避けるべき表現や注意すべきポイントをまとめます。
- ストレートすぎる聞き方はNG
「いつやるんですか?」「どこでやるんですか?」といった率直すぎる聞き方は、カジュアルすぎて無神経な印象を与えてしまいます。
特に文面だけで伝える場合は、配慮のない言葉が強く受け取られる可能性があるため注意が必要です。 - 確定を前提にした聞き方は避ける
「何日の何時からですか?」など、すでに日程が決まっていることを前提にする聞き方も好ましくありません。
まだ決まっていない可能性もあるため、柔らかく尋ねる姿勢を忘れないようにしましょう。 - 何度も連絡するのは控える
一度連絡した後に返答がない場合、すぐに催促するような連絡を重ねるのは控えましょう。
相手は多くの方からの連絡に対応している場合もあるため、返答までには時間がかかることもあります。 - グループメッセージでの確認には注意
SNSやLINEグループなどで確認する際、周囲の目を気にする方もいます。
基本的には個別で連絡をとるほうが丁寧な印象になります。日程を確認するという目的に集中しすぎると、相手の心情への配慮が薄れがちです。
一言添えるだけで伝わる思いやりが、信頼や安心感につながります。
遺族への思いやりを大切にした聞き方を
葬儀の日程をたずねる際は、まず遺族の立場や状況に対する思いやりを第一に考えることが大切です。
突然の別れに向き合う中で、さまざまな準備に追われているご家族に対して、過度な負担をかけないよう心がけましょう。
日程の確認は、参列の意思を伝えるために必要な行為ですが、聞き方ひとつで相手の受け取り方は大きく変わります。
丁寧な表現を選び、タイミングにも配慮することで、相手の気持ちに寄り添った連絡ができます。
また、近年増えている家族葬では、親しい間柄であっても参列が叶わない場合があります。
その可能性も念頭に置いたうえで、「もし参列が可能であれば」といった控えめな姿勢を示すことが大切です。
通夜や葬儀の場は、故人を悼み、ご遺族の気持ちに寄り添う時間です。
その思いを丁寧に伝えることで、あなたの誠意はきっと相手に届くはずです。

この記事の監修者
むすびす株式会社 代表取締役社長兼CEO 中川 貴之
大学卒業後、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの立ち上げに参画。2002年10月葬儀業界へ転進を図り、株式会社アーバンフューネスコーポレーション(現むすびす株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。明海大学非常勤講師。講演・メディア出演多数。書籍出版