出棺とは?葬儀の流れからわかりやすく解説

マナー・流れ

出棺は、告別式を終えて故人が火葬場へ向かう最初の工程で、蓋閉めから棺の搬出、霊柩車への納棺までが一つの流れとして続きます。
蓋閉めの意味や喪主挨拶の位置づけ、火葬場へ向かう動きなど、短い時間の中にいくつもの工程が含まれています。
喪主と参列者では求められる動作が異なるため、どの場面で何を行うのかを事前に知っておくことが大切です。
この記事では、出棺の意味やタイミング、当日の流れ、喪主・参列者が備えておきたい準備までを順に整理します。

出棺とは? 基本的な内容と意味

出棺とは、棺の蓋を閉めてから火葬場へ向かうために棺を移動させる工程を指します。告別式での読経や焼香、花入れ、最後のお別れが終わったあとに行われ、式場から火葬へ進む始まりの場面となります。蓋閉め、喪主挨拶、棺の搬出、霊柩車への納棺、または台車による移動が続き、葬儀から火葬へ進む区切りとして扱われます。

出棺に含まれる基本的な内容

出棺に含まれる内容は、蓋閉めを起点として、喪主挨拶、棺の搬出、納棺へと順番に進む工程です。参列者が棺の周りに集まり蓋に手を添える場面から始まり、喪主が参列への感謝を述べ、棺を運び出して納棺するまでが一まとまりになります。どの工程も、火葬へ向かう前の準備として位置づけられています。

出棺の形は地域や宗教によって変わることがある

出棺の形は、地域や宗教、式場の設備によって細かな違いが生じる場合があります。蓋閉めの方法や棺を持つ人数、霊柩車を使うか台車で移動するかといった点は、地域の慣習や式場ごとの運用で変わります。こうした違いがあっても、蓋閉め、挨拶、搬出といった基本の流れは共通していることが多いため、当日は式場の案内に従って進める形になります。

葬儀全体の中で出棺が行われるタイミング

出棺は、通夜と告別式が終わり、故人を火葬場へ送る準備が整った段階で行います。読経、焼香、花入れ、最後のお別れが済み、参列者が棺の周りに集まった場面から蓋閉めへ進みます。そこから喪主挨拶、棺の搬出、霊柩車への納棺、見送りへと順に進み、火葬場への移動が始まります。出棺が葬儀全体のどの位置にあるかを理解しておくと、工程の切り替わりをとらえやすくなります。

儀礼の形式で変わる出棺までの流れ

出棺までの内容は蓋閉めから納棺まで共通ですが、葬儀の形式や参列者数によって進み方が変わります。形式ごとの特徴を知っておくと、当日の進行をイメージしやすくなります。

  • 家族葬は参列者が少ないため、焼香や花入れが短時間で終わり、終わり次第蓋閉めに進む構成になります。
  • 一般葬は参列者が多く、焼香や花入れに時間がかかるため、蓋閉めの前後で参列者の位置を調整する工程が入ります。
  • 火葬式(直葬)は安置施設から出棺が始まることが多く、短い儀礼のあとに蓋閉め、搬出、火葬場への移動へと進みます。
  • 一日葬は通夜を行わないため、告別式の終了後に蓋閉め、喪主挨拶、搬出が同じ日に続く形になります。

形式ごとの違いを理解しておくと、自分の葬儀形式で出棺がどのような順番で進むのかを確認しやすくなります。

地域や火葬場事情で前後する出棺時刻

出棺の時刻は、地域の慣習や火葬場の運用状況によって前後することがあります。火葬場の予約時刻や移動距離が異なることで、式場側の進行の組み立て方が変わるためです。火葬場が混雑する地域では時間枠が細かく決められ、その時刻に合わせて出棺の時間が設定されます。火葬場が式場と同じ敷地内にある場合は移動時間が短く、蓋閉めから移動開始までの時間も短くなります。移動距離が長い地域では、火葬場までの移動時間を見込んで出棺時刻を早めに設定することがあります。このような背景を知っておくと、提示された出棺時刻の意図を理解しやすくなります。

出棺の流れと各工程の役割

出棺は蓋閉めを起点とし、棺の搬出、霊柩車への納棺または台車による移動、見送り、火葬場への出発までの工程で構成されます。工程ごとの内容を順に押さえておくと、自分の立場で何をするかを事前に確認できます。

  1. 参列者が棺の周りに集まり、蓋を閉める

    出棺は蓋閉めから始まります。参列者が棺の周囲に集まり、案内に合わせて蓋に手を添えて閉めます。蓋閉めは故人との対面の時間を終える動作であり、送り出しに進む段階を示す工程です。花入れや最後のお別れが終わったあとに行われるため、儀礼の区切りが明確になります。

  2. 喪主と親族が棺の前に立ち、位置を決める

    蓋閉めの後、喪主と親族が棺の前に立ちます。持つ物は宗教や形式によって異なり、位牌を持つ場合もあれば遺影のみを持つ形もあります。この段階で誰がどこに立つかが決まり、次の喪主挨拶に進む準備が整います。

  3. 喪主が挨拶を行う

    喪主は参列者に向けて、参列への感謝を伝える短い挨拶を行います。挨拶は搬出に移る前に行われる工程であり、式場での別れを言葉でまとめる役割があります。挨拶が終わると、棺を運び出す動きへ進みます。

  4. 棺を運び出し、霊柩車へ向かう

    棺は複数名で持ち、スタッフの案内に沿って式場の外へ運びます。喪主が前方に立つ進行が多く、遺影を持つ親族が後方につく場合があります。参列者は棺が通る道を空けて見守り、搬出の妨げにならない位置に下がります。

  5. 霊柩車に棺を納め、見送りを行う

    棺を霊柩車へ納めたあと、参列者は合掌や黙礼で見送りを行います。霊柩車のドアが閉まることで出棺の工程が一区切りとなり、移動の準備が整います。この段階で喪主が霊柩車に乗車します。

  6. 喪主と同行者が乗車し、火葬場へ向かう

    喪主が霊柩車に乗り、同行者はマイクロバスや乗用車に分かれて火葬場へ向かいます。出棺後に式場へ戻らない進行が多いため、必要な手荷物は霊柩車が出発するまでにまとめておきます。霊柩車が発車すると、出棺の一連の流れが完了します。

火葬場併設式場での出棺の流れの違い

火葬場が併設された式場では、出棺後の移動を徒歩で行う進行が多く、霊柩車を使わない点が特徴です。棺は台車に載せて火葬場へ向かうため、移動準備が少なく、喪主や同行者の負担も小さくなります。

蓋閉めと喪主挨拶が終わると、棺を台車に載せて式場外へ運び出し、そのまま火葬場へ向かいます。移動距離が短いため、火葬炉前へ到着するまでの工程は短時間で進みます。霊柩車への納棺や乗車の工程が省かれることが、一般的な式場との違いです。

火葬場に到着すると、係員の案内に従って炉前に進み、火葬前の拝礼へ移ります。徒歩移動であることから、喪主や同行者は移動の準備に時間をかける必要がなく、案内に沿って次の工程へ進みます。

喪主が出棺で担う役割

喪主は、蓋閉め後の挨拶や搬出時の先導、火葬場への移動の準備など、出棺の要所を担当します。自分がどの場面で前に立つかを事前に確認しておくと、当日の動きが整理しやすくなります。

蓋閉めが終わると、喪主は棺の前に立ちます。宗教や形式によって持つ物が異なり、位牌を持つ場合や遺影のみを持つ場合があります。喪主挨拶は参列への感謝を伝える場であり、長く話す必要はなく、要点を簡潔にまとめる形で行います。

搬出の場面では、喪主が棺の前方を歩く進行が多く、スタッフの案内に合わせて移動します。霊柩車を使用する式場では、納棺後に喪主が霊柩車へ乗車し、併設式場では台車での移動に合わせて徒歩で同行します。火葬場に到着したあとも、係員の案内に従い、炉前での拝礼の場へ進みます。

出棺後に式場へ戻らない進行が多いため、喪主の手荷物は事前にまとめ、親族に持ってもらう段取りを依頼しておきます。必要な書類や貴重品は喪主が持ち、それ以外の荷物は親族に預けておくと移動がしやすくなります。

参列者が出棺で意識したい見送りの動き

参列者は出棺の流れに合わせて位置を決め、式場の案内に従って動きます。どの場面で何をするかを事前に知っておくと、案内があったときに迷わず行動できます。

蓋閉めでは棺の周りに集まり、案内に沿って蓋に手を添えます。蓋が閉まったあとは、その場で喪主挨拶を聞き、棺を運び出す準備に備えます。

棺の搬出が始まると、近くにいる男性や親族がスタッフから声をかけられ、棺を持つ補助に入ることがあります。補助に入らない参列者は後方へ下がり、棺が通る道を確保します。火葬場併設式場では棺を台車に載せて移動するため、参列者は台車の通り道を空けて見送りします。

霊柩車を使用する式場では、納棺後に合掌や黙礼で見送りを行います。併設式場では台車移動を見送り、同行する場合は徒歩で火葬場へ向かいます。火葬場へ同行しない参列者は、見送りが済んだ時点で退席します。同行する参列者は、案内に従って乗車または徒歩で移動します。

出棺までに備えておく準備

出棺までに備えておく準備は、喪主と参列者で内容が異なります。喪主は挨拶や移動、荷物の管理を中心に整え、参列者は見送りに参加しやすい状態と退席や同行の準備を整えます。出棺後に式場へ戻らない進行もあるため、事前に必要な物や動きを確認しておくことが大切です。

喪主が備えておく準備

喪主は、挨拶、持ち物、移動の三つの観点で準備を進めます。工程ごとに求められる役割が変わるため、あらかじめ流れを確認しておくと、当日の対応がしやすくなります。

蓋閉めのあとに行う喪主挨拶は、故人との関わりに対する感謝や参列への謝意を伝える時間です。長い挨拶は必要なく、落ち着いた言葉でまとまっていれば十分です。挨拶の組み立てや文例は、喪主挨拶の詳しい解説ページで確認できます。

持ち物については、出棺後に式場へ戻らない進行が多いため、必要な物を早めに一つにまとめておきます。喪主自身は棺の前に立つ時間が長く、荷物を持てない場面が多いため、親族に預ける相手を事前に決めておきます。火葬場で必要となる書類や貴重品は喪主が持ち、それ以外は親族に預けると移動がしやすくなります。

霊柩車へ乗車する段階では準備の時間が限られるため、財布や鍵、携帯電話などは式場にいるうちにまとめておきます。併設式場で徒歩移動となる場合も、すぐに移動できる位置で待機しておくと、案内に合わせて動きやすくなります。

参列者が備えておく準備

参列者は、蓋閉め、搬出、見送りにすぐ参加できるよう、荷物の扱いと自分の動きを整理しておきます。補助に入る可能性がある人と、見送り後に退席する人とで準備のポイントが変わります。

搬出の前後は棺が通る道を空ける必要があるため、荷物は手に持てる状態にまとめておきます。棺を霊柩車に納めたあとには荷物を持つ時間があるため、その時点で鞄などを身につければ問題ありません。ただし、出棺後に式場へ戻らない場合があるため、荷物から離れてしまわないよう常に場所を意識しておきます。

近くにいる男性や親族は、スタッフから声をかけられ棺を持つ補助に入ることがあります。補助に入る可能性がある人は両手が空くようにし、荷物は椅子や荷物置き場に置いておきます。

火葬場へ同行する参列者は、出発の案内があったときにすぐ移動できるよう準備しておきます。同行しない参列者は、見送りが済んだ時点で退席するため、その前に荷物をまとめておき、退席の動きを妨げないようにしておきます。

よくある質問

出棺はどのタイミングで行われますか?
出棺は、告別式の儀礼がすべて終わったあとに行います。 読経、焼香、花入れ、最後のお別れが済み、参列者が棺の周囲に集まった段階で蓋閉めへ進みます。 その後、喪主挨拶、搬出、納棺と続き、火葬場への移動が始まります。
出棺の蓋閉めには必ず参加しないといけませんか?
蓋閉めは案内に従い、可能な範囲で参加します。 参列者全員が蓋に手を添える進行もあれば、近くの親族のみで行う場合もあります。 参加方法は式場側が案内するため、無理に動く必要はありません。
出棺時に喪主は何をしますか?
喪主は蓋閉め後に棺の前へ立ち、参列者へ短い挨拶を行います。 搬出時は棺の前方を歩いて先導し、霊柩車への納棺後に乗車します。 出棺後に式場へ戻らない進行が多いため、荷物は事前にまとめておきます。
参列者が出棺で気を付けることは何ですか?
参列者は、案内に合わせて立ち位置を決め、棺が通る道を空けることが大切です。 搬出時に近くの男性や親族が補助を求められる場合があるため、動きやすい状態を整えます。 火葬場へ同行しない場合は、見送り後に退席します。
火葬場が併設された式場では出棺の進み方は変わりますか?
変わります。霊柩車を使わず、棺を台車に載せてそのまま火葬場へ向かいます。 移動距離が短いため、出棺から火葬炉前までの工程が簡潔に進みます。 喪主と同行者は徒歩で移動し、乗車準備が不要です。

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中川 貴之