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葬祭プランナーの鳥本 拓

相談員 : 鳥本 拓

一日葬の参列マナーとは?服装・焼香・挨拶・欠席時の対応まで解説

マナー・流れ

一日葬は、通夜を省略し、葬儀・告別式・火葬を一日で執り行う形式の葬儀です。
近年は高齢化や家族構成の変化を背景に、一般的な選択肢として広まりつつありますが、参列する立場としては、時間・形式・マナーが通常の葬儀とは異なる点も多く、戸惑いや不安を感じやすいといえます。
本記事では、一日葬に参列する際に求められる基本的なマナーや配慮について、服装・焼香・挨拶・参列できない場合の対応まで、順を追って丁寧に解説します。
形式が簡略化されているからこそ、一つひとつの行動に配慮を込めることが、礼を尽くすうえで重要です。

一日葬とは?参列マナーを考えるうえで押さえておきたい基本

一日葬とは、通夜を省き、葬儀と告別式を1日で行う葬儀形式を指します。
短時間で執り行うという特性から、参列に関するマナーや対応も一般葬とは異なる点があります。
一日葬は主に高齢化や核家族化の進行、経済的・時間的な負担軽減といった背景から選ばれることが増えています。
近年では葬儀の簡素化を希望する家庭も多く、都市部を中心に一定の定着を見せつつあります。
形式上は「通夜なし」「1日完結」という点が大きな特徴で、葬儀・告別式は日中に行われるのが一般的です。
通夜がないことから、服装や香典、焼香のタイミングも一般葬とは異なりやすく、参列者側の事前把握が求められます。
参列のマナーを考える際は、こうした一日葬ならではの構成や、遺族側の意図に沿った対応が求められます。
マナー違反にならないためにも、一般葬との違いを理解したうえで参列することが大切です。

一日葬が家族葬形式かどうかで参列の可否が変わることがあります

一日葬に参列してよいか迷う場合は、その葬儀が家族葬形式かどうかを確認することが重要です。
形式上は一日葬でも、招待される範囲は遺族の意向によって大きく異なります。
一般に、一日葬は親族のみで執り行われるケースが多く、実質的に家族葬として行われることがあります。
この場合、近親者以外の参列は遠慮してほしいという意向がある場合もあるため、たとえ面識があっても、事前の確認をせずに参列するのは避けるべきです。
たとえば、同じ一日葬でも30名以上が参列するケースもあれば、遺族のみ10名以下で行われる場合もあります。
また、香典を辞退するかどうか、返礼品を用意するかどうかも、遺族の方針によってまちまちです。
一律の基準はなく、「一日葬=一般参列歓迎」とも「家族葬=一律に辞退」などとも限りません。
参列すべきか悩んだ場合は、まず葬儀の訃報の内容に目を通し、招待の有無や香典に関する記載を確認することが基本です。
個別の案内がない場合には、直接遺族に確認を取るか、関係性の近い人を通じて意向を確認するのが望ましい対応です。
葬儀の進行時間が短く、関係者も限られる一日葬では、参列者の行動が式全体に与える影響も大きくなります。

一日葬は宗教や地域によって進行や作法が異なることがあります

一日葬の進行や作法には一定の共通点があるものの、宗教・宗派や地域の慣習によって細かな違いが見られます。
そのため、参列する際は一般的なマナーを押さえるとともに、案内内容や開催地域に応じた柔軟な対応が求められます。
たとえば仏式の葬儀では焼香が一般的ですが、宗派によっては読経の長さや焼香の回数に違いがあります。
また神式では玉串奉奠、キリスト教式では献花が行われるなど、宗教によって所作そのものが異なります。
加えて、地域によっては火葬の順番が異なる「前火葬」「後火葬」の違いや、葬儀前後の接待や進行形式に地域差がある場合もあります。
一日葬はその名の通り1日で終える葬儀であるため、進行が簡略化されていると考えがちですが、宗教的儀礼を重んじる家庭では、一般葬と同様の所作や準備が整えられていることも少なくありません。
そのため、「一日葬だから簡素なはず」と決めつけるのではなく、あくまで案内された形式に従って行動することが大切です。
マナーや作法に関して不安がある場合は、事前に喪家や葬儀社からの案内をよく確認し、迷った場合は控えめに振る舞うことが適切です。
「地域や宗教によって違いがある」という前提を理解しておくことが、過度な不安を抱かずに参列するうえでの助けになります。

一日葬に参列する際の服装・持ち物はあらかじめ確認が必要です

一日葬に参列する際の服装や持ち物は、通常の葬儀と基本的に大きな違いはありません。
特別な形式を意識する必要はなく、一般的な葬儀に準じた対応をするのが基本です。
一日葬は通夜を省略して1日で葬儀・告別式を行う形式ですが、進行自体は通常の葬儀とほぼ同様です。
そのため、服装は一般的な喪服である準喪服が基本とされます。
男性であれば黒のスーツに白シャツ・黒ネクタイ、女性であれば黒のワンピースやスーツに黒の靴やバッグなど、いわゆるブラックフォーマルと呼ばれる服装が一般的です。
持ち物についても、香典・数珠・袱紗などが基本とされますが、訃報に「香典辞退」や「平服で」と明記されている場合は、その意向に沿った対応が求められます。
また、家族葬形式で一日葬が行われる場合には、香典を受け取らない、返礼品を用意しないなどのケースもあるため、案内内容の確認が欠かせません。
参列の可否や準備物に迷う場合は、直接確認するか、控えめで失礼のない範囲で対応することが大切です。
以下では、服装と持ち物についてそれぞれ注意点を整理します。

一日葬の服装は準喪服が基本ですが、案内内容によって調整が必要です

一日葬に参列する際の服装は、原則として準喪服が基本です。
ただし、訃報に明確な指示がある場合や、葬儀の形式・規模に応じて、過度に格式ばらない略式の装いにとどめる判断も必要です。

準喪服とは、いわゆるブラックフォーマルに該当する服装で、喪主や遺族ほど厳格な格式は求められないものの、一般の参列者として礼を失しない最低限の装いとされています。
男性であれば黒無地のスーツに白シャツ・黒ネクタイ、女性であれば黒のワンピースやアンサンブルに黒い靴とバッグなどが一般的です。

このような装いは、宗教や地域を問わず無難とされており、特に仏式の葬儀では準喪服の着用が基本的なマナーとされています。
一日葬は葬儀と告別式を一日で行う形式のため、通夜がないぶん儀式の場が一回限りとなり、その場での服装の印象がより重視される点にも注意が必要です。

以下に、準喪服の基本例を男女別に整理します。

区分服装例補足
男性黒無地のスーツ、白シャツ、黒ネクタイ、黒の革靴靴下・ベルトも黒が望ましい
女性黒のワンピース・アンサンブル、黒パンプス、黒バッグストッキングは肌色または黒。
装飾のないものが基本

一方で、訃報に「平服でお越しください」と明記されている場合や、極めて小規模な家族葬形式で行われるケースでは、準喪服よりも控えめな略礼装でも失礼にあたらないことがあります。
過度にかしこまらない服装が求められている場合もあるため、文面を読み取ったうえでの柔軟な判断が必要です。

服装に迷った場合は、「最も控えめな装いを選ぶ」という姿勢が基本です。
案内の文言や葬儀の規模から遺族の意図をくみ取り、場にふさわしい節度をもって参列することが求められます。

▶ 服装マナーの詳細はこちら

持ち物は香典・数珠・袱紗を基本に、案内内容に応じた対応が求められます

一日葬に参列する際の持ち物は、香典・数珠・袱紗の3点が基本です。
ただし、香典を辞退する旨が案内に明記されている場合などは、遺族の意向に沿って調整することが求められます。

仏式葬儀であれば、数珠は礼儀として必ず持参すべきものとされています。
また、香典を包む場合には、袱紗に包んで持参するのが正式なマナーです。
いずれも形式に沿った所作を守ることで、遺族に対する敬意を示すことができます。

なお、香典については一日葬において「辞退」とする家庭も少なくありません。
香典返しの準備や受け渡しの手間を避ける意図によるものです。
このため、訃報に「香典辞退」と明記されている場合には、持参せず弔意だけを伝えるのが望ましい対応です。

基本となる持ち物の一覧は以下のとおりです。

品目必要性補足
香典案内に辞退の記載がなければ持参不安な場合は関係者に確認する
数珠仏式では必須宗教により不要な場合あり(例:神式では不要)
袱紗香典を包む際に必要寒色系・紫系などの無地が望ましい

一日葬は時間や儀礼が簡略化されることが多いため、持ち物も簡素でよいと誤解されがちですが、実際には一般的な葬儀と同様の備えが必要になる場合もあります。
とくに数珠は宗教的な意味合いが強いため、仏式の場合には必須と認識しておくことが適切です。

判断に迷う場合は、案内の記載をよく読み、必要に応じて遺族や関係者に事前確認を取ることが、失礼のない参列につながります。

▶ 持ち物マナーの詳細はこちら

一日葬における焼香・挨拶・言葉選びにも配慮が求められます

一日葬では、限られた時間の中で焼香や挨拶の機会が設けられるため、簡潔かつ丁寧なふるまいが求められます。
とくに、焼香の所作や遺族への声がけ、式場内での立ち居振る舞いにおいては、形式にとらわれすぎず、場の空気に調和した行動が重視されます。

一日葬は通夜を省略し、葬儀・告別式を1日で終える形式です。
そのため、参列者と遺族が接する時間が限られており、焼香や挨拶の場面も簡潔に進行されることが一般的です。
過剰な所作や長い会話は避け、ごく控えめな表現や態度がふさわしいとされます。

以下は、一日葬で求められる基本的な所作や対応の例です。

  • 焼香:案内に従って静かに順番を待ち、宗派に応じた所作で焼香を行う(例:仏式=数珠を手に一礼→香を1~3回)
  • 遺族への挨拶:通夜がないため、葬儀前後での挨拶が中心となる。
    言葉は「ご愁傷さまです」「このたびは…」など簡潔な弔意表現にとどめる
  • 会話・言葉選び:「がんばって」「元気を出して」など励ましの言葉は避け、沈痛な場にふさわしい語調を意識する
  • 立ち居振る舞い:式場では静粛を保ち、私語やスマートフォンの操作を控える。
    短時間でも礼を尽くす姿勢が大切

とくに焼香は、参列者が故人に対して弔意を示す最も象徴的な行為であるため、宗教・宗派に応じた作法を尊重することが重要です。
また、故人の宗派が分からない場合でも、訃報や会場の雰囲気から推察するか、前に焼香した人の動きを参考にするなどの配慮が求められます。

一日葬は進行が比較的速やかに進むため、参列者の行動一つひとつが印象に残りやすいという側面もあります。
そのため、あらかじめ想定される場面への準備をしておくと、当日の緊張や戸惑いも軽減されます。
形式や言葉にとらわれず、「短時間でも最大限の敬意を払う」という姿勢が、もっとも大切なマナーです。

焼香の作法は宗派によって異なるため、周囲に合わせる配慮も必要です

一日葬で行われる焼香の作法は、宗教・宗派によって異なるため、必ずしも一律の形式があるわけではありません。
基本的な流れを押さえつつも、案内や周囲の動きに応じた柔軟な対応が求められます。

以下は、代表的な宗教・宗派ごとの焼香・献花・玉串奉奠の違いをまとめた表です。

宗教・宗派主な所作補足
仏式(曹洞宗)焼香2回、香を額にいただく遺影に一礼→焼香→再度一礼
仏式(浄土真宗)焼香1回、額にいただかない内面の念を重視するため形式を簡素化
神式玉串奉奠玉串を時計回りに回して祭壇に供える
キリスト教式献花白い花を茎を手前にして献花台に置く

葬儀の宗教形式は、訃報に記載されていないこともあるため、当日の雰囲気や会場の表示を確認することが基本です。
とくに仏式で焼香が行われる場合は、参列者が多い葬儀では「焼香は1回で」といった案内がなされるケースもあります。

不明な場合や慣れていない場合は、以下のような対応が推奨されます。

  • 前の参列者の動きを参考にする
  • 係員や葬儀社スタッフの案内に従う
  • 案内に「焼香は一回で」と明記されている場合は必ず従う
  • 判断に迷ったときは、控えめな動作にとどめる

焼香の正確さにこだわるよりも、遺族や周囲に調和した所作を心がけることが、もっとも大切な配慮といえます。
葬儀という場の空気を尊重し、心を込めた静かなふるまいが何よりの弔意になります。

遺族への挨拶は簡潔に、タイミングや言葉遣いにも注意が必要です

一日葬では式全体の所要時間が短いため、遺族との挨拶は限られた場面で交わすことになります。
そのため、挨拶は簡潔かつ丁寧に行い、無理に話しかけすぎない配慮が求められます。

たとえば、開式前の着席時や、閉式後に退出する際など、すれ違いざまに一言交わす程度が一般的です。
あらたまった挨拶は不要であり、長く立ち話をすることは避けましょう。

挨拶の際には、「がんばってください」「元気を出して」などの励ましの言葉は避け、「ご愁傷さまでございます」「お疲れのところ恐れ入ります」など、哀悼の意と相手への気遣いを込めた表現を用いるのが基本です。

避ける表現適切な表現例補足
「がんばってください」「ご愁傷さまでございます」励ましではなく哀悼の言葉を選ぶ
「元気を出して」「ご冥福をお祈りいたします」気遣いは伝えるが前向きな言葉は控える
「落ち着いたらまた連絡します」「お疲れのところ恐れ入ります」今は静かに寄り添う姿勢を大切に

また、式の最中や焼香の直後に話しかけるのは避け、静かに一礼するだけでも十分に礼儀を尽くしたことになります。
表情や身だしなみも含め、場の雰囲気に調和する態度を心がけることが重要です。

形式的な挨拶ではなく、「静かにその場にいる」ことが、もっとも伝わる弔意となる場合もあります。
言葉以上に、態度や所作で敬意を示す姿勢が大切です。

一日葬の参列時間は限られており、式全体の流れを把握しておくと安心です

一日葬では、通夜を行わず、葬儀・告別式・火葬を1日で終えるため、参列時間が限られています。
とくに一般参列者が参加するのは、午前中~正午前後にかけて行われる式典部分のみであることが多く、時間の把握が重要です。

式は火葬時間から逆算して開式時刻が決められるため、原則として午前中に開式し、葬儀・告別式は1時間〜1時間半程度で進行するのが一般的です。
火葬場への移動後、火葬と収骨でさらに60〜90分を要し、解散となります。

ただし、参列者が多い場合や宗教儀礼が丁重に行われる場合には、式の時間がやや長めに設定されることもあります。
とはいえ、一日葬は家族葬形式で執り行われることが多く、参列者の人数が10〜30名程度に収まるケースが大半を占めます。

項目時間の目安補足
葬儀・告別式約1時間〜1時間半後火葬の場合、火葬時刻に合わせて逆算される
火葬〜収骨約60〜90分火葬場の混雑状況や立地によって変動
全体所要時間約2時間〜3時間参列者は葬儀・告別式のみ参加することもある

訃報に「開式◯時」と明記されている場合は、その時刻に間に合うように到着することが大切です。
また、火葬場への同行が必要かどうかも記載されていることがあるため、事前の確認を忘れずに行いましょう。

参列時間は訃報の「開式時刻」に合わせ、10〜15分前には着席しておくのが基本です

一日葬に参列する際は、訃報に記載された「開式時刻」をもとに行動するのが基本です。
一般参列者に送られる訃報では、個別の集合時間は書かれていないことが多く、開式の10〜15分前までに会場に到着し、静かに着席しておくことが望ましいとされています。

一日葬は全体の所要時間が限られており、開式後の入場や途中参加は、式の進行を妨げたり、遺族や他の参列者に配慮を欠く行動と受け取られることもあります。
受付や移動にかかる時間を考慮し、時間には余裕を持って行動することが大切です。

訃報の記載例参列者の到着目安
〇月〇日(火)10時より葬儀・告別式9:45までに受付・着席
〇時より一日葬を執り行います10〜15分前に着席
〇時よりのご参列をお願いいたします5〜10分前に現地到着

とくに僧侶や遺族が入場する直前の移動や、焼香開始後の入場は避けるのがマナーです。
「早すぎず、遅れず、静かに着席する」姿勢が、限られた時間の中で最大限の礼を尽くす基本といえるでしょう。

火葬場への同行が必要かどうかは、案内の有無や当日の確認で判断しましょう

一日葬では、式後にそのまま火葬が行われることが一般的ですが、一般参列者が火葬に同行するかどうかは、葬儀ごとの運営方針によって異なります。

多くの場合、火葬への同行は親族に限られ、一般参列者は葬儀・告別式の終了後に解散となります。
ただし、訃報や当日の案内で「火葬にもお越しください」「火葬場にてご焼香いただけます」と明記されている場合には、参列を求められている可能性があります。

一方で、「火葬はご親族のみで執り行います」といった一文が添えられている場合には、式のみの参列で問題ありません。
このような案内が不明確な場合は、当日の案内で判断しましょう。

訃報の例参列者の対応
「火葬にもご同行ください」式後、スタッフの誘導に従って同行
「火葬は親族のみで行います」葬儀・告別式終了後に退出
記載がない/不明確受付や係員に確認、案内がなければ退出が基本

火葬場への同行は義務ではなく、あくまで案内があれば応じる姿勢で構いません。
葬儀全体の進行を妨げないことと、遺族の意向を尊重することが、参列マナーとして最も重要です。

前火葬か後火葬かで式の時間帯が異なる場合があります

一日葬は「通夜を省略し、葬儀・告別式・火葬を1日で行う形式」とされていますが、式の時間帯は、地域や火葬場の運用によって前後することがあります。
特に「前火葬」と呼ばれる形式が採用されている地域では、午前中に火葬を済ませたうえで、昼前後に葬儀・告別式が行われることもあります。

全国的には「後火葬(葬儀→火葬)」が一般的ですが、一部地域では火葬場の稼働状況や慣習により「前火葬(火葬→葬儀)」が定着しているケースがあります。
この場合、葬儀の開式は昼頃になることが多く、参列時間も後ろにずれるため、早朝に到着する必要はありません。

いずれのケースでも、訃報や案内分に「火葬◯時開始」「葬儀◯時より執り行います」などと具体的な時間帯が明記されているのが一般的です。
参列者としては、書かれている時間帯を第一に確認し、無理のない到着を心がけることが重要です。

火葬の順序主な流れ参列時間帯の目安
後火葬(一般的)葬儀・告別式 → 火葬午前〜昼頃(例:10時〜11時開式)
前火葬(地域差あり)火葬 → 葬儀・告別式昼頃〜午後(例:13時〜14時開式)

火葬の順序によって、集合時間や参列の段取りが変わるため、訃報の記載に従うのがもっとも確実です。
「一日葬は午前中に行うもの」と決めつけず、地域や家庭ごとの運営に合わせた柔軟な対応を意識しましょう。

一日葬に参列できない場合は、弔意を伝える意思表示が重要です


一日葬は、通夜を省略して1日で葬儀・告別式・火葬を執り行う形式であるため、開催日が急に決まったり、平日午前中に行われることが多くなります。
そのため、予定や距離の関係でどうしても参列できないケースも少なくありません。


とくに以下のような事情で欠席せざるを得ない方もいます:


  • 仕事・学校など日中の予定が調整できない
  • 遠方に住んでおり当日の移動が難しい
  • 体調不良・高齢などで外出が困難
  • 訃報を受け取ったのが前日など急だった

このように「参列できないこと自体」は決して非常識ではありませんが、一切の連絡や対応を行わないままにしておくと、配慮に欠ける印象を与える可能性があります。


そこで、次のような方法で、弔意を伝える意思表示を行うことが望ましいとされています:


  • 遺族に欠席の旨を事前に電話やメッセージで伝える
  • 弔電を送る
  • 香典を現地または郵送で届ける
  • 供花を手配する
  • 後日改めてお悔やみの手紙・訪問を行う

形式よりも「気持ちを伝えること」が大切であり、相手の負担にならない方法を選ぶのが基本です。
あらかじめ方法に迷った場合は、共通の知人や葬儀社に確認を取るのもよいでしょう。


香典を送る際は、現金書留や郵送方法に注意が必要です


参列できない場合でも、香典を送ることで弔意を伝えることができます。
ただし、現金を送付するには特別な配慮が必要です。


香典は必ず「現金書留」を使って郵送します。
普通郵便やレターパックでは現金の送付が禁じられており、紛失や事故のリスクもあります。


以下は、香典を郵送する際に押さえておきたい基本的なマナーです:


  • 不祝儀袋に入れた香典を、さらに封筒(現金書留用)に包んで送付する
  • 「お悔やみの手紙」や「弔意を伝える一筆箋」を同封する
  • 喪主宛に正確な住所と氏名を記載する(宛先不明にならないよう注意)
  • 到着のタイミングを考慮し、できれば葬儀当日か前日までに届くよう手配する

香典の金額に明確な決まりはありませんが、故人との関係性に応じて3,000〜10,000円が一般的です。
地域や慣習によって差があるため、迷った場合は身近な人に相談するとよいでしょう。


また、葬儀が「香典辞退」の形式である場合は、無理に送らず案内に従うのがマナーです。
訃報に「ご香典の儀はご辞退申し上げます」などの記載があるかどうか、必ず事前に確認しましょう。


弔電は簡潔な文面で哀悼の意を伝える手段として有効です


弔電は、やむを得ず参列できない場合に、故人への哀悼と遺族へのお悔やみの気持ちを届ける方法のひとつです。
「葬儀に行けないことを失礼にしない」という姿勢を示す手段として、特に一日葬のように時間が限られる葬儀形式において有効です。


弔電は、NTTの「115 電報サービス」や、民間の電報サービス(e-denpo、VERY CARDなど)から電話・インターネットで申し込むことができます。
一日葬では午前中に開式されることが多いため、弔電は前日までに式場へ届くよう手配するのが基本です。
当日朝の配達では間に合わない可能性があるため、余裕を持った手続きが重要です。


弔電は式中に読み上げられることが多く、その内容は遺族や参列者の目にも触れます。
以下に基本的な文例を紹介します。


場面文例補足
ごく一般的な文面「ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます」誰にでも使える形式的な表現
故人との関係を踏まえて「生前のご厚情に深く感謝し、哀悼の意を表します」仕事関係・知人向けに適する
参列できない事情に触れる「遠方のため参列かないませんが、心よりお祈り申し上げます」参列できない理由に簡単に触れても可

長文や個人的な感情を長々と綴る必要はなく、あくまで簡潔で丁重な表現を心がけるのが弔電マナーです。
迷う場合は、電報サービスが提供するテンプレート文例を活用するのも一つの方法です。


供花は遺族や式場の意向を確認したうえで贈りましょう


一日葬に参列できない場合、弔意を表す手段として「供花(きょうか)」を贈ることも選択肢の一つです。
ただし、供花は香典や弔電と異なり、遺族や式場の意向を必ず確認してから手配することが基本マナーとされています。


一日葬は家族葬形式で行われることが多く、「供花は辞退いたします」「ご供花・ご香典のご遠慮」などの一文が訃報に記載されているケースもあります。
このような場合には、たとえ厚意であっても供花を贈ることが遺族の意に反する可能性があるため、控えるのが適切です。


また、供花には宗教的意味合いがあるため、仏式・神式・キリスト教式など、それぞれに応じた花材や構成への配慮も求められます。
基本的には以下のような違いがあります。


宗教形式供花の特徴補足
仏式白菊や百合を中心とした白系統の花蓮の花は浄土思想に基づく定番
神式榊(さかき)や白花中心で飾りを抑えた構成供花よりも玉串料が重視される傾向も
キリスト教式白百合・カーネーション・洋花が主体十字架を添えた花環なども見られる

供花の手配は、式場が指定する花店や葬儀社経由で依頼するのが一般的です。
勝手に外部業者に依頼すると、式場で受け取りを断られることもあるため、事前に訃報に供花に関する記載があるか、または遺族や葬儀社に確認してから行動するのが望ましい対応です。


なお、供花の価格相場は1基あたり10,000円〜15,000円が一般的で、贈り主の氏名を明記した名札を添えて届けられるのが通例です。


供花は視覚的に目立つ存在であるため、遺族にとって好意的に受け止められるかどうかを事前に考慮することが大切です。
あくまでも「自己判断ではなく確認が第一」であることを意識しましょう。


一日葬だからこそ、参列者には簡潔で丁寧なふるまいが求められます


一日葬は、通夜を省略して葬儀・告別式・火葬を一日で執り行う形式であり、従来の葬儀に比べて時間・空間・関係性のすべてが限られた中で進行されます
そのため、参列者には一層の配慮と礼節が求められます。


とくに一日葬では、以下のような特徴が挙げられます:


  • 時間の限定性:通夜がないため、弔意を示す時間が短い
  • 空間の限定性:小規模な式場や限られた空間で行われることが多い
  • 関係性の限定性:家族・親族中心の葬儀に限られた人数で参列する形式

このような制約のもとでは、参列者のふるまい一つが式全体の印象に影響を与える可能性があります。
そのため、以下のような態度がとくに重視されます。


場面配慮のポイント
受付・着席開式10〜15分前に静かに着席し、私語を慎む
焼香宗派や案内に従い、簡潔かつ心を込めて行う
遺族との接触挨拶は最小限にとどめ、過度な会話を避ける
退出・帰宅静かに退席し、余韻を乱さない行動を意識する

また、やむを得ず参列できない場合にも、香典や弔電、供花などを通じて「弔意を伝える姿勢」を示すことが、遺族への礼節となります。


一日葬では、派手な所作や長い言葉よりも、限られた時間の中で最大限の敬意を込める「静かなふるまい」が何より重要です。
形式ではなく心を重視し、短時間でも誠実な参列の意を示すことが、一日葬における最も適切なマナーといえるでしょう。


よくある質問

一日葬とはどのような葬儀形式ですか?
一日葬は、通夜を省略し、葬儀・告別式・火葬を一日で執り行う葬儀形式です。
家族葬と同様に、参列者を近親者やごく親しい知人に限定することが多く、準備・費用・所要時間を抑えられる点が特徴です。
家族葬や一般葬との違いは何ですか?
最大の違いは日数と儀式数です。 一般葬は通夜・葬儀の2日間で実施され、多くの参列者を迎えるのが一般的です。
一方、家族葬は少人数で行う点が共通していますが、一日葬はそこに「通夜を省略する」という時間的特徴が加わります。
一日葬を選ぶのに向いているのはどんな人ですか?
高齢の親族が多く長時間の参列が難しい場合や、故人の遺志により簡素な形式を希望する場合、また仕事や家庭の事情で日数的な制約がある場合に適しています。
ただし、地域の慣習や親族間の理解も含めて総合的に検討する必要があります。
一日葬でもマナーや作法に注意が必要ですか?
はい。参列の時間が限られている分、一つひとつの所作が印象に残りやすくなります。
焼香・挨拶・服装・言葉遣いなど、一般的な葬儀と同様のマナーを基本としつつも、より簡潔で丁寧な対応が求められます。
一日葬に参列できない場合はどうすればよいですか?
参列が難しいときは、香典や弔電を通じて弔意を伝える方法があります。
供花を希望する場合は、宗教形式や遺族の意向に合わせた事前確認が必要です。
いずれの場合も、「参列できないことを放置しない」姿勢が最も大切です。

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中川 貴之