葬儀における返礼品を解説

マナー・流れ

葬儀では、参列者や香典をくださった方に感謝の気持ちを示すために返礼品を用意します。
形式だけでなく、相手に心よく受け取ってもらえる工夫が求められるため、目的や金額、渡す時期を理解して準備を整えることが大切です。
ここでは、会葬返礼品と香典返しの違いを中心に、喪主として知っておきたい葬儀の返礼品の基本を整理します。

葬儀の返礼品とは、参列や香典への感謝を形にして伝える贈り物

葬儀の返礼品は、参列者や香典をくださった方に感謝の気持ちを伝えるための品です。
葬儀では多くの人が弔意を示すため、その心遣いに丁寧に応えることが礼儀とされています。
形式を整えることは、遺族の感謝を社会的な形にして示す行為でもあります。

返礼品の形や内容は宗教や地域によって異なりますが、根底にある考え方は共通しています。
故人を思ってくださった気持ちへのお礼を忘れないという姿勢です。
喪主は品の内容だけでなく、渡す時期や方法までを整える必要があります。

返礼品が果たす役割

返礼品は単なる贈答ではなく、葬儀全体の印象を整える役割を持ちます。
礼状や返礼品を通して「弔意を受け取りました」という意思を伝えることで、場の落ち着きが保たれます。
形式と心の両面を意識することで、葬儀後の人間関係にも良い印象を残すことができます。

葬儀の返礼品は2種類、会葬返礼品と香典返しを目的で区別する

葬儀で用意する返礼品は、会葬返礼品と香典返しに分かれます。
両者はお礼の対象と渡す時期が異なり、会葬返礼品は参列に対するお礼、香典返しは金銭的な弔意に対するお礼です。
この二つを混同せず、目的に応じて準備を整えることが基本です。

会葬返礼品は当日に手渡すため、葬儀の進行と並行して準備します。
一方、香典返しは忌明け後に改めて贈るもので、落ち着いた段階で感謝を形にします。
役割を理解しておくことで、対応に迷う場面を減らせます。

会葬返礼品は参列へのお礼として当日に渡す

通夜や告別式に参列してくれた方に感謝を伝えるための品です。
受付で会葬礼状と一緒に渡し、持ち帰りやすく日常で使える内容を選びます。
お茶・菓子・タオルなどが中心で、目安は一人あたり500〜1,000円です。

葬儀社が数を多めに準備し、実際に使った分だけ後日精算する方式が広く用いられています。
参列者数が確定していない場合でも柔軟に対応できます。

香典返しは香典へのお礼として忌明け後に贈る

香典をいただいた方に、四十九日法要後を目安に感謝を込めて贈ります。
金額の目安は「半返し」とされ、2,000〜3,000円程度の実用品が中心です。
茶類やカタログギフトなど、受け取る側を選ばない落ち着いた品を用います。

地域によっては即日返しを行う場合もある

葬儀当日に香典返しを行う「即日返し」を採用するケースがあります。
3,000円前後の品を用意し、10,000円程度までの香典に対するお礼として対応します。
会葬返礼品と兼ねる場合もあり、地域の慣習に合わせて判断します。

返礼品の金額は目的で異なる、香典返しは半返しが目安・会葬返礼品は均一に用意する

返礼品の金額は目的によって考え方が異なります。
香典返しは香典の金額に応じた半返しを基本とし、会葬返礼品は参列へのお礼として一律の金額で用意します。
いずれも、相手に負担をかけない水準で整えることが大切です。

金額の目安を把握しておくと選定の方向性が明確になります。
高額な品は気遣いの負担になり得るため、控えめで実用的な内容を基準とします。

香典返しの相場

いただいた香典の半額前後を目安に用意します。
たとえば5,000円の香典には2,000〜3,000円程度の品が適します。
関係性に応じて調整し、全体の統一感を保ちます。

会葬返礼品の費用目安

参列者全員に一律で渡す品のため、500〜1,000円前後が目安です。
お茶・菓子・タオルなど、軽く持ち帰りやすいものを選びます。

高額な香典をいただいた場合の対応

当日に返礼品を渡していても、高額な香典をいただいた場合は後日改めてお返しします。
半返しを目安とし、四十九日を過ぎた頃に礼状を添えて郵送します。
同じ方への複数返礼となるため、内容と時期の整理を意識します。

返礼品の手配は時期によって異なる、葬儀までは葬儀社・葬儀後はギフト専門店で行う

手配の依頼先は時期で分かれます。
葬儀当日までに使用する会葬返礼品は葬儀社が準備し、葬儀後に送る香典返しはギフト専門店や百貨店へ依頼します。
区分を理解すると、準備の重複を防ぎ、進行も円滑になります。

葬儀社は数量調整に柔軟で当日の進行に合わせた対応が可能です。
ギフト専門店や百貨店は、品選びから発送まで一括手配に対応します。

葬儀社が手配する会葬返礼品

会葬返礼品は通夜・葬儀で直接渡す品です。
多くの葬儀社は余分に準備し、使用分のみ後日清算する仕組みを採用しています。
参列者数が確定していない場合でも不足や過剰を避けられます。

内容はお茶・菓子・タオルなどが中心で、単価は500〜1,000円程度です。
規模や参列者層に応じて品の組み合わせを調整します。

香典返しはギフト専門店や百貨店で手配する

香典返しは葬儀後に落ち着いてから準備します。
デパートやギフト専門店では、送り先リストをもとに四十九日以降の発送まで代行します。
オンライン注文に対応する店舗も多く、遠方の先方にも対応しやすい体制です。

当日返しと後日返しの考え方

香典返しは本来、四十九日を過ぎてから贈ります。
ただし、葬儀当日にお返しを済ませる「即日返し」を選ぶケースもあります。
即日返しは葬儀社を通じて3,000円前後の品を用意し、10,000円程度までの香典に対応します。
それ以上の高額な香典は、四十九日以降にギフト専門店や百貨店へ依頼し、半返しを目安に別途お返しします。

郵送で香典を受け取った場合の対応

参列がなく郵送で香典を受け取った場合は、当日にお返しできません。
四十九日を目安に礼状を添えて郵送します。
礼状文面の作成・印刷を代行する業者もあるため、内容確認のうえ依頼すると整った印象になります。

手配先を決める際の確認ポイント

サービス内容・費用・納期・包装仕様を比較し、依頼範囲を明確にします。
複数業者を併用する場合は、包装やデザインを揃えて統一感を保ちます。

返礼品に選ばれる品は実用的で控えめなものが中心

誰にでも使いやすく、日常で消費できる品を基準に選びます。
派手さよりも落ち着いた印象と実用性を重視し、相手に気遣いの負担を与えない内容に整えます。
「誰が受け取っても使える」「形が残らない」「宗教を問わない」の三点を意識します。

定番の品と特徴

茶類・菓子・タオル・コーヒー・のりなどの消耗品は、受け取った後に使いやすく後に残りません。
お茶やコーヒーは一服の時間に使え、気持ちを整えやすい点が評価されています。
商品券やカタログギフトも選択肢で、好みの違いによる不都合を避けやすい利点があります。

避けたい品と注意点

華美な装飾品や趣味性の強い品は避けます。
宗教上意味を持つ品や長期保存が難しい生ものも不向きです。
香りが強すぎるアイテムや好みが分かれる雑貨は控えると印象が安定します。

喪主は形式と心の両面から、感謝を丁寧に伝える姿勢を大切にする

返礼品は、形式を整えるだけでなく、相手の気持ちに応えるための行為です。
参列や香典に対する感謝を、礼儀と心遣いの両面から示すことで、葬儀全体が落ち着いた印象になります。
見た目の整えよりも「どう受け取られるか」を意識した対応が求められます。

地域の慣習や宗教の違いを尊重しながら、無理のない範囲で心を込めて対応します。
相手に負担をかけず、静かに感謝を届ける姿勢を保つことで、喪主としての誠実さが伝わります。
金額や品目よりも、礼を尽くす気持ちをどう形にするかを判断軸に据えます。

よくある質問

葬儀の返礼品と香典返しの違いは何ですか?
返礼品は、弔問や参列など葬儀に関わってくださった方への感謝を示す品の総称です。
そのうち、葬儀当日にお渡しするのが「会葬返礼品」、忌明け後に香典へのお礼として贈るのが「香典返し」です。
お礼の対象と時期の違いで区別します。
会葬返礼品はいくらくらいのものを用意すればいいですか?
会葬返礼品は、参列者全員に一律でお渡しするため、500〜1,000円程度が目安です。
お茶や菓子、タオルなど、持ち帰りやすく実用的な品が適しています。
香典返しはいつまでに贈るのが適切ですか?
香典返しは、四十九日法要を終えたあと、1か月以内を目安に贈ります。
法要を終えた報告を兼ねた礼状を添えると、丁寧な印象になります。
郵送で香典を受け取った場合も、この時期に合わせてお返しします。
高額な香典をいただいた場合はどのように対応すべきですか?
当日にお返しをしていても、香典が高額な場合は「半返し」を目安に後日改めて贈ります。
四十九日後に礼状を添えて郵送し、重複を避けるよう品の内容や時期を整理しておくと安心です。
返礼品の準備はどこに依頼するのが良いですか?
葬儀当日に渡す会葬返礼品は葬儀社、忌明け後に送る香典返しは百貨店やギフト専門店に依頼します。
時期によって依頼先を分けることで、数量調整や発送管理がスムーズに行えます。

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中川 貴之