告別式とは?葬儀との違い・流れ・参列マナーまで徹底解説

マナー・流れ

告別式とは、故人と社会的に最後のお別れをするための儀式です。
本来は宗教的な意味を持つ「葬儀」とは区別され、遺族や親族だけでなく、友人や地域の人々も参列して弔意を示す場とされています。
現在では葬儀と告別式を一連の儀式として同日に行うことが一般的ですが、両者の意味や役割を理解しておくと、参列や準備の際に迷うことがなくなります。
告別式の流れや日程、所要時間、焼香や香典などの作法、服装のマナーまで整理して知っておくことは、社会人としても欠かせない素養といえます。
さらに、葬儀・告別式に参列できない場合の対応や、喪主や遺族として準備すべきことを知っておくと、場にふさわしい振る舞いが可能になります。
ここでは、告別式の意味や葬儀との違い、実際の進行や参列マナーまで体系的に解説します。
故人を悼み、遺族に失礼のない形で参列できるよう、基本的な知識を確認していきましょう。

告別式の意味と成り立ちを理解すると、葬儀との違いが明確になります

告別式は参列者が弔意を示し遺族に寄り添う社会的な儀礼です。
一方の葬儀は僧侶や神職による読経・祭祀など宗教的な儀礼を中心に行います。
現在は同日に連続して営むのが主流ですが、両者の意味を押さえておくと案内文の意図が理解しやすくなります。

告別式の意味(社会的なお別れ):野辺の送りからの変化

遺族・親族に限らず、生前に故人と関わりのあった人々が参列し、焼香・献花・花入れを通じて最後の別れを告げます。
起源は古来の葬列「野辺の送り」にさかのぼり、形を変えながら現在の様式として定着しました。

葬儀との違い:本来は「葬儀→僧侶退席→告別式」

本来の順序では葬儀(宗教儀礼)を終えた後、僧侶が退席し、一般参列者も交えて告別式(社会儀礼)を行います。

段階 対象 目的
葬儀 僧侶・遺族・親族 成仏・冥福を祈る宗教儀礼
告別式 遺族・親族+一般参列者 社会的なお別れ・弔意の表明

現代の運用:同日一体化が主流/「告別式のみ」等の注意

  • 同日一体化:火葬場や斎場の事情から、約1時間前後で連続実施が一般的。
  • 告別式のみ:宗教儀礼を省くため、宗派・遺族方針の確認が必要。
  • 直葬(火葬式):告別式自体を行わない形式。

告別式の時期と順番:いつ・何日後に行い、どのくらいの時間が必要か

告別式は多くの場合、通夜の翌日に営まれます。
一般的な順序は「通夜→葬儀→告別式→出棺→火葬」で、式から出棺までの所要は約60〜90分が目安です。通夜の詳細は、解説ページ「通夜の基礎」を参照ください:通夜の基礎

標準シーケンス:通夜→葬儀→告別式→出棺→火葬→(繰上げ)初七日

  • 通夜:夕刻に営むことが多い(18時以降)。
  • 葬儀:宗教儀礼中心。
  • 告別式:社会的なお別れ。
  • 出棺・火葬:式後に移動・荼毘。
  • 初七日(繰上げ):会食と併せて当日実施する場合がある。

所要と開始帯の目安:午前〜正午開始、枠は火葬場に依存

参列多数の社葬等は2時間超となることもあります。開始は午前10時〜正午帯が多く、火葬場予約・斎場枠に左右されます。

六曜(友引)・日程調整:避ける慣習と現代の例外

「友引」を避ける慣習が残り、火葬場休業の自治体もあります。六曜の考え方は解説ページを参照ください:友引と葬儀の考え方

一日葬・同時進行:短時間化の設計ポイント

  • 通夜を省略して当日完結する形式では、焼香・弔辞・花入れの時間配分を事前に設計する(詳説:一日葬とは)。
  • 会食や繰上げ初七日の段取りをあらかじめ共有する。

告別式で行うこと:焼香・読経・花入れから出棺・火葬まで

告別式は、焼香・読経・喪主挨拶・弔辞・花入れを経て、出棺・火葬・収骨へと進みます。各要素の意味を押さえておくと、参列時に迷いません。

焼香・読経・喪主挨拶・弔辞・花入れ

  • 焼香:立礼・座礼・回し焼香のいずれか。焼香の所作は解説にまとめています:焼香のマナー
  • 読経:僧侶が読経し成仏を祈念。
  • 喪主挨拶:謝辞中心に簡潔に(構成の作り方は解説参照:喪主挨拶の基本)。
  • 弔辞:親しい関係者が故人を偲ぶ言葉を述べる。
  • 花入れ(お別れ花):棺に花を手向ける象徴的な場面。

出棺〜火葬:移動・待機・収骨の所要

花入れ後に棺を閉じて出棺します。火葬はおおむね60〜90分で、控室で待機し、終了後に収骨を行います。

会食と初七日(繰上げ法要)

  • 通夜後は通夜振る舞い、告別式後は精進落としを設けることが多い。
  • 初七日は当日に繰り上げて実施する運用が一般的。

通夜と告別式のどちらに出る?立場別の参列基準

原則として告別式は社会的お別れの場ですが、実務上は夕刻に営まれる通夜へ参列する人が多数です。香典の準備が必要な場合は、基礎ガイドをご確認ください:香典の基礎知識

原則と現在の実務

平日午前に行われることが多い告別式は都合がつきにくい場合があり、通夜参列が選ばれやすい傾向です。

立場別の判断基準

立場 参列の基本 補足
親族 通夜・告別式の両方 遺族を支える立場として両席が望ましい
友人・知人 通夜または告別式のいずれか 関係が深い場合は告別式を選ぶ
会社関係 通夜が中心 勤務時間外で都合がつきやすい

参列できない場合の代替手段

  • 弔電:葬儀前日着を目安に手配する。
  • 供花・供物:辞退の記載があれば控える。
  • 香典:現金書留または後日の弔問で。四十九日までを目安とする。

参列マナーの基本:服装・持ち物/受付作法/言葉遣い

場にふさわしい身支度と所作は、遺族への配慮を具体化する行動です。

服装・持ち物の要点(男女別)

  • 共通:黒準礼装・光沢のない素材/数珠・香典袋・黒系ハンカチ。数珠の詳細は解説をご覧ください:数珠の持ち方
  • 男性:黒スーツ・白無地シャツ・黒無地ネクタイ/黒靴下・黒靴。
  • 女性:黒のワンピースやスーツ/黒パンプス・黒ストッキング/アクセサリーは一連の真珠のみ。

受付〜着席の流れと振る舞い

  1. 芳名帳に記帳し、香典を両手で渡す。
  2. 短いお悔やみを述べ、静かに着席する。
  3. スマホは電源OFFまたはマナーモード、私語は控える。

挨拶・言葉遣い:短く丁寧に、忌み言葉を避ける

  • 推奨例:「このたびはご愁傷様でございます」「心よりお悔やみ申し上げます」。
  • 避ける語:忌み言葉(迷う・消える など)/重ね言葉(ますます・度々 など)。

焼香・数珠・香典の実務要点:その場で迷わないために

参列者が直接行う作法は、事前に要点だけ理解しておくと安心です。

焼香:形式の違いと所作の基本

  • 形式:立礼/座礼/回し焼香(会場の指示に従う)。
  • 所作:一礼→進む→抹香を少量つまむ→(宗派により押し戴く)→静かに香炉へ→合掌→一礼して退く。

数珠:持ち方・掛け方・置かない

  • 左手に掛け房を下に。焼香時も左手に掛けたまま。
  • 席・机に直置きは避け、移動時はバッグにしまう。

香典:相場・表書き・不祝儀袋・渡し方

  • 相場目安:友人5千〜1万円/親族1万〜5万円。
  • 表書き:仏式は四十九日まで「御霊前」、以降「御仏前」。汎用の「御香典」も用いられる。
  • 不祝儀袋:中袋に金額・住所・氏名(大字表記が無難)。
  • 渡し方:受付で両手で手渡し、短いお悔やみを添える。

費用とお布施の考え方:告別式単独ではなく葬儀全体で把握

費用は式場・祭壇・人件費・返礼・飲食に、僧侶へのお布施が加わる構造です。家族葬・直葬など形式差の概要は次の解説を参照ください:家族葬とは直葬(火葬式)とは

費用内訳の基本

  • 式場使用料/祭壇・装飾/人件費。
  • 会葬返礼品/通夜振る舞い・精進落としなどの飲食。

お布施の目安(宗派差に留意)

  • 読経料:3万〜10万円程度。
  • 戒名料:位によって幅が大きい(20万〜100万円超)。
  • 車代・御膳料:各5千〜1万円程度。

形式別の費用感と告別式の有無

形式 告別式 費用感の目安
家族葬 あり(小規模) 50万〜150万円
一日葬 あり(通夜省略) 30万〜100万円
直葬(火葬式) なし 15万〜30万円

喪主・遺族の準備:進行管理と挨拶の骨子を事前共有

喪主は全体の代表として、式次第・席次・弔辞・役割分担・会葬礼状を事前に固め、当日の時間管理を司会・葬儀社と連携して行います。挨拶文の構成例は次のページに整理しています:喪主挨拶の作り方

チェックリスト(抜粋)

  • 進行台本・式次第の共有。
  • 弔辞の依頼先・順番の確定。
  • 席次図・受付・会計・接待の役割決め。
  • 会葬礼状・返礼品の準備。

喪主挨拶の構成(例)

  1. 謝辞。
  2. 故人略歴(人柄・略歴を簡潔に)。
  3. 参列感謝。
  4. 結び。

当日の動線と時間管理

  • 開式前:入場・着席誘導の最終確認。
  • 焼香:列形成から誘導、戻りまでの流れ共有。
  • 出棺:花入れ→棺閉め→霊柩車の動線を確認。
  • 火葬・会食:移動時間、繰上げ初七日、精進落としの時刻を周知。

よくある質問

告別式は何時間くらいかかりますか?
一般的には式から出棺まで約60〜90分程度です。社葬や参列者の多い場合は2時間を超えることもあります。
友引の日でも告別式は行えますか?
友引は「友を引く」と連想されるため避けられることが多く、火葬場が休業となる地域もあります。ただし都市部では六曜を重視しないケースも増えています。
告別式だけに参列しても失礼になりませんか?
告別式は本来、故人と最後のお別れをする社会的な儀礼です。通夜に出席できない場合に告別式のみ参列するのは失礼にはあたりません。
香典の金額相場と表書きはどう選べばいいですか?
金額は友人・知人なら5千円〜1万円、親族なら1万円〜5万円程度が目安です。表書きは仏式で四十九日までは「御霊前」、それ以降は「御仏前」が一般的です。
喪主挨拶はどの程度の長さが適切ですか?
1〜2分程度が目安です。「謝辞→故人の略歴→参列への感謝→結び」の流れを意識すれば、簡潔で伝わりやすい挨拶になります。

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中川 貴之