葬儀における子供の服装を解説
葬儀に参列する子どもには、どのような服装が適切か悩む方も多いのではないでしょうか。
大人と同様に喪服を用意する必要があるのか、靴下や靴など小物のマナーはどうか——本記事では、子どもの葬儀服装について年齢別・季節別に詳しく解説し、服装選びのポイントや購入先まで紹介します。

葬儀における子どもの服装でおさえておきたい3つのポイント

子どもが葬儀に参列する場合、大人の男性・女性のように必ずしも喪服である必要はありません。
どのような服装を選べばよいのか、おさえておきたい3つのポイントを紹介します。
服装の色はモノトーンが基本
子どもが葬儀に参列する際は、黒・白・紺・グレーなどのモノトーンを基調とした落ち着いた色味の服を選びましょう。
葬儀の場では、子どもであっても大人と同様に、控えめでシンプルなフォーマルな装いが求められます。
子どもに喪服の着用は必須ではありませんが、派手な色や柄物、カジュアルすぎる普段着は避けるのがマナーです。
特に原色やキャラクター柄、スポーツウェアのような服装はふさわしくありません。
なお、黒や紺、グレーの服が手元になくても、清潔感のあるシンプルなデザインの服であれば失礼にはあたりません。
できるだけカジュアルに見えないよう、全体の印象を整えることが大切です。
制服がある場合は制服を着用する
学校や幼稚園に制服がある場合は、制服が最も適した服装とされます。
制服は子どもにとっての正装であり、葬儀の場にふさわしいフォーマルな装いとして認められています。
ただし、制服で参列する際も着崩しには注意が必要です。
たとえば、シャツの裾をズボンの外に出す、スカートを短くする、ネクタイやリボンの位置がずれているなどの着方は、だらしない印象を与えてしまいます。
- シャツの裾はきちんとズボンやスカートに入れる
- スカートは膝が隠れる程度の丈を意識する
- ボタンやネクタイ・リボンは正しい位置でしっかりと留める
身だしなみを整え、丁寧に制服を着ることが大切です。
子どもが快適に過ごせることを優先
葬儀は、着席して過ごす時間が長く、小さな子どもにとっては窮屈に感じやすい場でもあります。
大人以上に動きやすさや着心地の良さにも配慮しましょう。
普段と違うフォーマルな服装に慣れていないと、子どもが不快になって泣き出してしまうこともあります。
フォーマルさを保ちつつ、素材やサイズ感に無理のない服を選ぶことが、子ども自身にとっても周囲にとっても安心です。
子どもの服装で避けたほうがよいこと
葬儀は、故人を偲び、敬意を表する厳粛な場です。
大人ほど厳密な服装マナーは求められませんが、子どもであっても場にふさわしくない服装は避けるべきです。
特に以下のような服装は、葬儀の雰囲気を損なう恐れがあるため注意しましょう。
避けたほうがよいこと | 具体例 |
---|---|
明るすぎる色 | ・赤やピンクなどの明るい暖色系の色 ・黄色やオレンジなどの派手な色 ・華やかで目立つ蛍光色 など |
派手なデザイン | ・大きな柄が入ったもの ・派手な色合いの柄物 ・アニマル柄やキャラクターのデザイン など |
服の装飾 | ・大きなリボンやフリルのついた服 ・サテン生地やエナメル素材など光沢が目立つもの ・フェイクファーや毛皮素材のもの など |
明るすぎる色は避ける
葬儀は故人を静かに偲ぶ厳粛な場であり、明るすぎる色の服装はマナー違反とされています。
参列者が派手な服装で華やかさを演出することは、場の雰囲気にそぐわず、失礼にあたる場合があります。
子どもであっても例外ではありません。
蛍光色やビビッドな赤・ピンク・オレンジなどの服は、葬儀の厳かな空気を乱してしまうため避けましょう。
大人が黒の喪服を着用するように、子どもの服装も黒・白・紺・グレーといったモノトーン系でまとめるのが基本です。
派手な柄やデザインもNG
色味が控えめであっても、アニマル柄やキャラクター模様、カラフルなプリントなどはカジュアルな印象を与え、葬儀にはふさわしくありません。
選ぶ際は無地やシンプルな模様の服を意識しましょう。
ただし、学校指定の制服が明るめの色であっても、それは正装として認められているため、問題ありません。
制服の場合は「正しく着用すること」が大切です。
リボン・フリルなど過度な装飾に注意
大きなリボンやフリル、光沢のあるサテン素材やラメ入りの服は、慶事を連想させる華美な印象を与えるため、葬儀では避けるのが無難です。
とはいえ、大人と違って子どもにはある程度の柔軟さも許容されます。
控えめで上品なデザインであれば問題ありませんが、あくまで“落ち着いた印象”を基準に選びましょう。
また、フェイクファーや毛皮素材のアイテムは、たとえモノトーンであっても殺生を連想させるため、葬儀には不向きです。
【年齢別】子どもの葬儀の服装の選び方
子どもと一口に言っても、年齢や成長段階によって適した服装は異なります。
葬儀にふさわしい服装を選ぶ際には、「動きやすさ」「フォーマルさ」「年齢に応じたマナー」のバランスが重要です。
この章では、赤ちゃん・幼児・小学生・中高生・大学生といった年代ごとに、葬儀で着るべき服装のポイントをわかりやすく解説します。
赤ちゃんの服装の例(0〜3歳)
0〜3歳くらいの赤ちゃんであっても、葬儀に参列する際はモノトーンを基調としたシンプルな服装が望ましいとされています。
具体的には、白・黒・グレー・紺などの落ち着いた色合いが適しています。
手元に該当する服がない場合は、ベージュやアイボリーなどの中間色でも問題ありません。
ただし、赤ちゃんは着慣れない服装に違和感を覚え、機嫌を損ねてしまうこともあります。
見た目のフォーマルさだけでなく、着心地のよさやお世話のしやすさにも配慮して選びましょう。
また、自分で動き回れる月齢の子であれば、動きやすく着脱しやすい服装が適しています。
季節や会場の気温によって体温調整が必要になるため、羽織れるカーディガンや薄手の上着を用意しておくと安心です。
保育園児〜小学生の服装の例
幼稚園や小学校に通う年齢の子どもは、制服がある場合は制服を着用するのが基本です。制服は子どもにとっての正装として認識されており、葬儀の場にもふさわしい装いです。
制服がない場合は、以下のような服装がおすすめです。
男の子 |
・白またはダークカラーのシャツ ・黒、紺、グレーなどダークカラーのジャケット(ブレザー) ・黒、紺、グレーなどダークカラーのズボン |
---|---|
女の子 | ・ダークカラー系のシンプルなワンピース ・白の襟付きブラウスと黒や紺のスカート ・黒、紺、グレーなどダークカラーのカーディガン(ジャケット) ・髪飾りをつけるときは、装飾が目立たないシンプルなもの |
この年齢の子どもには、動きやすさ・着心地の良さも大切です。
窮屈な生地や硬い素材の服は避け、柔らかくてストレスの少ない素材を選ぶと、本人もリラックスして過ごしやすくなります。
服装だけでなく、靴や髪飾りなどの小物類にも配慮が必要です。
たとえば、靴の底が光るタイプやローラー付きの靴は、音や光で目立ってしまうため葬儀の場には不適切です。
また、ラメやパールなどのキラキラした装飾がついた髪飾りやカラフルなアクセサリーも、華美な印象を与えるため避けましょう。
小物も含めて、全体的に控えめで落ち着いたデザインで統一することが大切です。
中学生・高校生の服装の例
中学・高校生は制服がある場合が多いため、基本的には制服で参列します。
制服がない場合は、男女ともに上は白シャツに黒や濃紺などのジャケット、ブレザーを着て、下は黒や紺のスラックスやスカートを選びましょう。
制服についているリボンやネクタイが赤などの明るい色味であっても、制服の一部であるため葬儀で着用して問題ありません。
ただし、緩めたり着崩したりせず、正しく身につけましょう。
色味が華やかで目立つことが気になる場合は、外して参列しても問題ありません。
制服の場合も、靴下や髪飾りなどの小物はシンプルかつ落ち着いた色味で統一しましょう。
大学生の服装の例
大学生は成人として扱われるため、基本的に大人と同じ「準礼装」を選びます。
準礼装として選ぶべき服装の例は以下の通りです。
光沢のある生地のアイテムは華やかな印象に見えてしまうため、葬儀の場には適しません。
男性のネクタイや女性のパンプスなどは、光沢のない黒色のものを選びましょう
【季節別】夏・冬の子どもの葬儀服装マナー
葬儀は季節を問わず行われるため、気温や天候に合わせた服装選びも重要です。
ここでは「夏」と「冬」に分けて、それぞれの注意点やおすすめの服装を紹介します。
夏の服装ポイント
- 基本は半袖でもOK。ただし派手なプリントや明るい色は避ける。
- 白の半袖シャツ+黒ズボンや黒スカートなど、通気性の良いモノトーン服を選ぶ。
- 汗をかきやすいため、替えのインナーやハンカチも準備。
- 靴は黒のスニーカーでも可。ただし光るタイプはNG。
- 夏でも靴下は必要です。薄手の無地コットン素材がおすすめです。
冬の服装ポイント
- 外ではコート・中ではジャケットなどで防寒を。
- 黒・グレーの落ち着いたアウターやカーディガンがベスト。
- 厚手のタイツやヒートテックで体温調整。
- 雪や雨に備え、防水性のある黒い靴を選ぶと安心。
服装以外に気をつけるべきマナーと注意点

子どもが葬儀に参列する際は、服装だけでなく身だしなみや小物の選び方にも配慮が必要です。
トップスやボトムスがきちんとしていても、靴や髪型、小物が不適切だと全体の印象が崩れてしまうことがあります。
以下のポイントを参考に、細部まで丁寧に整えましょう。
気をつけるポイント | 具体的な注意点 |
---|---|
靴や靴下 |
・エナメル素材、デニム素材のカジュアルなもの ・キャラクター柄のもの ・過度なラメや大きなフリルのついたデザイン |
髪型などの身だしなみ |
・前髪は目にかからない長さにする ・長い髪は耳より低い位置の後ろでひとつにまとめる ・髪飾りは基本的に控える ・大学生以上でメイクをする場合は自然なメイクを心がける |
小物類 | ・数珠やハンカチは大人が管理する ・小物は控えめにする |
靴や靴下のマナー
葬儀では、目立たない落ち着いた靴を選ぶことが基本です。
高校生以上でローファーを持っている場合はそれを使用し、大学生でブラックフォーマルを着用する際は、光沢のない黒の革靴やパンプスを選びましょう。
中学生以下の場合、革靴やローファーがなければ黒や紺などの無地のスニーカーでも構いません。
ただし、靴の底が光ったり、キャラクターが入っていたりするデザインは避けましょう。
また、葬儀に素足で参列するのはマナー違反とされます。
必ず靴下やストッキングを着用し、黒・紺・白などの落ち着いた色味かつ無地の靴下を選ぶようにしてください。
髪型や身だしなみのマナー
葬儀においては、服装だけでなく髪型や全体の身だしなみも整えることが大切です。
とくに女の子の場合、髪の長さやまとめ方によって印象が大きく変わるため、注意が必要です。
葬儀では頭を下げる場面が多くあるため、長い髪は耳より低い位置で、後ろにひとつにまとめるのが基本です。
髪をまとめる際は、黒のゴムやピンなど、目立たないシンプルなものを使用しましょう。ラメ入りやリボン付きなどの華美な髪飾りは控えるのがマナーです。
また、メイクは基本的に高校生以下には不要です。
大学生であっても、あくまで葬儀という場にふさわしい「片化粧(かたげしょう)」を心がけましょう。
肌になじむベージュ系の色味で整え、ラメやツヤのある化粧品は避けて、落ち着いた印象に仕上げるのがポイントです。
小物類の扱い方
幼い子どもの場合は、バッグなどの小物は基本的に不要です。
数珠やハンカチを持たせる場合も、年齢によってはうまく扱えないことがあるため、保護者が管理するのが基本です。
小物類は遊び道具になってしまうこともあるため、必要最低限にとどめ、できるだけシンプルで目立たないものを選ぶようにしましょう。
葬儀で着用する子どもの服を購入できる場所
購入できる場所 | メリット | デメリット |
---|---|---|
フォーマルウェア専門店 | ・正式な喪服が購入できる ・失敗しない |
・安くはない ・近くに専門店があるとは |
子ども服店 | ・手頃な価格で購入できる ・サイズ展開が豊富 |
・近くに店舗があるとは限らない |
ブランド服店 | ・多岐に使えるフォーマルウェアを購入できる | ・安くはない |
オンラインショップ | ・近くにお店がなくても購入できる ・商品数が多い |
・実物が見られない ・試着できない |
子ども服店・オンラインショップ
価格を抑えながら、ある程度きちんとした服装を揃えたい場合は、一般の子ども服店がおすすめです。
また、オンラインショップを利用すれば、近くに店舗がなくても手軽に購入できます。
ただし、急な葬儀には間に合わない可能性があることや、試着ができずサイズ感が合わないといったリスクも考慮しておきましょう。
フォーマルウェア専門店・ブランド服店
百貨店やフォーマルウェア専門店では、喪服として正式に使えるブラックフォーマルが揃っています。一着あれば、小物を変えて慶事にも活用できます。
ただし、価格はやや高めで、子どもの成長により長く着られない可能性がある点には注意が必要です。
レンタルサービス
成長が早い子どもには、レンタルも現実的な選択肢です。
特に冠婚葬祭への出席が少ない年齢の場合、購入よりもコストパフォーマンスに優れていることもあります。
最近はネットで簡単に申し込めるレンタルサービスも多く、喪服一式を短期間で用意できる利便性があります。
子どもを葬儀に連れて行く際に気をつけること

子どもを連れて葬儀に参列する際は、周囲への配慮や事前準備が欠かせません。
以下のポイントを押さえておくことで、保護者自身も安心して参列しやすくなります。
小学生以下の場合は事前に連絡を
未就学児や小学生までの子どもを同伴する場合は、事前に葬儀の主催者(喪主や遺族)へ連絡を入れておくことが望ましいです。
年齢によっては騒いでしまうこともあるため、了承を得たうえで参加するようにしましょう。
故人との関係がそれほど深くない場合は、無理に同伴せず、信頼できる家族や保育サービスに預けて保護者のみ参列するという判断も選択肢のひとつです。
また、乳幼児を連れて参列する場合には、事前連絡の際におむつ替えスペースや授乳室の有無を確認しておくと安心です。
出入り口付近の席を選ぶ
赤ちゃんや小さな子どもは、途中で泣いてしまったり飽きて騒ぎ出したりすることがあります。
万が一に備えて、すぐに外へ出られるよう、出入り口に近い席を選ぶのがおすすめです。
周囲への迷惑を最小限にとどめ、保護者自身も精神的に余裕を持って参列できます。
飽きさせない工夫を用意する
葬儀はどうしても長時間になりがちで、子どもが静かに過ごすのは難しいこともあります。
とくに幼児期の子どもは、大人のように「喪に服す」という行為が理解できない場合がほとんどです。
そのため、静かにできる工夫として、お気に入りの絵本や静かな音の出ないおもちゃをバッグにしのばせておくと安心です。
ご焼香中のサポートを確保しておく
保護者がご焼香をする間、子どもを一時的に預けられる人を事前に見つけておくとスムーズです。
夫婦で参列する場合は交代制で、単身で参列する場合は親族や友人にあらかじめお願いしておくと安心です。
もし身内に頼れる人がいない場合は、葬儀場のスタッフに相談すれば、一時的にサポートしてもらえることもあります。
子どもが葬儀に参列するときはモノトーンのシンプルな服装で
葬儀に参列する子どもの服装は、喪服である必要はありません。
ただし、葬儀は故人をお見送りする厳粛な場であるため、子どもの服装もモノトーンを基調に、柄のないシンプルな服装で統一しましょう。
大人ほど服装に気を遣う必要はありませんが、葬儀の場にふさわしい上品なスタイルを心がけることが求められます。
お葬式のむすびすは、『その人らしいお葬式』にこだわり、故人様とご遺族様のためのお葬式をお手伝いいたします。
事前のご相談をはじめ、お急ぎの方へのご対応もすべて自社社員が承ります。郵送またはオンラインで資料請求していただけますので、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
- 宗教や宗派によって服装のマナーが違う場合はある?
-
基本的にはモノトーンの服装を着用すれば問題ありません。
宗教や宗派によって細かい違いはあるものの、基本的にはモノトーンや落ち着いた色、かつ無地のシンプルな服装で参列すれば問題ありません。
中学・高校生は宗教や宗派に関係なく、基本的に制服を着用して参列します。 - お通夜に参列するときは、どんな服装がよい?
-
お通夜で着る服装も、基本的に葬儀で着用する服装と同じで問題ありません。
子どもと一緒にお通夜に参列する際も、「【年齢別】子どもの葬儀の服装の選び方 」で紹介したポイントを基準に服装を選びましょう。
学校指定の制服がある場合は制服を正しく着用します。制服がない場合は、全体をモノトーンでシンプルにまとめましょう。 - 子どもは何歳くらいから葬儀に参列させてよい?
-
子どもの年齢に制限はありません。
葬儀の参列者に年齢制限はありません。
子どもを葬儀に参列させるかどうかは、故人との関係性を基準に保護者が判断しましょう。
子どもから見て、故人が祖父母や叔母・叔父といった近しい関係であれば参列させるケースが多いようです。
ただし、葬儀会場が遠方の場合や、まだ幼い赤ちゃんであれば、子どもの体力やストレスを考慮して、参列を控えることも選択肢の一つです。

この記事の監修者
むすびす株式会社 代表取締役社長兼CEO 中川 貴之
大学卒業後、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズの立ち上げに参画。2002年10月葬儀業界へ転進を図り、株式会社アーバンフューネスコーポレーション(現むすびす株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。明海大学非常勤講師。講演・メディア出演多数。書籍出版