Funeral Episode

どんなに離れていても ご葬儀事例

  • ご葬儀の形式
    一日葬
  • 参列者数
    ご親族 30名
  • 斎場
  • 式の費用
    150〜200万円
  • 宗教
    仏教
  • オプション
    • 花祭壇
    • メモリアルスクリーン祭壇
    • 思い出コーナー
    • 料理
    • メイク・湯かん
    • 骨壷
    • 棺
    • 安置施設
お葬式の様子

人生のすべてをそばで見てきたわけではなくても、 故人様が生涯を通して大切にしてこられたものが、向き合う中で少しずつ見えてくることがあります。 晩年に関係を深めてきた叔父と姪。 突然の別れを前に、「自分にできることは何か」「いちばん故人様らしい送り方は何か」と考え続けた先で、ひとつの答えにたどり着きました。 それは、故人様が生涯愛し続けた故郷へ帰してあげること。 どんなに離れていても、思い出や絆は消えないと信じて選ばれた、静かで誠実なお別れのかたちです。

距離を越えて、少しずつ近づいていった関係

故人様にはお子様がおらず、奥様も十年ほど前に他界されていました。
その後、鴻巣のご自宅でおひとりの生活を続けてこられましたが、ひとり身になってから少しずつ、喪主様との関わりが増えていきます。
喪主様は、故人様の姪にあたる方です。
幼い頃は、親族の集まりや季節の行事で顔を合わせることはあったものの、特別に長い時間を共に過ごした記憶があるわけではありませんでした。
しかし、奥様を亡くされてからは、比較的近くに住んでいた喪主様が、折に触れて連絡を取るようになります。
用事がなくても声をかけ合い、体調を気にかける。
距離はあっても、自然と気持ちが向き合う関係へと変わっていきました。
やがてそのつながりは、喪主様のご姉妹や故人様のご近所の方々にも広がり、近年では一緒に旅行へ出かけることもあったそうです。
遺影に選ばれたのは、その旅先で撮影された一枚でした。
血縁の近さではなく、
晩年に重ねてきた時間と気遣いの積み重ね。
そうした関係の延長として、喪主様は自然な流れで、故人様のお見送りを考える立場となっていきました。

一番大切にしていた場所へ、帰してあげるという選択

故人様が何度も足を運び、離れてからも変わらず想いを寄せていた場所がありました。
生まれ育った和歌山・太地。そこは、暮らしの拠点が移ってからも、折に触れて帰り続けてきた土地でした。
ご自宅には、太地の海を写した風景写真が飾られていました。
年に何度も帰省し、地元に暮らすご親族やご友人と再会する時間を大切にしていた故人様。
遠く離れていても、その土地とのつながりが途切れることはなかったのだと、ご家族様は振り返ります。
晩年、交流を深めていく中で、喪主様が何度も耳にしたのも、和歌山での思い出や、故郷の話でした。
だからこそ、「自分に何ができるだろうか」と考えたとき、自然と浮かんだのが、
一番大切にしていた場所へ帰してあげることでした。
距離が離れることで、これまでのように気軽に手を合わせることはできなくなるかもしれない。
それでも、故人様が大切にしてきた想いを尊重し、その歩みを見送ることこそが、
喪主様にとっての「いちばん故人様らしい送り方」だったのです。

心は、故郷へ向かっていた

葬儀では、故人様が生涯大切にしてこられた故郷・和歌山を想いながら送り出す時間が設けられました。式場には、故人様ご自身が撮影された和歌山の海の風景を背景として飾り、その周囲には、ご親族や今は亡き奥様との思い出の写真が並べられました。参列された方々が自然と足を止め、写真を前に「この景色が好きだったんだね」「よく帰っていたよね」と言葉を交わす姿が見られました。
納骨先が和歌山となるため、これからは物理的にも簡単には会えなくなってしまいます。それでもこの葬儀の時間を通して、故人様が心を向け続けてきた場所を皆で共有し、気持ちに区切りをつけながら送り出すことができました。距離が生まれることを分かったうえで、今ここでしっかりと見送り、記憶と想いを結び直す。そのための大切な時間となったのです。
これから先、頻繁に会うことはできなくなるかもしれません。しかし、この場で語り合い、分かち合った思い出があれば、どんなに離れていても、故人様との絆が薄れることはありません。和歌山へと向かわれるその旅立ちを、皆で同じ方向を見つめながら見送るお別れとなりました。

内容とお写真は、ご家族・会社様のご了承を得て掲載させていただいております。

葬祭プランナー 小山 光弘の写真

この事例の担当葬祭プランナーより一言

小山 光弘

お打ち合わせの中で、喪主様が何度も口にされていたのは、「この人が一番大切にしていた場所に、きちんと帰してあげたい」という言葉でした。
喪主様は、故人様の人生すべてを知っていたわけではありません。それでも、晩年を共に過ごし、言葉を交わし、時間を重ねる中で、「和歌山への想い」だけは迷いなく伝わってきたとお話しくださいました。
葬儀の最後、喪主様は参列された方々に向けて、「和歌山の太地へ、魂は向かいます」と静かに言葉を添えられました。その一言に、このお見送りの意味がすべて込められていたように感じます。
距離が生まれることを分かったうえで、それでも一番故人様らしい選択をする。その覚悟が、この葬儀の空間と時間をつくり上げていました。
このお別れは、離れるための時間ではなく、これからも続いていく絆を、あらためて結び直すための時間だったのだと思います。故人様が大切にしてきた場所へ想いを託し、それぞれの場所から、これからも故人様を想い続けていける。そんなお見送りに立ち会わせていただきました。

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