Funeral Episode

ありがとう~そして、またいつか! ご葬儀事例

  • ご葬儀の形式
    一般葬
  • 参列者数
    ご親族 15名/ご会葬者 50名
  • 斎場
  • 式の費用
    200万円以上〜
  • 宗教
    仏教
  • オプション
    • 花祭壇
    • メモリアルスクリーン祭壇
    • 思い出コーナー
    • 映像制作
    • メイク・湯かん
    • 棺
    • 返礼品
    • 安置施設
お葬式の様子

いつもの朝と同じようにご家族を見送り、午後には大好きなテニスへ向かったお母さん。その日常の延長線上で訪れた、あまりにも突然の別れでした。動揺と不安の中、それでも「母のために、そして父のために」と心を奮い立たせたご家族様。思い出の景色や趣味、好物をひとつずつ形にしながら、感謝と「いつかまた」の約束を込めて送り出したお別れの時間でした。

夫婦として紡いできた、温かな時間

奥様とご主人様は、同じふるさとで育ち、高校生の頃に友人を通じて出会いました。通う学校は違っていてもすぐに意気投合し、ほどなくお付き合いが始まります。その後、ご主人様は厳しい訓練のある仕事に就き、外部との連絡を断たれる期間もあったため、一時的に関係が途切れてしまいました。しかし、奥様が帰省した際にご主人様の勤め先を訪ね、連絡をとったことから再会が叶い、そこから改めて歩みを重ねていきました。やがて結婚し、二人の娘様に恵まれ、四人の家族としての暮らしが始まりました。
ご夫婦は共通の趣味としてゴルフを楽しみ、子育てが一段落すると、奥様が以前から興味を持っていたテニスへと新しい趣味を広げていきます。奥様の誘いを受け、ご主人様もテニススクールに入り、一から練習を重ねることで腕を上げ、今ではテニスサークルの中心として多くの仲間に囲まれながらコートに立つほどになりました。ご夫婦にとって、共に過ごす時間がそのまま人生の彩りになっていったのだと感じられます。
旅行もお好きで、ご夫婦で国内のさまざまな場所を訪れ、海外旅行はお母様とご長女様・ご次女様の三人で楽しむこともありました。ご主人様の健康を気遣い、毎日の食事や生活を整え続けてこられたのもお母様でした。
ご家族様は「今こうして元気に過ごせているのは、お母様のおかげです」と温かく振り返っていらっしゃいました。

母らしく、明るい色で送りたい

突然の別れを前に、お父様は気持ちの整理がつかず、落ち着かない様子や感情の揺れが続いていました。それでも、奥様のことをお話しになるときには、懐かしい思い出がよみがえるように表情が和らぎ、共に過ごしてこられた時間を穏やかに振り返ってくださいました。
打ち合わせの中心となったのは、ご長女様とご次女様でした。悲しみの中でも「母のために」「父を支えるために」と思いを奮い立たせ、「母らしく送りたい」「母が喜ぶ形にしたい」と何度も話し合いを重ねながら、葬儀の形を整えていかれました。
打ち合わせのたびに「お母さんなら、きっとこっちを選ぶよね」と語り合う姿に、お母様への深い愛情が感じられました。
式場の正面には、お母様が毎年楽しみにされていた花の風景をメモリアルスクリーンいっぱいに映し、場内にはテニスラケットやボール、練習で愛用されていたウェアを飾りました。白黒で厳かなだけの式ではなく、色彩があり、趣味や日常の気配がそのまま息づく空間にすること。それが、ご家族様が望まれた「母らしさ」の表現でした。

ラベンダーの花束に込めた、再会の約束

テニス仲間の皆様も多く参列され、
「明るくて、優しい人だったね」「一緒にテニスができて幸せだったよ」
と、お母様を偲ぶ声が会場のあちこちから聞こえていました。通夜式では、メモリアル映像が流れるたびに思い出の場面で笑いが起こり、まるでお母様が微笑みながらそこにいるかのような、温かな時間が流れました。
お別れの時間になると、ご家族様はお母様がお好きだったハイボールを献酒し、好物だったすき焼き、そして愛用されていた衣類や帽子をそっとお柩へお手向けしました。ご次女様は涙をこらえながら「産んでくれてありがとう。育ててくれてありがとう」とお母さんへのまっすぐな思いを言葉にされ、ご家族様お一人ずつが自分の言葉でお母様との時間に静かに区切りをつけていきました。
蓋を閉じたあと、喪主であるお父様のためにご用意したのが、ラベンダーを添えた出棺用の花束です。お父様と奥様は「いつか北海道のラベンダー畑に行こうね」と話し合っていたと伺いました。叶わなかったその願いを、せめて形にして差し上げたく、ラベンダーの花言葉「あなたを待っています」を添えて、「いつか天国で再会するその日まで、奥様に胸を張って報告できるように、どうかこれからの人生をしっかり生きていってください」という想いをお伝えしました。
お父様は静かにうなずき、その花束をお柩の上へゆっくりと手向けられました。悲しみだけではなく、感謝と約束、そして「またいつか」という温かな願いが静かに満ちるお別れの時間となりました。

内容とお写真は、ご家族・会社様のご了承を得て掲載させていただいております。

葬祭プランナー 高野 孝徳の写真

この事例の担当葬祭プランナーより一言

高野 孝徳

打ち合わせの際、お父様はまだ突然の別れを受け止めきれず、感情の波が続いていらっしゃいました。しかし、奥様のことをお話しになるときには表情が和らぎ、懐かしいエピソードを丁寧に語ってくださった姿が印象に残っています。その隣では、ご長女様とご次女様が涙を拭いながらもお父様を支え、「母らしく送りたい」という思いを胸に、細やかに内容を検討していらっしゃいました。 ご葬儀後、ご家族様からは 「母らしい、明るい式になりました」 「自分たちの希望をきちんと受け止めて、一緒に形にしてくれたことが嬉しかったです」 と温かいお言葉を頂戴しました。 また、しばらく食事も喉を通らず、眠れない日が続いていたお父様が「最近ようやくご飯が食べられるようになりました」とお話しくださったことも、奥様から受け取った愛情が、ご家族様が前へ進むための力になっているのだと感じる瞬間でした。 ラベンダーの花束は、お父様と奥様が「いつか一緒に見に行こう」と話していらした思い出を伺い、何か形にして差し上げたいと考えてご提案したものでした。「そんなこと考えもしませんでした。とても嬉しかったです」とのお言葉をいただき、このお見送りの時間が、ご家族様それぞれのこれからの心の支えとなるのだと感じております。 奥様から受け取った温かな想いが、ご家族様のこれからの歩みの力となり、日常に少しずつ穏やかさが戻っていくことを、心より願っております。 しばらく食事も睡眠もままならなかったお父が、「最近やっとご飯が食べられるようになりました」と話してくださったことも、お母様から受け取った愛情が、ご家族が前に進む力になっていると感じる瞬間でした。 ラベンダーの花束は、夫婦の「いつか行こう」という会話から生まれた小さな提案でしたが、「そんなこと考えもしませんでした。とても嬉しかったです」と言っていただき、このお見送りが、ご家族のこれからを支える時間になったのだと感じました。 これからも、お母さんから受け取った温かな想いを胸に、それぞれの場所で穏やかな日常を取り戻していかれることを心から願っております。

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