新型コロナウイルス感染者が世界全体で240万人に迫り、死者も16万人を超えています(4月20日現在)。日本政府も「緊急事態宣言」を全都道府県に拡大しています。

けれど、マスコミの多くは感染者と死亡者を数字やグラフで表示するだけで、現実の感染者はどのように発症し、重症化に至るまでにどのような症状の変化があるのか。医療機関・保健所の感染者への対応、さらに入院までの経緯や治療について、詳しく紹介することは稀のようです。

終活メディアでは、新型コロナウイルスに感染していることが判明して入院、その後、完治して退院した都内に住む40代の男性に単独取材をお願いしました。

男性は39度以上の高熱が1週間以上続いても、保健所からもPCR検査を受ける許可が下りず、肺炎による呼吸困難の状態で総合病院に救急搬送。そこに至るまでの詳しい経緯を、貴重な体験談とともに話して下さいました。

新型コロナウイルス感染症の予防に努めている方、自身の体調の変化が気になっている方へ、少しでも参考になればと思います。

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新型コロナウイルス感染の初期症状から、PCR検査までの険しい道のり

新型コロナウイルスに感染すると、どうなるのか?

都内に住む40代の男性Aさんは、39度以上の高熱が1週間以上続いても、保健所からもPCR検査を受ける許可が下りず、肺炎による呼吸困難の状態で総合病院に救急搬送。そこに至るまでの経緯を話してくれました。

初期症状(感染0日目~9日目)

・感染0日目

2020年東京オリンピック競技大会の延期が発表される以前、Aさんは公私ともに超多忙な毎日を送っていました。
徹夜も含めて、かなりのハードスケジュールをこなしていたと言います。

・感染1日目

この日、朝起きると体調が悪いことに気づいたAさんでしたが、めちゃくちゃな生活をすると、その反動で体調を崩して風邪をひいたりするので、今度もそんな感じかなと思ったそうです。

・感染2日目

翌日になっても37度4分の微熱と、体のだるさが続いていたAさんは、近所のかかりつけ医院に向かいました。
診察した医師は溶連菌感染症(喉の痛みや発熱などの症状が出る感染症)と診断。

溶連菌感染症は基本的に子供しか発症しない感染症ですが、Aさんは体調を崩して免疫が下がったりすると時折、発病していたそうです。
Aさんも医師もいつものことだと思い、その日はクスリを処方されて帰宅。
けれど、いつもの溶連菌の症状は40度近い高熱を伴うものでしたが、今回は熱があまり高くならないのが少し不思議に思えたそうです。

・感染3~8日目

体調を回復させようと、この週は自宅で静かに過しました。
ただ、好物のラーメンを食べても味がしないことが奇妙でした。
丁度この時期は花粉の飛散量が多く、花粉症であるAさんの症状もひどかったので、味がしないのも花粉症による鼻づまりのせいだと思ったそうです。

・感染9日目

この日は、溶連菌感染症が治っているか診てもらうために、かかりつけ医院に予約を入れていました。
Aさんが電話をすると、医師から「症状はどうですか?」と尋ねられました。
Aさんが「まだリンパが腫れている感じがする」と答えると、「それは、もしかすとるコロナかも知れないですね。ウチではもう診れないので、1回保健所をとおして下さい」と、一方的に来院を断られてしまいます。

しかし、保健所に電話しても、なかなか電話は繋がらず、やっと繋がっても「熱が4日間続かないと基本的に検査の対象外です」と言われてしまいました。
自分でも新型コロナウイルスの感染を疑いはじめたAさんでしたが、この時は、検査して欲しい人を全員受入れていたら医療崩壊してしまうから仕方ないのかも、と考えたそうです。

症状悪化(感染10日目~13日目)

・感染10日目

Aさんの発熱は見るみるうちに悪化。昼に38度だった体温は、夜には39度を超えてしまいました。けれど、熱はあっても食用は旺盛で、不思議なことに発熱してから味覚も戻ってきたそうです。この頃になると咳も出はじめ、こめかみ辺りに頭痛を感じるようになりました。

・感染11日目

翌日になっても熱が引かなかったAさんは、以前に行ったことのあるクリニックに連絡すると来院を許されます。
クリニックの医師からは、「今、こういう熱がある状態は、多分コロナかインフルエンザのどっちかだと思う」と告げられました。
Aさんが「PCR検査はしてもらえるのか」と聞くと、ウチではいきなりは無理だと言われたものの「取りあえずインフルエンザの検査はしましょう」ということになりました。
ところが、検査結果は微妙なものでした。
医師は「反応が出ましたね」と言うのですが、Aさんの目からはインフルエンザの反応の「印」が薄すぎて視認できないレベルだったのです。

Aさんは、胸部レントゲン写真を希望しましたが、医師はインフルエンザの反応が出たのでレントゲンは必要ないと判断し、インフルエンザのクスリと解熱剤を処方されて帰されました。
この時、医師の話によれば「インフルエンザとコロナウイルスは共存できない」との事でしたが、話の真偽は不明です。

・感染12日目

インフルエンザのクスリと解熱剤を飲んでも、Aさんの高熱は下がる気配がありません。

それどころか、頭痛と咳の症状は激しくなるばかりで、一度咳が出はじめると止まらない状態がしばらく続き、やがて治まるという症状を繰り返すようになりました。
Aさんの場合、関節や体の痛みなどの症状はなかったそうです。

・感染13日目

クリニックに熱がまったく下がらないことを訴えたAさんでしたが、医師からは「2、3日かかる場合もあるので、明日までに下がらないようであれば、もう一度連絡下さい」と言われました。

救急搬送(感染14日目~15日目)

・感染14日目

翌日になっても熱は相変わらず39度~40度という状態で、医師から処方された解熱剤も、まったく効果はありません。

さすがに耐えきれなくなったAさんは、クリニックに「取りあえず解熱剤だけでも欲しい」と懇願します。
ところが、医師から「もうウチでは診られないので保健所に連絡して下さい」と素気なく断れてしまいました。
食事はまったく食べられず、連日連夜の高熱と疲労により、Aさんの体力は急速に衰えていきました。

この日の深夜、頭が割れるような頭痛と、激しい悪寒に耐えられなくなったAさんは、地域の指定医療センターの救急外来へ徒歩で向かった。
しかし、頼みの綱の医療センターは「現在、救急外来での全ての診療を見合わせております」と電光掲示板に案内が出ている状態。

この時のショックは、今でもAさんの脳裏に強烈に残っているそうです。
Aさんはフラフラになりながら、もと来た道を徒歩で自宅まで戻ったそうです。

・感染15日目

朝、保健所に電話をかけるも繋がらず、高熱と疲労により根気よく電話をかけ続けることもままならない状態。
おまけに、やっと繋がった保健所の電話も「高熱は出ていても、呼吸困難の症状はないのでPCR検査は対象外です。
そのまま自宅に居て下さい」と告げられる始末。
Aさんは困り果ててしまいます。

夕方、体温は39度9分。
いよいよ命の危険を感じたAさんは、知り合いの医師に電話をかけて状況を説明します。
医師から「救急車を呼ぶべきだ」とアドバイスされたAさんは、救急車を要請しました。

ほどなく救急車がAさんの自宅に到着。
ストレッチャーに乗せられてエコーやバイタル、動脈血酸素飽和度(SpO2)の測定が始まりました。
すると、AさんのSpO2値は90%未満(正常値は96%~98%)で呼吸不全であることが判明。
すぐに酸素マスクを装着されました。
Aさんは自分でも気づかないうちに肺炎になっていたのです。

駆けつけてくれた救急隊員3名が、周辺の病院に片っ端から受け入れ要請の電話をかけますが、100件近くの病院から受け入れを断られてしまいます。
これは大げさな話ではないそうです。

救急車到着から3時間近く、すでに酸素ボンベの容量は切れかかっていました。
そこでAさんは、「入院は出来なくても構わないから、PCR検査だけでもしてもらえる病院を探してもらえないだろうか? 新型コロナウイルスに感染しているか否かだけでも知りたい。
それが判れば自宅で待機するから」と救急隊員に伝えました。

それが判明しないと、周囲の人たちに迷惑をかけてしまうので、検査が済んだら自宅に帰ることを約束しました。
するとPCR検査を受入れてくれる都内の総合病院が見つかります。

午後8時過ぎ、受け入れ先の総合病院に搬送されたAさんは、胸部レントゲン撮影、CT検査を受けて、この日は時間が遅かったこともあり、PCR検査は翌日に行われることになりました。
自宅に戻るつもりだったAさんは、幸いなことに総合病院に入院することになり、解熱剤と点滴による治療も行われました。
この日の夜は、隔離された6人部屋に1人で寝たそうです。

新型コロナウイルス感染の治療について。退院までの日々

PCR検査(感染16日目~17日目)

・感染16日目

昼にPCR検査を受けたAさん。
主治医からは「検査結果は明後日だけど、ほぼコロナで間違いないでしょう」と診断されました。

残念な診断でしたが、はっきり言ってくれる主治医に対して、Aさんは頼もしく感じたそうです。
検査結果はまだ出ないため、ほかの感染症の疑いも拭いきれないということで、点滴などのさまざまな対処療法も行われました。

この日もAさんは総合病院を追い出されることなく入院は継続。
その甲斐あって、徐々に体調は回復していきました。

・感染17日目

PCR検査の結果は出ないものの、熱は上がり下がりを繰り返しながら、着実に下がっていきました。

回復(感染18日目~21日目)

・感染18日目

熱は37度以下の平熱に。体調良好。
この日、新型コロナウイルス「陽性」との結果出ました。
熱が下がるにしたがって咳の症状は出なくなり、あれほど激しかった頭痛も治まりました。

・感染19日目

4人部屋に移動。
患者全員が新型コロナウイルス感染者です。

・感染20日目

点滴終了。

・感染21日目

体調良好。
2回のPCR検査が「陰性」ならば退院できると伝えられました。
主治医曰く、PCR検査は不安定なので、2回「陰性」が出る必要があるとのことで、1回「陰性」が出ても確定できないそうです。

感染者の中には、あきらかに新型コロナウイルスの症状が出ているのにもかかわらず「陰性」の結果が出る場合もあるということでした。
Aさんが入院した総合病院では、徹底的なPCR検査を行っているとのことです。

陰性確定(感染22日目~23日目)

・感染22日目

PCR検査で2回目の「陰性」が確定。
退院待ちの患者が入院している大部屋に移動。

・感染23日目

朝から胸部レントゲンとCT検査。
主治医から、まだ肺炎の陰が残っているので、根治するまでは酒とタバコの禁止を告げられました。
15時に退院。

新型コロナウイルス感染の医療費と、発症前の体調変化を振り返る

     
気になる医療費については、新型コロナウイルスは結核やコレラ、鳥インフルエンザなどに準じた「指定感染症」です。
医療費は自己負担を軽減する制度のある都道府県もあり、東京都の場合は最大2万円の一部自己負担を除く金額が公費負担になります。
都内在住のAさんが今回の入院で支払った医療費は、2万円以下とのことでした。

新型コロナウイルスに感染して、Aさんが最も不安だったことについて質問すると、「まだ本格的に発症する以前、家族と親戚が集まって行われた法要で、高齢の母親や親戚に感染させてしまっていたら一生後悔するし、立ち直れないと思う。
入院中はそればかり心配していましたが、お陰様で母親も親戚も体調を崩すものが一人も出なかったことが、本当に良かったと思います」と話してくれました。

最後に、この記事を読んでいる皆様に伝えたいことをお伺いすると、「新型コロナウイルスの怖いところは、人に感染して無症状の人もいれば、高齢者が感染すると、すぐに重篤な症状になってしまうのが恐ろしい」と語り、続けて「これはあくまで自分の経験ですが、味覚を感じなくなったら本当に注意してもらいたいです。高熱が出ていなくても、鼻が多少つまっていても、味がしなくなったら要注意です。私は焼肉の「レバ」が苦手で普段は食べられないのですが、味を感じなくなっていたときは、「レバ」の味をまったく感じませんでした。また、好物のラーメンの味もわからなくなりました。取り越し苦労になるかも知れませんが、気をつけて下さい」と教えて頂きました。

現在、Aさんは体調が回復するまで自宅で安静に過しています。
今月中に肺炎の経過観察のために入院していた総合病院を受診する予定だと伺いました。
肺炎によってダメージを受けた肺の機能が完全に回復するまでには、しばらく時間がかかりそうです。

Aさんの感染体験が、皆様の新型コロナウイルス感染症対策の一助となれば幸いです。

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