近ごろメディアでよく取り沙汰されるゴミ屋敷のニュース。その大きな原因とされているのが、増加の一途をたどる「空き家問題」です。
その多くは人口減少が進む地方の話だと思われがちですが、実はこの問題、東京をはじめとした都市部の方が深刻化しているとも言われています。
放置された空き家が廃墟化することで、景観の悪化、倒壊のリスク、衛生上の問題など近隣にさまざまな悪影響を及ぼすことが、行政をも動かす社会問題になっています。
今回は都会の空き家問題を中心に、終活を始めるうえで知っておきたい空き家の相続対策と活用方法についてご紹介します。
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都道府県別に見る空き家の状況
空き家とは、一般的に「誰も居住していない住宅」のことをいいます。
総務省が発表した「平成30年住宅・土地統計調査」によると、居住世帯のない住宅のうち空き家は848万9千戸と、平成25年と比べて29万3千戸(3.6%)増加しており過去最高となりました。
空き家が少ないと思われている「大都市圏 市部」においても、空き家の軒数は増加の一途をたどっており、賃貸用の住宅を含めた都道府県別の空き家件数の多い都道府県は以下のとおり、大都市圏が上位にくる結果となりました。
- 1位 東京都
- 2位 大阪府
- 3位 神奈川県
- 4位 愛知県
- 5位 千葉県
※6位以下は北海道、埼玉県、兵庫県、福岡県が続きます。
東京都内23区内を例にすると、空き家数が多い1位は、高級住宅街のイメージが強い世田谷区の5.0万戸。続いて大田区の4.8万戸、足立区(4.0万戸)となっています。
東京都をはじめとする「大都市圏 市部」の空き家になった理由はと言うと、「別の住宅へ転居」が41.9%と最も多く、次いで「死亡」が40.1%、「老人ホ-ム等の施設に入居」が5.9%、「転勤、入院などにより長期不在」が3.5%となり、空き家が増えている要因は、持ち家に住む高齢者が子供宅や老人ホームに転居したり、最後に居住していた人が亡くなることで発生することがわかります。
都市部ならではの空き家所有の問題点と悩み
総務省の「平成30年住宅土地・統計調査」によれば、東京都の空き家総数は、81万戸。 そのうち活用可能と想定される「腐朽・破損なし」の空き家数は約69万戸で賃貸用の住宅が多く、「腐朽・破損あり」の空き家数は約12万戸もあり、東京都の空き家総戸数の約15%を占めています。また、このうち長期不在等のものは約4万戸あることがわかりました。
相続においての問題点
では、空き家問題とは無縁に思える「大都市圏 市部」で、多くの空き家が放置されているのはなぜでしょう。 その二大要因といわれるのが、以下の理由と考えられます。
- 土地価格が高く、相続税が高額になる
- 土地の利用について規制が厳しい
親や住んでいた土地・家屋を相続する場合、一定の要件を満たすことで「小規模宅地等の特例」が適用されて、330㎡(約100坪)までの部分の相続税評価額を80%減額できます。 ただし、亡くなった親が空き家として所有していた家屋は、小規模宅地等の特例が適用されないので、親が居住していた家屋を相続する場合に比べて相続税は割高になります。 さらに、家屋を解体して更地にすると、住宅用地の固定資産税を減額する地方税法の「特例対象」から外されて税制上の優遇が受けられなくなるため、これも空き家が放置される一因になっているようです。 「東京都区部」は以下のように土地の利用についての規制が厳しいことも、空き家数が増えることに拍車をかけています。
- 空き家数1位の世田谷区は、敷地の無秩序な細分化を防止するために、建築物を建てる際に最低限必要とされる敷地の面積に制限が定められています。世田谷区内の一部地域では、130㎡(40坪)の土地を相続しても2分割することはできません。
- 空き家数2位の大田区は敷地面積の最低限の制度は定められていませんが、田園調布などは地区計画で最低限度が165㎡(50坪)と定められており、314㎡(95坪)以下の土地は2分割できません。
「東京都区部(23区)」では新築住宅の人気が高く、中古住宅の価値が低く評価されがちであるのに反して、土地価格は高く相続税は多額になります。家屋を解体して更地にすると税制上の優遇は受けられなくなります。さらに、土地の利用についての厳しい規制があることなどから、人口減少が進む地方とは違った要因で空き家問題が発生しています。 建て壊すにも多くのお金がかかる、土地にしても分割で売れず、所持し続けても税金を多くとられてしまうので空き家のままにしている。このような事情が空き家相続においての悩みとなっています。
防犯や景観、管理においての問題点
親が元気に暮らしていた頃の思い出があるだけに、空き家となって荒れ果てていく家屋からますます足が遠のき、最終的に近隣住民とのトラブルやニュースに取り上げられるケースは珍しくありません。 自宅が空き家となることで以下のような予期せぬ犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
また、放置された空き家が家屋の老朽化や自然災害による倒壊、伸び放題の庭木やゴミの不法投棄による景観の悪化(ゴミ屋敷化)、衛生害虫や鳥獣の発生などにより地域社会に深刻な被害をもたらした場合、「空家等対策特別措置法」によって自治体から「特定空家等」の認定を受けると、罰則によって通常より何倍も高い固定資産税を納めることになります。
このように、家族の思い出がつまった大切な自宅を将来的に空き家にしないためにも、自宅の整理・管理・再利用について幅広い活用法を考えておく必要があります。
自宅を手放したくない。都市部だからできる空き家の活用法
すでに空き家化している物件以外にも、少子高齢化により高齢者だけの世帯や高齢者の一人暮らしが増加したことで、都市部においては、空き家予備軍も増え続けています。
空き家が発生する要因は、前段までで説明したとおりですが、居住者がいなくても、所有者による適切な管理が行われていれば、空き家が周囲に対して悪影響を及ぼすことはありません。
周囲に悪影響を及ぼす危険がある空き家は、最終的に撤去する必要があります。
しかし、跡地の利用や売却の見込みがない場合、所有者が撤去費用を負担してまで解体するメリットが乏しいうえ、更地にした土地の固定資産税は増えることから、所有者は空き家の撤去を躊躇することになります。
アキサポ空き家総研が東京都内の空き家所有者に向けて実施した「2021年 東京都空き家所有者に対する意識調査」によると、所有している空き家を貸す・売却することを検討したことがありますか?という質問に、「少しでも検討したことがある」と回答した人が44.7%、「全く検討したことがない」と回答した人が55.3%となりました。
都内の空き家所有者の半数近くが、何らかの空き家活用を考えていることがわかります。
また、所有している空き家を貸す・売却することを検討した人のうち、公的機関・企業等に相談した人の割合は32.5%でした。
公的機関・企業等に相談をした際の不満の声としては、 「ネット等で得られる情報以上のものがない」 「担当者の知識不足」 「担当者が不明でたらいまわしにされた」 など情報不足や対応に不満が残ったという意見もあり、空き家に対する知識や情報が空き家所有者へ十分に届いていない現状がわかります。
但し、不動産会社や住宅メーカーの中には、空き家問題に積極的に取り組んでいる企業もあります。
こうした企業の空き家対策は事業として行われているのが特徴で、人口の多い「大都市」の利点を上手に活用できれば、空き家を収入につなげることも夢ではありません。
中でも賃貸の進化系として注目を集めているのが「空き家活用サービス」です。 大都市圏ならではの空き家活用法としては、
- サブスク住宅
- サテライトオフィス
- コワーキングスペース
- 古民家再生(カフェ、宿泊施設等)
など、立地や家屋の特徴に合わせて対応できることから注目されています。
「空き家活用サービス」は企業側が空き家の周辺環境や立地条件などの現地調査を行った上で、空き家を所有者から借り上げて活用プランに則ったリノベーションを行い、利用希望者に貸し出すものです。
一定期間使われていない空き家は建物が老朽化しているため、そのままの状態で第三者に貸し出すのは難しいですが、リノベーションやリフォームをすることで利用価値が大きく広がります。 継続的な収入が見込めるうえ、家屋が残っているので更地にするよりも固定資産税が安いというメリットもあります。
「空き家活用サービス」を行っている不動産会社や住宅メーカーの中には、リノベーションから利用者の募集、維持管理まで一貫して負担してくれる企業もあります。
従来の「空き家活用サービス」は高額なリフォームやリノベーション費用が大きなネックとなっていましたが、自己負担0円で一定期間転貸するサービスを利用すれば、お住いの自宅や所有している空き家をバリューアップすることができます。もちろん、契約終了後には自分で物件を使用することも可能です。
大切な自宅を子や孫にとって負の遺産にしないためにも、終活の一環として「空き家活用サービス」にご相談することをお勧めします。
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